お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2020年9月9日

12245:IgG4関連疾患の診療と免疫学的病態:山本元久:総説紹介

清澤のコメント:神経眼科誌に子の総説が出ていた。読み切らないうちに日が過ぎてしまったので、要旨のみ採録して、関連の単語の解説を集めてみました。眼窩リンパ増殖性疾患の内訳が、MALTリンパ腫(39.8%)、IgG4関連眼疾患(21.6%)、IgG4染色陽性MALTリンパ腫(4.3%)という数字は記憶しておきたい数字です。

  ---抄録-----

臨床と研究の接点IgG4関連疾患の診療と免疫学的病態 山本 元久田中 廣壽著者

 IgG4関連疾患は,多くの臓器に不可逆的な機能障害をもたらし得る慢性炎症性疾患である.眼領域では,涙腺,外眼筋,視神経(眼窩)などが罹患する.診断は,IgG4関連包括診断基準,IgG4関連ミクリッツ病診断基準,IgG4関連眼疾患診断基準のいずれを使用しても良い.しかし頭頸部領域の病変の場合には,悪性リンパ腫を除外することが重要であり,免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成がないことを確認する必要がある.また同時に他臓器病変と悪性腫瘍の検索も行うべきである.IgG4関連疾患の病態に関しては,まだ不明な点が多い.しかしTh2型炎症が鍵となり,Tfh細胞と作用して胚中心の過形成,IgG4陽性形質細胞への分化が促される.また同時にTh2細胞から産生されるIL-13を介したペリオスチン,制御性T細胞やCD4陽性細胞傷害性リンパ球(CD4+CTL)などから産生されるTGFβ により,線維化が誘導されることが示唆されている.将来的にはオミックス解析により,現在のステロイド治療から,疾患制御と再燃防止を目指した,分子標的治療にシフトしていくことが期待される.

ーーー清澤が集めた上文中関連項目の用語解説----

IgG4関連眼疾患診断基準:後藤 浩, 高比良 雅之, 安積 淳 . IgG4関連眼疾患の診断基準(解説). 日本眼科学会雑誌 120: 365-368, 2016.

◎病理診断された眼窩リンパ増殖性疾患1,014症例の内訳は、MALTリンパ腫404症例(39.8%)、IgG4関連眼疾患が219症例(21.6%)、IgG4染色陽性MALTリンパ腫44症例(4.3%)でした。

免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成免疫グロブリンH鎖JH再構成、制限酵素で消化したDNAを電気泳動により分画し,1本DNAに変性後,毛細管現象を利用してナイロンメンブレンに転写して,標的プローブとハイブリダイゼーションを行い,目的の遺伝子を検出する方法。 DNAの量的,質的変化の異常を解析する場合に用いられる。

Th2型炎症:もともとはTh2型炎症(免疫)反応とよばれ,2型サイトカインの産生を主軸とする炎症反応を指す.主に寄生虫に対する生体防御反応として機能する一方で,アレルギー性炎症の主因ともなっている.Th2細胞以外にILC2などの関与も知られるようになったので,2型炎症反応とよぶように言い改められている.実験医学 2016年11月号 Vol.34 No.18

◎TGF-β:細胞増殖・分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカイン(細胞の働きを調節する分泌性蛋白の一種)です。哺乳類においてそのファミリー分子は約40種類報告されており、TGF-βスーパーファミリーを構成している。TGF-βスーパーファミリーは、大きく分けて3つの異なるサブファミリーに分類され、それぞれTGF-βファミリー、アクチビンファミリー及びBMP(bone morphogenetic protein)ファミリーと呼ばれている。TGF-βの最も研究されている生物活性は、細胞増殖抑制作用。

◎オミックス解析:ゲノム情報を基礎として、生体を構成しているさまざまな分子を網羅的に調べていく方法。このような解析には先進的な解析装置や電子計算機システムやデータベース等大量情報を取り扱うための基盤が必要なために、社会には潜在的なニーズがありながらも十分に利活用されていないのが我が国の実情。

 -----

はじめに:新しい慢性炎症疾患。高IgG4血症と罹患臓器への著明IgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を特徴とし、不可逆的な臓器障害が惹起される。涙腺・唾液腺炎及び眼窩内病変の診療と病態を述べる。

1、IgG4関連疾患の診療:我が国数万人。受診契機:上眼瞼腫脹、眼球突出、視野障害、視力障害。顎下部腫瘤も。ーーー(以下略)

Categorised in: 全身病と眼