お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2021年4月20日

12804:東京女子医大で医師100人超が退職:記事紹介

清澤のコメント:大学病院の医師の収入の少なからぬ部分は研究日における大学外のアルバイト診療で補われてきました。その大学の医師から研究日を取り上げ、大学での診療に従事することを求めるなど、東京女子医大の医師に関する労働管理には他の大学にはない無理が行われたようです。その結果内科を中心に100名もの医師の離職が起こったそうで病院は重大な困難に直面しているという記事です。記事を抄出して紹介します

   ―――記事抄出――――

一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か 岩澤倫彦 : ジャーナリスト 2021/04/20  https://toyokeizai.net/articles/-/423926

東京女子医科大学の3つの付属病院で、100人を超える医師が3月までに一斉退職したことがわかった。補充が間に合わず、各病院は大幅に医師が減少した状態で、4月からの新年度を迎えているという。新型コロナ第4波を迎える中、東京の医療体制にも影響を及ぼしかねない。

昨年、「夏のボーナス支給ゼロ」に対して、看護師約400人が辞職の意向を示した混乱に続き、今回は医師100人超の一斉退職という異常事態。

医師たちは、なぜ東京女子医大を辞めなければならなかったのか?

名門ブランド医大の内部で起きた、深刻な問題の真相に迫る──。

100人以上の医師が次々と辞めていった

医師が次々と辞めていくとの情報が寄せられて、筆者が複数の東京女子医大・関係者を取材したところ、尋常ではない数の医師が一気に辞めることが判明した。東京・新宿区に位置する東京女子医科大学病院の本院に勤務していた内科の医師、約170人のうち50人以上が、今年3月末までに退職した。内科の3割以上が去り、残された医師は当直業務が一気に増えたという。東京・荒川区にある、東京女子医大の東医療センターは医師の2割約50人の医師が退職した。千葉・八千代市にある八千代医療センターでも相当数の医師が退職した。東京女子医大3つの附属病院を合わせると、実に100人以上の医師が減った計算になる。

一部の診療科が閉鎖、入院治療の中止も:関係者によると、一部の診療科が閉鎖され、入院治療の中止を余儀なくされた診療科も出ている。

「名門」女子医大の光と影

伝統的に心臓外科、脳外科、臓器移植などの外科分野は、国内トップレベルの手術件数を誇ってきた東京女子医大。私立の医大病院に勤める医師給与は、一般病院よりもかなり低い。「給料が安くても東京女子医大の人気が高いのは、間違いなく国内トップレベルの医療が行われているから。目的意識を持つ医師が、安月給を承知のうえで、東京女子医大を選択している。

外部病院でのアルバイトという救済措置

ただし、それでは生活を維持できないので、救済措置が用意されている。それは、外部の病院でのアルバイト=「外勤」である。東京女子医大では週1回の研究日が設定されており、その日は「外勤」に当てられていた。各医師に報酬は直接支払われます。これで安い給料を補填するのが、長年の慣行となっていました」(東京女子医大・元准教授)

こうした特殊な事情から、研究日の「外勤」は、東京女子医大だけでなく、大半の大学医学部でも認められてきた慣例だった。経営側としてはコストを抑えながら、優秀な医師を確保するための苦肉の策ともいえる。しかし、東京女子医大の経営陣はこの慣例を一方的に破った。「外勤」をやめなければ給与を下げる、という方針を今年2月に打ち出した。不意打ちを食らった医師たちの間に、衝撃が広がった。

東京女子医大の経営統括部が、教授ら管理職に対して配布した学外秘の資料に記されたポイントを要約すると、次のようになる。

・「研究日」に医師の「外勤」をあてる慣例があったが、国が推進する「医師の働き方改革」に合わせて、今年3月末で廃止する

・東京女子医大に勤務する医師は「週39時間」の労働義務を負う

・「外勤」を継続する医師には「週32時間」勤務の選択肢を用意するが、給与は相応の水準とする(以下詳細を省略)

研究日の廃止は、働き方改革に名を借りた、人件費のコスト削減が真の目的なのではないか?医師たちの間に、疑念が深まった。アンフェアな経営側の姿勢に不信感を募らせた結果、東京女子医大を去るという決断は必然だった。

強引とも言える規則改定をした背景には、人件費のコストをカットして経営収支を改善する、という東京女子医大の戦略が見え隠れする。

6年間の学費は1200万円増の4700万円

昨年、コロナ対応に追われていた医師や看護師らに対して、「夏のボーナス支給ゼロ」と回答、大騒ぎになった。理事会側の代理人は、コロナによる財政悪化で、30億円の赤字であると説明した。しかし、この数字は、ボーナスを前年並みに支給した場合の推計値にすぎない。最終的に東京女子医大は1カ月分を支給した。振り返れば、「ボーナス支給ゼロ」も人件費をカットする方針の一貫だったとみるべきだろう。名門とされながら、東京女子医大は経営悪化に苦しんできた。重なる医療事故によって患者数が減り、事故の対応をめぐる混乱などから私学助成金も減額された。関係者によると、岩本氏はボーナスの大幅な減額や定期昇給の抑制など、徹底した人件費削減を実施したという。

人件費を削り、50億円の黒字決算

収入に占める人件費比率は2015年に46.9%だったが、19年には38.9%まで下がり、開設以来、最高額の黒字を記録。20年度はコロナ禍であも、約50億円の黒字の見込みで、大学施設の大半を建て替える計画に莫大な資金を投入している。施設の建設などにあてる、目標額50億円の募金を広く呼びかける文書が、職員にも回りこれも、職員の感情を逆なでした。

新型コロナは、医師や看護師たちの使命感によって、私たちの命が支えられていることを実感させた。本当に必要な医師の働き方改革とは、大学病院に勤務する医師がアルバイトをしなくても済む、妥当な賃金を保証して、医療に打ち込む環境を整えることではないだろうか。

岩澤 倫彦さんの最新公開記事をメールで受け取る(著者フォロー)

Categorised in: ご近所の話題