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2020年7月8日

12067:癌関連網膜症の分子病態:大黒浩、日景史人 論文紹介

神経眼科誌2020年2号が医院に本日到着しました。 この雑誌固有の「臨床と研究の焦点」というセッションに上記の論文が投稿されています。

なお、この号のアジアセクションには私たちが長い年月を要して漸く掲載にたどり着くことができた「眼瞼痙攣にかずきテープを貼って開瞼を助けるという新しい試み」の英文論文が掲載されていて、私はこの刊行を首を長くして待ちわびていたのですが、そのお話は別の機会にします。

癌関連網膜症の分子病態 大黒浩、日景史人 論文紹介

1、はじめに:全身の悪性腫瘍に関連し、本来中枢神経、末梢神経、網膜、視神経等に特異的に存在する特異抗原が腫瘍に異所性に発現すると、これに対して自己抗体が産生され自己免疫的に神経症をきたし(腫瘍随伴症候群)、癌関連網膜症と呼ばれた。

2、CAR, Cancer associated retinopathy:の臨床像:網膜色素変性症に類似した症状(光過敏症、輪状暗点、網膜中心動脈の狭細化と脈絡膜萎縮、網膜電図変化、ぶどう膜炎症状。最も頻度の高い自己抗原はリカバリン(視細胞特異的カルシウム結合タンパク)である。

3、種々の腫瘍におけるリカバリンの特異的発現:培養癌株の60%がリカバリンを持っていた。リカバリンは癌細胞内でG蛋白質共役受容体キナーゼ(GRK:細胞増殖に関連)及びカベオリン-1(細胞増殖などに関連)と共役している。

4、抗リカバリン抗体による網膜障害の機序:抗リカバリン抗体は血管網膜関門を通過し、これが直接視細胞を障害する。

5、悪性黒色腫随伴網膜症MAR(Melanoma asssociated retinopathy):こちらは視細胞ではなく網膜の双局細胞を障害する。TRPM1というカチオンチャンネル蛋白質がMARの抗原。

6、CARの治療:カルシウムチャネルブロッカーやワクチン治療に可能性が有るがまだ実効性は乏しい。

追記: 大学にいたころに急激に進んだ網膜色素変性の患者さんの血清で癌関連網膜症CARの診断を大黒先生に付けていただき、胸腺腫が見つかった症例が有ったことを思い出しました。  

Categorised in: 全身病と眼