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2020年8月26日

12213:頭痛を伴う眼の周囲の赤い腫れは新型コロナでしょうか?:日刊ゲンダイネット自著記事採録

清澤のコメント:コロナ再発で休載になって、たまっていた記事をネットで発信していただいています。夏休みの終わりに宿題をまとめて片付けたころを思い出します。目が赤くて痛いのに、自分がコロナではないかと遠慮して受診してよいかと電話してくださったおばあさんのお話です。結局は帯状疱疹でした。何事によらず、すぐに診るという医師の姿勢の重要さを思い知ったことでした。

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写真はイメージ

写真はイメージ(C)PIXTA

【Q】三日前から左の目の周りが赤くはれ、微熱もあって頭痛もあります。新型コロナ感染症ではないでしょうか?受診してもよいですか?(83歳女性)
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【A】新型コロナウイルス感染症で結膜炎が起きたり眼に痛みを生したりすることがあると聞いて、いきなり眼科を受診してもよいものか、と慎重を期して電話をくださったようです。

 すぐにこの患者さんをお呼びして診察してみると、なんと眼部帯状疱疹。左目の周りに皮疹が出ており、それが額から頭髪の中まで広がっていました。

 帯状疱疹は身体の知覚神経の走行に沿って発疹を生じます。皮疹は1週間くらいで治まるのですが、皮疹が治ってからも嫌な慢性疼痛を残すことがあります。皮疹は体幹にも出ることがありますが、頸部から上ではこの方のように片眼の周囲に出ることが多いのです。

 眼部の帯状疱疹は、三叉神経第一枝(眼神経)の領域におこります。時に第二枝領域にも及ぶことがあります。角膜炎をはじめ、さまざまな眼合併症を生じる場合もあります。この方の皮膚病変ははっきりしたものでしたが、幸いにも角膜、結膜や眼球内には広がってはいませんでした。眼科的治療としては、結膜炎や上皮型の角膜炎などの炎症症状があればアシクロビル軟膏を使い、さらに角膜実質や眼内に炎症を起こしている場合には、局所点眼ステロイド薬等を用いた治療をおこないます。抗ウイルス薬の内服も必要なので、私は最初の眼科的治療の直後に皮膚科医に処方をお願いしています。十分に抗ウイルス作用を発揮させるためには、内服薬の用法・用量を確実に守ることが重要です。

 帯状疱疹は帯状疱疹ウイルスによる感染症です。その初感染は小児期の水痘で、水痘罹患後にウイルスは神経節に潜伏します。宿主の免疫能がウイルスの封じ込めに関与しているため、免疫能が低下するなどの要因でウイルスが再活性化すると支配領域の皮膚節に有痛性の水疱を発症します。加齢とともにその発症頻度は高くなり重症化する傾向があります。急性期の症状は、神経節から知覚神経を下ってきたウイルスによる感染症が主体となります。そのため、知覚神経支配領域に皮疹を発症することになります。

 眼部帯状疱疹の場合、皮疹の鎮静化以降にウイルスに対する免疫反応が関与する角膜の炎症がみられる場合があり、皮疹消退後の観察も必要です。眼部帯状疱疹の眼合併症にはこの方の症状のような三叉神経痛、三叉神経領域の発赤と皮疹の他、結膜炎、上強膜炎、角膜炎、虹彩炎、また、緑内障を残すこともあります。角膜炎以外の合併症についても、急性期を過ぎ帯状疱疹自体の症状が沈静化したのちまで経過観察が必要になります。

 小児期に感染した水痘ウイルスは、免疫能の低下により再活性化します。推察ですが、今回のケースはおそらくコロナ疲れが関係しているのではないでしょうか。

Categorised in: 全身病と眼