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2020年3月1日

11569:米軍を襲ったイラン謎の衝撃波、解明には数年かかる:記事紹介

清澤のコメント;防空壕の中にいて、爆風の影響による外傷や頭部打撲を負わなかった兵士が、 「頭痛、めまい、記憶障害、平衡感覚の障害、吐き気、嘔吐、集中力の欠如、興奮症状、視覚障害、耳鳴りなど多岐に渡る」症状を示したという。私には今一つぴんと来ない。瀰漫性軸索障害(DAI:diffuse axonal injury)などを考えているのだろうか?それならば、交通外傷の画像を見せられたことがあった。

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Military Will Study Brain Injuries From Iran Attack for Years: Pentagon2020年2月26日(水)19時15分デービッド・ブレナン

イランのミサイル攻撃で破壊されたイラクのアル・アサド基地を点検する米軍兵士(1月13日) John Davison-REUTERS

<攻撃直後は「死傷者ゼロ」だったが、実は米軍兵士11名が外傷性脳損傷を受けていた。防空壕の中にも届く衝撃波を受けたとみられる>

イランのミサイル攻撃で米軍兵士が負った負傷の謎を米軍の科学者が解明するには、数年かかると、米国防総省の幹部が明らかにした。

イランは1月8日、米軍が駐留するイラクの基地2カ所をミサイルで攻撃した。このとき米軍に重傷者が1人も出なかったのは「通常では考えられないこと」だったと、米統合参謀本部の医務官のポール・フリードリクス空軍准将は2月24日の記者会見で述べた。

米軍もドナルド・トランプ米大統領も攻撃当初、「死傷者ゼロ」と発表したが、後になって、イラクのアンバール県にあるアル・アサド空軍基地に撃ち込まれた11発のミサイルで、少なくとも11名の兵士が外傷性脳損傷を受けていたことが判明したのだ。フリードリクスの説明によると、症状は多岐にわたるが、重傷者がいないのは確かだという。大半は、すでに軍務に復帰している。

<参考記事>イラン対米ミサイル攻撃、犠牲者ゼロの理由 米兵救った謎の「事前警告」とは?
<参考記事>イランのイラク基地ミサイル攻撃、米兵士11人が負傷していた

死後しか診断できない傷

外傷性脳損傷は、通常の診察とMRI検査で多くを把握できるものの、損傷の程度を判定するには、脳の損傷箇所を採取して顕微鏡で組織検査を行わない限り難しい、とフリードリクスは言う。こうした組織検査は死後にしか行えない。脳表面の傷か脳内出血ならMRIで検出できるが、神経系統の微細な損傷は組織検査でしかわからない。「最終的な確定診断が下せるのは、患者が死亡した後だ」とフリードリクスは述べた。

だが、諦めるつもりはないとフリードリクスは言う。「我々は学び続ける組織だ」と、フリードリクスは続けた。「今あるデータを詳細に分析し、他のデータと比較していく。結果が出るまでにはおそらく数年を要するだろう」

イランの攻撃は、1月5日にイラン革命防衛隊のカセム・スレイマニ司令官を米軍が殺害したことに対する報復だった。ファテフ110ミサイルなどの短距離弾道ミサイル12発以上が発射され、そのうち11発がアル・アサド空軍基地に着弾した。ゲリラが撃ってくるものと呉べれば、はるかに強大な兵器だ。「その強大さを思えば、片脚や片目を失った兵士がいないのは驚くべきことだ」とフリードリクスは言う。

米軍はこのミサイル攻撃について何者かの事前警告を受けており、兵士の大半は防空壕に退避できた。だがそれでも、脳損傷を起こすほどの衝撃波を受けていた。その症状には、頭痛、めまい、記憶障害、平衡感覚の障害、吐き気、嘔吐、集中力の欠如、興奮症状、視覚障害、耳鳴りなど多岐に渡る。

米国防総省は、将来危険な衝撃波にさらされた人員をより明確に把握するため、圧力センサーの実地テストを開始していると、フリードリクスは言った。「どの兵士が衝撃波にさらされたかわかる携帯用の圧力計だ。攻撃を受けたとわかったら、すぐに調べる」

(翻訳:ガリレオ)

清澤が付ける注記:びまん性軸索損傷(ウィキペディア)
びまん性軸索損傷

SWIとGRE Trauma.pngの比較
1.5テスラの電界強度での外傷に起因するびまん性軸索損傷の患者の2つのMRI画像。左:従来のグラジエントリコールエコー(GRE)。右:磁化率強調画像(SWI)。



びまん性軸索損傷(DAI)は、白質路および灰白質の広範囲に散在する病変が発生する脳損傷です。 DAIは最も一般的で破壊的なタイプの外傷性脳損傷の1つであり、重度の頭部外傷後の無意識および持続的な栄養異常状態の主な原因です。それは、重度の頭部外傷のすべての症例の約半分で発生し、脳震盪で発生する主な損傷である可能性があります。転帰はしばしば昏睡状態であり、重度のDAI患者の90%以上が意識を取り戻すことはありません。目を覚ます人々は、しばしば著しく損なわれたままです。

DAIは、外傷性脳損傷(TBI)の重症度の範囲全体で発生する可能性があり、損傷の負荷は軽度から重度に亘ります。脳震盪は、より軽度のびまん性軸索損傷の可能性があります。


機構: DAIは、自動車の事故、転倒、および暴行で発生する可能性のある、頭部が急速に加速または減速するときに発生する外傷性せん断力の結果です。車両事故は、DAIの最も頻繁な原因です。また、揺さぶられた赤ちゃん症候群などの児童虐待の結果としても発生する可能性があります。

重度の脳損傷では、軸索の即時切断が観察される可能性がありますが、DAIの主要な損傷は、長期にわたるゆっくりとした二次軸索切断の遅延です。髄鞘形成のために白く見える軸索の路は、白質と呼ばれます。灰白質と白質の両方の病変は、CTおよびMRI検査の死後脳に見られます。

軸索細胞骨格の機械的破壊に加えて、DAI病理学には、軸索輸送の中断、進行性の腫脹および変性などの二次的な生理学的変化も含まれます。最近の研究は、これらの変化を、壊れた軸索微小管のねじれと不整列、およびタウタンパク質とアミロイド前駆体タンパク質(APP)の沈着に関連付けています。

特徴: 病変は通常、DAIによって損傷した脳の白質に存在します。これらの病変の大きさは約1〜15 mmで、特徴的な方法で分布しています。 DAIは、脳幹、脳梁、大脳半球などの領域の白質に最もよく影響します。最も損傷を受けやすい脳の部分は、前頭葉と側頭葉です。 DAIの他の一般的な場所には、大脳皮質の白質、上大脳脚、大脳基底核、視床、および深部半球核が含まれます。これらの領域は、それらと脳の他の部分との間の密度の違いにより、より簡単に損傷を受ける可能性があります。

Categorised in: 全身病と眼