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2020年5月17日

11887:東京眼科サミット2020:聴講印象記

聴講にあったって、講演者の権利を守るという同意をしましたので、全体の聞取りではなく、主要なポイントと私の感想に焦点を絞ります。スライドのスクリーンキャプチャーなどは使っていません。目と栄養とか、体内時計とか私も興味を持ったことのある領域でしたから、今日は興味深い演題が多数聞けました。午後3時過ぎで退出です。

慶應義塾大学医学部 眼科学教室 坪田 一男 教授

聴講印象記

清澤のコメント:一般的には坪田ラボでの研究内容の全体的な紹介であったが、バイオレットライトをつけた眼鏡の開発など新しいお話も紹介されていた。最後のリーヘンツァイ論文を見てみたいと思ったが今日は確認できなかった。

要点:視覚系と非視覚系には光受容体が多数あり、OPN5は吸収波長が380nmくらい。目はカメラであり時計であるが、これは気分や記憶にも関与する。生活をめぐる光の質も変化したLEDはブルーが強い。体内時計の不調は、不眠、鬱、食べるタイミングで肥満するなどをきたす。スマホはブルー成分が強い。

バイオレットライトは;近視に関与する。この成分は100年前にはほとんどなかった。外で運動すると近視が減る。近業はあまり関与しない。

バイオレットライトが無いとどうなるか。眼鏡を含めてガラスは視覚情報自体は変わらぬが380nmを通さない。(ジンズバイオレットというバイオレットを通す製品やバイオレット光を出す眼鏡も開発しているという。)

演者はGanma frequency,,というScience論文 リーヘンツアイの研究を紹介した。これは、バイオレットライトが脳波に影響して認知症の予防にも役立つといっている。

ブルーライトと睡眠・概日リズム

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 臨床病態生理研究室 室長 北村 真吾先生 

清澤のコメント:NIF(non-image forming (NIF) )感度曲線と。IPRgc(内因性光感受性網膜神経節細胞 (ipRGC : intrinsically photosensitive retinal ganglion cell) がキーワードでした。

視交叉上核SCNが発振している。体内時計には中枢時計と(液性及び神経性の連絡を受ける)末梢時計がある。それは、約24時間のリズムだが、実は24時間11分くらい。体内時計にはメラトニン分泌抑制と概日リズム位相シフトの2つのシステムがある。これによって位相反応曲線が形成される。妥当に朝の光を浴び、夜の光を避けるのが重要。

体内時計は、1980年に24ルクス程度の光でリセットされることが分かった。光の照射は

2分程度でも体内時計がシフトする。NIF(non-image forming (NIF) )感度曲線は480のブルーライトに良く反応する。

単波長の他に全波長でも影響はあり、それは光量に依存する。オプシンごとの反応を見るべきだという説(ツールボックス)がある。体内時計は錐体や桿体ではなく、メラノプシンに対する刺激量に反応する。IPRgc(内因性光感受性網膜神経節細胞 (ipRGC : intrinsically photosensitive retinal ganglion cell) がキーワード。光の照射は:眼部かそれとも手首でもよいのか?眼での照射のみが影響する。

LEDは眠気の抑制や睡眠の乱れが強い。見た目は同じだがメタメリズムディスプレーというものも開発されている。

まとめ:視交叉上核の体内時計はほぼ24時間周期でipRGCはその設定を修正するから、光環境の整備が重要なのだ。

◎人の健康に役立つ緑の知覚 

東京都市大学 総合研究所 教授 環境学部 併任教授 飯島 健太郎先生 

問題提起:環境と心理生理の研究が進んでいる。部屋に花がある方がストレスが緩和される。花が見えると、交感神経活性がが減り、副交感神経活性がが増える。この話題は人類学の領域。環境は変わったはずだが、化石からでは生理反応はわかりにくく、現在で見るしかない。生理人類学:時代はSociety 2.0、3.0、4.0(注)などが分けられる。700万年の歴史より見れば今の状態は慣れない環境であるはずだ。形態としては変化が見えず、生理学的には変化したはずだ。視覚対象におけるストレス:緑の知覚、リセプターに限らず。今なら混雑ストレスというものがあるだろう。普通ならば、半径30センチ以内に人がいるということはなかったはずだ。

生理人類学的にみる。鬱や自殺が増えたのは1998年ごろ。インターネットとスマホ。知識は増えたが、自然体験が減り、判断系統が混乱している。セロトニンの欠乏。緑にかかわる:ストレスは2時間目に花を置いたら減った。3時間目、机に花を置いた。交通事故全体は減っているが、事業系ドライバーの事故は増えている。心的飽和など。

運転後に緑地を眺めると駐車場の景色を見るよりも緊張は減る、学校;校庭を芝生にすると効果がある。老人ホーム;ガーデンセラピー、ミニトマトを育てるだけでも。気持ちが前に向くきっかけとして有効。ソサエティー5.0に向けての都市デザインは?

注(清澤追加):サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。

◎ストリップメニスコメトリに関する研究の最新知見 慶應義塾大学医学部眼科学教室 特任准教授  村戸ドール

清澤のコメント:使い勝手はよさそうである。研究目的での利用は可能であろうが、保険採用がなされないと、今後臨床での新規の採用には決断が必要か。坪田先生によれば、慶応の外来ではゼロになる患者さんが多いとのこと。

形成外科医からみた眼瞼下垂とはー 患者の期待と手術のゴール、美容外科との境界 ̶ 宮脇 剛司 東京慈恵会医科大学 形成外科学講座 教授

前頭筋と後頚筋が互いに干渉する。顎を突き出すので首の後ろが凝る。VECTRA3Dcameraで開瞼と閉瞼での眼瞼の動きを見るとどこが動いているのかを見ることができる(BANDYcam)。症例によっては、眉毛の上の筋緊張をボトックスで取り肩こりを取ることもできる。テーピングで75%の学生の肩こりが取れた。先天性眼瞼下垂とは何か?アジア人特有な解剖学的な構造が関連しているのではないか?美容外科と形成外科の対象症例の境界?は、医学的症状の有無?保険か自費か?これらには明確な区別はない。眉下皮膚切除の例。眉毛が下がり肩こりも減った。一般的に、瞼以外の変化もよく見る。最近の話題としては運転がしやすくなることも多い。

◎OCT画像で判断する黄斑疾患

 日本大学 医学部視覚科学系眼科学分野 客員教授 島田 宏之先生

清澤のコメント:島田先生は多数の症例のOCTが提示された。具体的なお話としてはIS-OSライン、硝子体ポケット、黄斑出血、黄斑円孔などが見られる。網膜前出血:硝子体皮質下出血。硝子体ポケット内出血(ニーボー形成、重力で下方にたまる)、内境界膜下出血(網膜への圧迫あり)、網膜細動細動脈動脈瘤(各層に出血した例)、同症で網膜下出血(視細胞層障害で視野障害が残る。)、同症で網膜内出血(毬栗状の辺縁)、網膜下出血(これは血種移動の適応である)、ポリープ状、血種移動では硝子体切除とガスを入れる方法がある。

硝子体: 特発性黄斑円孔(中心窩にはミューラー細胞は少ない。)ガスGassのステージ分類あり。閉鎖率の低いものがある。陳旧性黄斑円孔:(インバーテッドILMを使う)、マイクロマクラホール(自然に回復するが)、黄斑上膜(特発性と続発性を分ける。特発性なら老人の6%にある。続発性ならば、光凝固後などで見られる)、偽黄斑円孔(膜が中心窩ではない)、分層応反円孔。硝子体黄斑牽引症候群(その手術適応は?)

高輝度のCMEならば、嚢切開も行うが、吸収しなかった例あり。ピット黄斑症候群(ピットから剥離、網膜分離症も合併) 特発性黄斑分離症(CSCに似る、ピットはない)など:

◎老視に対する予防医学的介入の試み 北市 伸義 北海道医療大学病院 病院長

アスタキサンチンは抗酸化作用や抗炎症効果などがある(白取憲二 臨床医薬2005)AST(アスタキサンチン)で調節時間の測定評価、調節力が改善した。Exp Eye res 2006 suzuki, shiratoriもある。 LSFG眼底の血流速度(成人ボランティア)評価もできた。ルテインやキサントフィルは網膜表面に、非極性の、アスタキサンチンは赤血球に付着し網膜貫通型で全身に行く。全身有害事象なし:ブルーベリー:アントシアニンの臨床試験の歴史。夜間視力や調節力を評価されてきた。

バトルオブブリテンでは、イギリスの戦闘機がドイツの爆撃機を待ち伏せしていた。その理由としての軍機密であるレーダーの存在を知られたくなかったので、ブルーベリーに夜間視力向上に効果があるかと思わせようとした。

標準ビルベリーの有効性を調べた。アイフォンでテトリスを30分続けさせる。調節機能はトライイリスで評価した。「小斉平真理衣 薬理と治療(2015)」長時間パソコン作業者120人中33人を採用した。低高容量とも有意差が出た。新しい眼科 2016 堀江幸弘, 緑茶の効果:サンルージュ、藪北、麦茶の比較。(アントシアニン)45歳未満。前田-山本 nutrients 2018

清澤が追加調査した文献の訳文:緑茶(Camellia sinensis L.)の毎日の摂取の安全性と有効性に関する無作為化プラセボ対照試験cv。 健康成人の眼精疲労と血圧に関する「やぶきた」と「サンルージュ」

Nutrients 2018, 10(5), 569; https://doi.org/10.3390/nu10050569  Received: 25 March 2018

緑茶(Camellia sinensis L.)の品種「サンルージュ」には、アントシアニン、カテキン、フラボノールが含まれています。アントシアニンを含む緑茶の摂取が健康な成人の視覚機能と血圧(BP)を改善するかどうかを判断するために、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施しました。 20〜60歳で、収縮期血圧(SBP)値が125未満で155未満、拡張期血圧(DBP)値が95未満、またはDBPが75 mmHg以下で95 mmHg未満の合計120人の健康な被験者そしてSBP <155 mmHgは、3つのグループの1つにランダムに割り当てられました。プラセボ群には、12週間、カテキンを含まない大麦エキスを投与しました。別のグループは、11.2 mgのアントシアニンと323.6 mgのエピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)を含む「サンルージュ」抽出物を受け取りました。 3番目のグループには、322.2 mgのEGCGを含む「やぶきた」抽出物が投与されました。ホームBP、調節能力、眼精疲労の視覚的アナログスケールアンケート、および代謝関連マーカーを、摂取期間の0、4、8、および12週目に分析しました。 「サンルージュ」茶の摂取により、45歳未満の被験者と視覚表示端末を毎日操作する被験者の収容能力と眼精疲労が大幅に改善されました。また、血圧も上昇させました。 「やぶきた」茶を摂取すると、血清アディポネクチン値が大幅に上昇しました。悪影響は観察されなかった。アントシアニンとフラボノールを含む「サンルージュ」茶を長期間摂取すると、視覚機能が改善される可能性があると結論付けている。

多焦点ソフトコンタクトレンズ処方のコツ ひがしはら内科眼科クリニック 副院長 東原 尚代先生 

1600万人、20-30歳代が中心。今後40歳以上はドロップアウトしてゆく。付け心地、老視他が原因。遠近両用は、日本では5%以下。デザイン様々。視線移動なく、同時視ができる。加入度により、見え方は違う。コントラストは悪い。性格は完璧でない人を選び、低い加入度から、早めの年齢から始めるとよい。遠視の人にも使用できるものが出ている。度数合わせの手順に習熟する。自覚的+0.25から+0.50Dの球面を選ぶ、視力表は使わない、すぐには処方しない、42歳(老視と言わない、遠近両用であるとも教えない。)完璧主義者にはEDOF焦点深度拡張型(シード)を使う。共感しながら勧めよう。

本日は、取り敢えずここまでの聴講とします。

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