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2021年9月13日

13098:大学教授ら「研究スキル売買」 サイトに118人、能力偽装の恐れ:記事紹介です

清澤のコメント:細々ながら利益にも宣伝にもならぬ論文の共著者に今も入れていただいている眼科医の清澤です。私が育てられた昭和時代の大学では、先輩方が後輩(弟子)の研究を無償で指導するというのが慣例でした。その中での指導はまず「思い付いたことを証明すべく試してみなさい」と言ったゆるゆるの研究姿勢でした。最近は研究倫理規定が厳しくなって「基礎ないし臨床の研究を始める前の段階で学内倫理委員会の厳しい審査を受け、研究の正当性の了承を得る」ことが求められるようになりました。研究や実験がある程度進んでからでは研究の手直しは困難ですし、またしっかりしたプロトコールでないと、最終段階の編集(English editing)だけではもう修正の仕様もありません。ですから、研究を始める前の段階から研究プランを(有償で)チェックしてもらい、「研究や論文作成のお作法を指導してもらう」と言う事も出てきているのだろうと思われます。匿名で直してあげるとか「ゴースト・オーサーシップ」と大げさに捉えるのには問題意識のずれを感じました。世の多くの論文が論文作成工場(後述)で生産されると言う事になれば問題は大きいですが、現在でも論文末尾にこの論文は誰それがエディットしたと書くのは普通です。ネイティブスピーカーの文章修正を経ない日本人の英文論文なんてありえないでしょう。謝辞に、研究計画には誰それが助言したと謝辞を足せばよいのかもしれません。

なお、より大きな問題点は 米国ではその存在が既に問題視されている「虚偽論文を量産し販売する論文作成工場:ペーパーミルズ」 Paper Mills- A Rising Concern in the Academic Community PUBLISHED ON Mar 16, 2021の方にあると思います:こんなものに手を出せば、研究者のそれまでの努力も業績もが水泡に帰すことでしょう。

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毎日新聞2021/09/13 05:00

  研究者が研究技術を販売するビジネス「研究スキル売買」が広がっている。インターネット上のスキルマーケットなどで依頼を募り、学術論文の執筆支援などの見返りに料金を得る仕組みで、国内最大級のサイトでは現役の大学教授などを名乗る約120人がスキルを販売していたことが確認できた。匿名同士での売買が主流で、専門家は「研究能力の偽装につながる」と危険性を指摘しているが、学界のルール整備は進んでいない。

 ネットを通じて個人の遊休資産を活用するサービスは「シェアリングエコノミー」と呼ばれ、2010年代から急速に普及した。スキルマーケットはこの一種で、イラストやホームページの作成、趣味のアドバイスなど多種多様なスキルが販売されている。

 学術研究では、英語で書いた論文の校正などの有料サービスは以前からあった。だが、スキルマーケットでは不特定多数の個人が身元を明かさず仲介業者を通じて取引するため、匿名の研究者が他人の研究に介入する恐れがある点が異なる。仲介業者は手数料で利益を得る仕組み。

 国内のマーケットでは、出品数40万件超のサイトが最大級だ。毎日新聞は、このサイトの運営会社が公開している情報を基に調査。7月末時点で1カ月以内にサイトを利用した販売者数を数えた結果、少なくとも118人が何らかの研究スキルを販売していた。取材に応じた国立大教員は「研究費を稼ぐためにやっている」と説明。私立大の男性教授は「堂々とはできない。大学には兼業を申告していない」と話した。

 文部科学省が14年にまとめた研究不正への対応指針では、研究スキル売買は論文の改ざんや捏造(ねつぞう)などの特定不正行為には該当しないが、販売者が論文に関与した度合いによっては、著者の一人とすべき人物を隠す研究倫理違反行為と定めている「ゴースト・オーサーシップ」を助長する危険性が高い。文科省研究公正推進室は取材に「大学や学会などで個別に対応する問題だ」と述べた。

 国内最大級のサイトの運営会社は「研究の代行がないようチェックしている。ゴースト・オーサーシップなどに関連付かないものであれば現段階での出品は問題ないと考えている」と説明している。

 研究倫理に詳しい一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は「他人の力で論文を書くことで研究能力を偽装できる。適正に研究者を評価できなくなり、大学や研究現場に混乱や不利益が生じる危険性がある」と指摘し、「日本学術会議や大学、学会は何らかの指針を出すべきだ」とした。【鳥井真平】

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