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2019年10月2日

11132:インフルエンザ患者感染性粘液への現行手指衛生の脆弱性

清澤のコメント:皮膚に付着したインフルエンザの患者喀痰が乾燥していない状態では、通常のエタノール噴霧による手指消毒では不十分な理由が説明されました。 京都府立医科大学のプレスリリースからの抜粋です。

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インフルエンザ感染患者由来の感染性粘液に対して
現行の手指衛生の有効性が低下する状況の特定
~現行の手指衛生の脆弱性を同定する~


京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学 廣瀬亮平助教ら研究グループは、インフルエンザ感染患者由来の感染性粘液に対してア ルコール系消毒剤の有効性が低下するメカニズムを解明し、さらに現行の手指衛生の効果が低 下する状況を特定した。

本研究では、現行の手指衛生に使用されるアルコール系消毒剤が上気道由来粘液中のインフ ルエンザウイルスに対して消毒効果が極端に低下する事を実証した。

論文タイトル:Situations leading to reduced effectiveness of current hand hygiene against infectious mucus from influenza-infected patients :インフルエンザ感染患者由来の感染性粘液に対して現行の手指衛 生の有効性が低下する状況の解明] 研究者情報 京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科 助教 廣瀬 亮平(研究責任者) 感染病態学 教授 中屋 隆明(研究責任者) 消化器内科 教授 伊藤 義人


【研究概要】 季節性インフルエンザウイルスによる例年のアウトブレイクは、多大な人的および経済的被 害をもたらしており、感染拡大の予防は極めて重要な問題です。 インフルエンザウイルスによ る接触感染は重要な感染経路の一つです。2002年に疾病管理予防センター(CDC)で定 められた手指衛生ガイドラインに基づいて、国内外問わずすべての医療機関において接触感染 対策として手指衛生が積極的に行われている。本研究では、現行の手指衛生に使用される アルコール系消毒剤が上気道由来粘液中のインフルエンザウイルスに対して消毒効果が極端に 低下する事を実証した。 感染性粘液のヒドロゲルとしての物理的性質による拡散・対流現象の低下によって、感染性 粘液中の消毒薬濃度上昇速度が遅くなり、その結果消毒薬が粘液中の病原体に対して消毒効果 を発揮する(つまり粘液中の病原体を完全に不活化する)のに必要な時間が延長される。こ の現象によって、消毒効果の低下が引き起こされることが明らかになった。一方で、感染 性粘液が完全に乾燥し固形化するとヒドロゲルの特性は失われ、消毒効果の低下は生じないこ とも明らかになりました。 これらをまとめると、感染性粘液が手指などの体表に付着して完全に乾くまでの間は(本 研究では約 30-40 分間と想定しています) 、消毒薬を使用した適切な手指衛生施行後でも感染力 を維持した病原体が体表に残存し、周囲に感染が広がるリスクがいぜん高いことが明らかにな った。 本研究成果は、現行の手指衛生・接触感染予防の脆弱性を明らかにするものであり、今後そ の脆弱性の克服を進めることによって、より効果的な消毒剤/手指衛生法の開発ならびにインフ ルエンザアウトブレイクの効果的な予防法構築につながることが期待される。

清澤の追記、参考事項:

ゲルは、分散系の一種で、ゾルのような液体分散媒のコロイドだが、分散質のネットワークにより高い粘性を持ち流動性を失い、系全体としては固体状になったもの。ゾルがゲルになるときに、分散質が繋がってネットワークを作る現象を架橋と言う。ゲルは架橋の方法により、

  • 化学ゲル – 共有結合。
  • 物理ゲル – それ以外。分子間力など。

に分かれる。物理ゲルの結合は弱く可逆的で、温度変化や応力などでゾルに戻る。化学ゲルの共有結合は安定している。湿潤ゲルのうち、分散媒がのゲルをヒドロゲル (hydrogel) という。分散媒を大量に含み一様な構造をとるものをジェリー (jelly) という。

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