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2020年1月11日

11429:目の脇から脂肪が出て…眼窩脂肪ヘルニアってどんな病気? 専門医が解説

清澤眼科医院の清澤源弘院長(C)日刊ゲンダイ

清澤のコメント:日刊ゲンダイの井上記者がインタビューをして記事にして下さいました。ご笑覧ください。

ーー記事引用開始ーーー

 新年早々、右目の手術を受けたことを公表した俳優の坂上忍(52)。不調が表れたのは4年前で、「突然、右目の脇から脂肪がニョキニョキと出てきました」という。

 その後、点眼で対処したが、再び発症。今年初めに手術に踏み切った。

 正式な病名が公表されていないため詳細は不明だが、同年代にとっては気がかりなはず。どんな病気が考えられるのか? 

 東京医科歯科大学医学部眼科学教室臨床教授で「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 坂上は5日のブログで次のように書いている。

「眼球の裏には脂肪があって、それが表に出てこないように壁のようなモノがあるらしいのですが……。どうやら、その壁が削れていると。で、必要以上に脂肪が出てきてしまっていると。要するに、『一種の加齢故』なのかな~と……わたしは納得したわけです」

 ブログのこうした記述から「眼窩脂肪ヘルニア(眼窩脂肪脱)」が考えられるという。

「実際に坂上さんを診察したわけではありませんから、ハッキリしたことは言えません。しかし、眼窩脂肪ヘルニアの可能性はあると思います。ヘルニアとは、体内のある臓器が本来あるべき位置から脱出してしまった状態を言います。有名なのは臍ヘルニア(でべそ)、鼠径ヘルニア(脱腸)のほか、背骨のクッションである椎間板に起こる椎間板ヘルニアです。眼窩脂肪ヘルニアは、眼球の後ろにある脂肪組織が、白目(結膜)の下に出てきてしまう病気です」

 眼球は眼窩と呼ばれる、頭蓋骨のくぼみの中央にある筋円錐に埋まっている。その中には眼球以外に目を動かすのに必要な「外眼筋」と呼ばれる6つの筋肉、血管や視神経などのほか、その隙間を埋めるように脂肪組織が存在している。

「この脂肪は、眼球が常に自由に動くことを助けていて、目をぶつけた時など、眼球への衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。本来、外から見える結膜(白目部分)の下には眼窩脂肪が移動しないように、テノン膜と呼ばれる組織で隔てられています。ところが加齢により外眼筋が痩せ細るなどして眼球とテノン膜の間に隙間ができると、眼球奥の脂肪が、その隙間から這うようにして前方へ移動します。これが結膜下の眼窩脂肪ヘルニアです」

■押し込みの方法なら充血もなし

 一方、これとは別に瞼の下に突出してくる眼瞼の脂肪ヘルニアがある。坂上の右目の病気が眼窩脂肪ヘルニアだとすると、坂上が患ったのは結膜下の眼窩脂肪ヘルニアであるかもしれない。

「ちなみに眼窩脂肪ヘルニアの主な原因は加齢で、疲れは関係ありません。50代以上の比較的、肥満の男性に多いとされますが、網膜剥離など眼球の後ろ側の手術をした後に発症することもあります。ただし、結膜下眼窩ヘルニアの患者数は多くはありません。私の医院では1年間に1~2人程度を診る程度です」

 この病気がそれほどメジャーでないのなら、気付かずに病状が進む人もいるはずだ。放っておくとどうなるのか?

「脂肪ヘルニアでは、失明するなど重篤な障害を起こすことはありません。ただし、大きくなってくると、ゴロゴロとしたり痛みの原因になったり、複視を感じたりするかもしれません。何より見た目が悪い。だからといって点眼薬では治らないでしょう。そのため、手術を行うことになります」

 手術にはさまざまな方法があるが、局所麻酔による日帰り手術が一般的だ。結膜を切り開いて、その下に広がる脂肪を切除。テノン膜の端を眼球の外壁の強膜に縫い合わせ、最後に結膜を元通り縫えば15分程度で終了する。場合によっては手術後に再発するケースもある。

「白目に広がった眼窩脂肪を切らずに、元の場所に押し込めて強膜と結膜を縫い合わせるやり方も開発されています。これなら脂肪を切らないために、出血も少量です」

ーーー記事の引用終了ーーー

さらに詳しい情報を知りたい人のために、この手術の実際を示したアイオワ大学の動画を採録します。(閲覧注意です。)私は、現在この手術を手掛けておりませんので、来院された患者さんは、診察の上で適切な施設へ紹介します。

Resection of prolapsed orbital fat into the subconjunctival space from University of Iowa Ophthalmology on Vimeo.

Categorised in: 全身病と眼