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2020年10月4日

12321:第2波でコロナ鬱、コロナ疲れに変化、日本独自のストレスも;記事紹介

清澤のコメント:コロナ鬱とかコロナ疲れという言葉が聞かれています。自分にも、また患者さんにもコロナ疲れが現れているようです。医療関係者の間にはバーンアウト現象が見られ、そのバーンアウトの症状としては、何事にも無気力・無感動になる、仕事に対して意欲や重要性を感じられなくなる、相手に対して配慮を欠いた、ぞんざいな対応をしてしまう、などが挙げられる身体症状に加えて、仕事のミスや雑な対応やないがしろな態度、アルコールの量が増えるといった行動もよく見られる:のだそうです。残存した職員がよく耐えていてくれていることが院長である私の心の支えです。西多昌規氏の記事を抄出紹介します。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/carrier/2020/08/2-282_1.phpーーーーー記事抄出ーーーー

2020年8月22日(土)12時45分 西多昌規(早稲田大学准教授、精神科医) 

<会社員、大学生、高校生、医療従事者……。長期化が現実になり、自粛と分断と日本型社会の中、メンタルヘルスの問題が深刻化している。バーンアウト(燃え尽き)を防ぐにはどうすればいいのか、精神科医がアドバイスする

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第2波到来が、既に現実のものとなってきている。4月7日に政府より緊急事態宣言が発令される前後から、自粛に伴う精神的ストレスを意味する「コロナ鬱」「コロナ疲れ」という用語をよく目にするようになった。

ただ、4~5月の緊急事態宣言のときに比べて、「コロナ鬱」「コロナ疲れ」の性質が変化してきているように思える。諸外国とは異なる、日本ならではのCOVID-19と向き合う特徴も、徐々にはっきりしてきた。

仕事に関しては、会社員ならばリモートワークのストレスがあるだろう。一橋大学イノベーション研究センターが5月に発表した「新型コロナウイルス感染症への組織対応に関する緊急調査」でも、約60%の企業が、「仕事上のストレスが増えた」と回答している。会社・プライベートの境界線がなくなったための新たな問題が生じている。平日休日関係なく一日中パソコンの前で終わりのない作業を強いられ抑鬱的となる、リモートワークでの「過重負荷」の症例も経験した。オンラインでは仕事の遅延や不備をきたし、精神的負荷をかえって強くしている場合もあるのではないだろうか。

会社経営や自営業、特にレジャーや外食関連に携わる人は、破壊的な収益減少を経験し、今後も厳しい対応を迫られることは間違いない。行政の財政援助も枯渇してきている。アメリカではCOVID-19による経済死を「絶望の死」とし、15万人に上るとする推計もある。経済不況は、2019年に減少した自殺者数を、再度増加させる要因となりかねない。

普段にない家庭トラブルも

学校教育の場でも、メンタルヘルスの問題は徐々に深刻化しつつある。対面でのリアルなコミュニケーションが全くなく、いきなりオンライン講義で友達をつくれと言われても無理な話だ。

オンラインだけの弊害は、授業やゼミ選択など雑談的なやりとりから得られるリアルな情報の欠如、ずっとアパートや実家の自室に籠もってパソコンを見つめオンライン課題に取り組むだけで一日が終わってしまう不全感など、挙げれば切りがない。

これら自粛に伴い、家族と一緒にいる時間が増えており、これもストレスの種となっている。家庭内暴力の増加は諸外国で指摘され、家庭内のトラブルが増えているように思える。

医療・介護においては、今後はバーンアウト(燃え尽き)が懸念される

第1波では、医療従事者も緊張感や使命感、義務感からなんとか頑張ることができたかもしれない。しかし、医療従事者への差別・偏見に加え、ボーナスカットなど収入減少なども報道される。物心共に報われないなかで迎える第2波では、バーンアウトや外傷後ストレス障害に似た2次性のストレス障害がより問題化する可能性がある。

バーンアウトの症状としては、何事にも無気力・無感動になる、仕事に対して意欲や重要性を感じられなくなる、相手に対して配慮を欠いた、ぞんざいな対応をしてしまう、などが挙げられる朝起きられなくなる、急に欠勤や遅刻が増える、頭痛や胃痛など身体症状に加えて、仕事のミスや雑な対応やないがしろな態度、アルコールの量が増えるといった行動もよく見られる。

COVID-19は、災害ストレスでもある。次々に来院・搬送される患者とその対応、自らも感染するのではないかという恐怖、検査を強硬に主張する、あるいは拒絶する感情的な患者が一人でもいれば、トラウマ体験となる。患者や家族からの強烈なクレームを受けたといったトラウマ的な光景が、日中にもありありと目に浮かんでしまう。

セルフケア能力がカギに

長期化するCOVID-19は、メンタルヘルス的にも社会的「分断」を強化している。既に身体や精神の疾患・障害を持っている人たちは、より不利な立場に追いやられ、続発性の状態悪化が生じやすい状況にある。

これに、政策や報道の「分断」も、人々に不安を与えている。感染対策と経済推進は二律背反であり絶対解のない問題である。政府のGo Toキャンペーンなど積極的施策と、地方自治体は独自の自粛策や不要不急の域外への外出制限など防衛的な施策とを見るに、バラバラで一貫性があるとは思えない。報道も然りで、何を信じていいのか分からなくなっている。

「自粛警察」に見られる社会的同調圧力と偏った正義感という脅威が、メンタルヘルスに陰ながら影響を与えているCOVID-19自体での病原性よりも、「感染したらアウト」と社会的に断罪され「分断」されるスティグマ(差別や偏見)のほうが、メンタルヘルスにとっては脅威である

都市部と地方との「分断」も深刻である。陽性者がいったん出現すれば、自宅に張り紙や投石されるという蛮行が見られるのも事実である。日本に古くから見られる、忌避すべき目に見えない恐怖を「ケガレ」として恐れる文化が、マイナスに機能している。

今回が第1波と異なる点は、緊急事態宣言のときは人々に「しばらく辛抱すれば」という希望があって押さえ込みに成功したのだろうが、第2波以降の長期化を控えては、自粛ばかりを続けていては精神的に持たないという、逸脱行動のリスクが高まる。特に一人暮らしでは節制が利かなくなり、衝動的な暴力や自殺に結び付きかねない

長期化し、医療従事者でなくても「コロナ・バーンアウト」の危険が増しつつある私たちにとって、メンタルケアの基本は「セルフケア」、つまり自分を大切に保護していく生活習慣である。適度な運動や他人との距離を取った上での会話、アルコールを飲み過ぎないという節制は、これまでの「コロナ鬱」対策とほとんど変わりはない。

やはり感染予防に注意したうえで、自分や家族が楽しめる活動をしていく、楽しめる場を探す自助努力が、メンタルヘルスにおいてますます大切になるだろう。その人それぞれの趣味嗜好、体力、置かれている環境などで異なってくるが、セルフケア能力は、長期化するCOVID-19社会ではますます重要になってくる

Categorised in: 全身病と眼