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2020年7月16日

12089:『死を受け入れること 生と死をめぐる対話』より:記事紹介

清澤のコメント:身の回りを片付けて死に備えるみたいな話をよく聞きます。複雑な権利関係が残った財産など、残された人を巻き込む問題も嫌ですが、自然体で死を迎えたいものです。ネットにあった著者の対談を採録しました。

死をタブー視しすぎる日本人の考えにモノ申す

「死を受け入れる」とは一体どういうことなのか

清澤のコメント:興味深い対談ですから、短縮して採録します。原著もある様です。

養老 孟司 : 解剖学者 / 小堀 鷗一郎 : 堀ノ内病院 地域医療センター医師2020/07/16 7:50

これからの社会で死は、どんな姿を現すのか。2人の対談をまとめた『死を受け入れること 生と死をめぐる対話』より。

「死」をタブー視する現代

小堀 鷗一郎:医療の現場で、初めて死に直面した時も動揺することはありませんでした。でもここ15年は手術をしなくなって、終末期医療の現場に入って、一人ひとりの感じ方、家族関係や経済状況などいろんなことを考えるようになったんです。

養老 孟司:病院にとって霊安室は具合の悪い場所で、死んだ人は裏切り者としてそこに置かれていると感じていました。

小堀:死は忌むべきものであるということですね。今の仕事を始めてから知ったのですが、借家の場合、自宅で死なれるのを嫌がる家主もいます。死ぬ時は病院に行ってほしいと。

養老:今は、「死」が当たり前ではなくて異常なこととして扱われるから、かえって常識がわからなくなっています。日本では、死んだら人間ではなくなるんです。

養老:死んだ人は特別だと思っているから、大事にしようとするとやたらと大事にしないといけないし、忌むべきものだとしたら、扱いがぞんざいになる。日本の文化は、死んだ人をかなりはっきりと差別しています

小堀:そういえば、養老先生は著書で書いておられましたね。

養老:そうです。そこで、遺体が人に戻るんです。

死亡率100%だから安心できる

養老:「どういう死に方を望みますか?」と聞かれることがあるんです。いろんな生き方、死に方があるべきです。一般の普遍性に乗せようとします。自分の死に方なんてコントロールできません。人はいつか死ぬ。死亡率100%。だから安心できるんです。

小堀:僕も自分の死について考えたことはありません。ポール・クローデルというフランスの詩人は、子どもたちに、「自分は死ぬから隣の部屋へ行ってくれ、自分1人にしてくれ」と言っていたそうです。

死は自分にとってではなく家族にとっての問題

養老:70代になった頃、死について考えることがあったんです。これは考えても無駄だという結論になりました。僕の死は、自分にとってではなく家族にとっての問題なんです。僕は死んでいる。何もできない。家族は生きている。だから委ねる。

「こういう死に方はみっともない」とか、「死ぬ前に準備をする」とか、そんなことを考えても無駄です。

自分は死なないと思っている

小堀:あるがん末期の患者のところへ、いつも診察している医者の代わりで診察に行ったことがあるんです。僕は、この病気はもうよくなるということはないということを言ったんです。今の僕の仕事はそういうことです。あれで2人は吹っ切れたんじゃないか、と言ってくれた人もいました。

養老:人は、「自分は死なない」と思っています。その人の日常に、自分の死は存在していないということです。

意識できないものとわからないものに対し

僕の知り合いの家の庭にケヤキの木があって、秋になると枯れ葉が落ちる。すると、近所のコンビニの店長が「汚いから片付けろ」と怒鳴り込んできて困ったよ、と言うから、「おまえが死んだらそのケヤキの木をどうするか、考えている?」と聞いたんです。

だけど、そんなことはまるで頭にない。自分の死は存在していないこととして扱っています。「自分がどうやって死ぬか」に興味を持つことはあっても、今のうちに準備できることはしようとはしないんです。

小堀:養老先生の何かの記事でいちばん印象に残っているのは、「人間には意識している世界と無意識の世界がある」と。死についてもそうですね。

気がついたら死んでいた、が理想

養老:僕は「気がついたら死んでいた」がいいです。

『死を受け入れること 生と死をめぐる対話』(祥伝社)。

小堀:僕もまったく同じです。ただ、病院のベッドで寝ていたくはないですね。病院では死にたくないですね。

養老:僕も病院は嫌です。だって禁煙だから(笑)。

小堀:養老先生のご家族は、養老先生のことをわかっていらっしゃるでしょう。

養老:あの人を病院に入れてもねって。そこら辺で死んどれ、って(笑)。

Categorised in: ご近所の話題