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2021年3月12日

12690:イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」

イベルメクチンに超期待する人が知らない真実

コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」https://toyokeizai.net/articles/-/416242

清澤のコメント:イベルメクチンに対するコロナ治療薬としての期待が市民の間では高まっているが、過剰な期待は抱かないほうがよいと言う事のようです。それよりはワクチンの普及と有効性に期待と言う事でしょうか?記事を抄出採録します。

 ―――記事を抄出します――――

岩澤 倫彦 : ジャーナリスト 2021/03/12 7:00

コロナ治療薬として急速に脚光を浴びている「イベルメクチン(ストロメクトール)」

新型コロナウイルスの新規感染者数は、大きく減少しているが、まだ次のステップに進む道筋は見えない。こうした中、「イベルメクチン」という薬が注目を集めている。海外で新型コロナの予防や治療に高い効果を示したとして、「奇跡の薬」「コロナ特効薬」と一部メディアが称賛。早期承認を求める声が高まり、個人輸入でイベルメクチンを服用する人も急増しているようだ。盛り上がる「イベルメクチン現象」に対して、新型コロナの治療にあたる医師や医薬品の専門家は危機感を募らせている。それはいったいなぜか?

コロナ治療薬をめぐって、錯綜する情報と診療現場の現実を追った──。――

埼玉医科大学総合医療センターで、新型コロナ対応の指揮をとる感染症専門医の岡秀昭教授。

「新型コロナの肺炎は、ウイルスを排除する免疫が暴走してしまうサイトカインストームによって、肺に炎症を起こし、呼吸が苦しくなることがわかってきました。そこでデキサメタゾン(ステロイド)を入れて炎症を鎮める。炎症が起きると血液が凝固してしまうので、ヘパリンという血液をサラサラにする薬で凝固を食い止める。酸素吸入が必要な患者には、これが最も効果的でスタンダードな治療法になっています」

「当初、理論的にはステロイドは使わないほうがいい、と言われていました。――

「ステロイドの治療がスタンダードになったのは、イギリスでの『ランダム化比較試験』で、死亡率を下げることが証明されたからです」「ステロイドは軽症者に使いません」コロナの場合、すでにある薬を使う「リポジショニング」が圧倒的に多いが、前評判の高い薬が臨床試験で否定されるケースが続いている。

イベルメクチンも明確な有効性は証明されていない

話題のイベルメクチンも質の高い大規模な臨床試験で有効性が証明されておらず、ガイドラインでも推奨されていません。未承認の薬なので、現場で患者を実際に診ている私たち医師は研究目的以外には処方していないのです」一般社会に広まる情報と診療現場にはギャップがある。

だが最近になって一部メディアが「奇跡の薬」「コロナの特効薬」として、イベルメクチンを取り上げるようになっている。

1974年、北里研究所の室長だった大村智博士は、静岡県のゴルフ場の土壌から新種の放線菌を発見。これをアメリカ・メルク社との共同研究を経て誕生したのが、抗寄生虫薬・イベルメクチンである。

オンコセルカ症は、失明に至る恐ろしい病だが、メルク社と北里研究所はイベルメクチンを無償で配布した。これによって中南米のオンコセルカ症は、根絶された。イベルメクチンによる寄生虫治療が評価され、大村博士は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)は、日本で寄生虫や疥癬(かいせん)の治療薬として承認されたが、新型コロナの治療薬としては未承認だ。

北里大学では、「COVID-19対策北里プロジェクト」を寄付金で立ち上げ、イベルメクチンの医師主導治験(臨床試験)は公的研究費で行われている。同プロジェクトの司令塔を務める花木秀明教授は、イベルメクチンの新型コロナの予防と重症化を防ぐ、2つの効果が海外で報告されたと話す。

第3波の影響で臨床試験は事実上ストップ

現在、北里大がイベルメクチンの第2相臨床試験を行いながら、コロナ治療としての承認を得ようとしている。だが第3波の影響で、遅れが出ている。3月4日、医学誌『JAMA』に、コロンビアで行われたイベルメクチンの研究論文が公表された。この結果、コロナの症状が解消するまでの期間に2つのグループに統計的な有意差はなかった。

コロナ軽症患者に大きな有効性は認められない?

「イベルメクチンの研究は、後ろ向き研究や小規模の前向き研究など、信頼性の乏しいものばかりでした。今回の研究はイベルメクチンの有効性を検証した、初めての質の高い大規模臨床試験の結果ですが、問題点も見受けられました。コロナ軽症患者に、イベルメクチンは大きな有効性は認められないと判断してよいでしょう」国のコロナ対策や専門家に対して不信感が深まり、SNSでは個人の思い込みや根拠に乏しい情報が飛び交うようになった

イベルメクチンを特効薬とする報道は論外

医薬品の承認審査に詳しい東京大学薬学部の小野俊介准教授は、「ちょっと頭を冷やして、と言いたいですね。コロナ禍という非常事態であっても、イベルメクチンを特効薬とする報道は論外です。現時点では、イベルメクチンは効くかもしれないし、効かないかもしれない。

RCTにも、研究によって信頼性に差があるので、海外のデータが日本で同じ結果になるとは限らない。薬の審査は、そんなに単純なものではありません。質の高い数千人、数万人の大規模臨床試験を行わない限り、当面の有効性はわからないのです」

その結果は、そう遠くない時期に判明するはずだから、一部メディアの情報に惑わされず、もうしばらく冷静に見守りたい。

Categorised in: ご近所の話題