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2021年3月11日

12688:ビッグデータとAI時代到来・眼科医がいま気にしていること =眼鏡にも無関係じゃない:時計工芸新聞、私へのインタビュー記事の採録です

 ビッグデータとAI時代到来・眼科医がいま気にしていること

 =眼鏡にも無関係じゃない

清澤のコメント:時計工芸新聞2021年3月5日1面に掲載していただいた記事です。この隔週刊行の新聞は時計や眼鏡などの業界誌です。私のインタビュー記事をご笑覧ください。このところAIに関した話題を聞くことが多かったです。

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 眼鏡業界では厚生労働省所管の「職業能力開発促進法」に基づく、眼鏡技術者のための「技能検定制度」の早期実現が話題だ。では眼鏡との関りも深い眼科医はいま何を気にしているのか?

 中世ヨーロッパではペスト大流行期に人間賛歌のルネッサンスが花開いた。人口の3分の1以上が亡くなり庶民の死生観を変化したこと、活版印刷などの新たなテクノロジーの台頭で権力者だけの文化が庶民にも広まったことなどが原因だ。

 それと同じように、いま世界に蔓延している新型コロナが人類をこれまでとはまったく異なる、新たな世界に招き入れると言われている。そしていま、私たちはその入り口に立っている。

 新型コロナで人々の生活習慣や考え方は大きく変わった。では、新しい時代にいざなう新技術とは何か。それはビッグデータと人工知能(AI)、仮想空間だ。全国の眼科医は、こうした技術が従来の眼科診療をも大きく変えてしまうのではないか、ということを気にしている。

 AIが医療を変える、ということは以前から言われてきたことだ。なにをいまさら、と思うかもしれない。眼科医がことさら関心を寄せるのは眼科は他の診療科に比べて大量のデジタル画像を使っているため、ビッグデータやAIといった新技術との親和性が高いからだ。そのため、医療の中でも眼科が最初にAIの洗礼を受けると言われている。

 既に、日本の厚生労働省にあたる、米国の食品医薬品局(FDA)は2018年に世界初のAI搭載眼底写真撮影機を診断機器として承認。この診断機は糖尿病網膜症の病期分類に限定され,米国ではホームドクターや眼鏡店での需要が高まると言われている。2020年には次の機種の承認されている。

 むろん、ビッグデータとAIを眼科の臨床現場に応用するための研究はさらに進んでいる。2018年2月にグーグルから報告された論文ではAIに2・8万人の眼底写真を学習させたところ、年齢、性別、血圧、5年以内の心血管イベント(脳卒中、心筋梗塞など)をかなり正確に言い当てたことなどが示された。他にAIが眼底写真から糖尿病網膜症を眼科専門医と同等の精度で診断できたとの論文も発表されている。

 日本眼科学会眼科専門医で「清澤眼科医院」の清澤源弘院長が言う。

「眼科医の中には将来、眼科医の仕事がAIに取って変わられるのではないか、と懸念する向きもあります。また、ビッグデータとAIを医療に応用する研究は海外で盛んにおこなわれていて、その製品化も進んでいる。ぼやぼやしていると将来の日本の医療費の多くは、海外に流出するのではないか、という危惧も抱いているのです」

 つまり、コンピュータの箱の中に視野や眼圧のデータを入れただけで、例えばこれは開放隅角緑内障で、使うべき薬はコレとコレという答えを出す時代が来つつあるということだ。

 しかも、そのアルゴリズム(手順や計算方法)が公開されず、医者が医者たる部分がいらなくなる可能性がある。むろん、アルゴリズムを握るのは特許を取得した欧米企業だ。

 こうした流れを受け、 日本眼科医会は2月~4月に東京、福岡、名古屋での生涯教育講座のテーマとして「ビッグデータとAI時代の眼科診療」を選んだ。

 そこでは網羅的解析技術の進歩により、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、緑内障などの後眼部疾患にとどまらず、円錐角膜、感染性角膜炎、角膜移植や白内障などと言った前眼部疾患でビッグデータやAIがどのように応用されているか、あるいはされようとしているかについての報告と解説がなされている。

 気になるのはこうしたビッグデータとAIを使った眼科診療の延長に眼鏡はどう関わっていくか、だ。

「今回の講座の中にはありませんでしたが、当然、将来的には関係はしてくるでしょうし、その研究も進んでいてもおかしくないでしょう」(清澤院長)

Categorised in: ご近所の話題