お問い合わせ

03-5677-3930WEB

ブログ

2018年3月21日

9703: 2018年4月よりの新たな臨床研究法:記事紹介

9703: 2018年4月よりの新たな臨床研究法:記事紹介

清澤のコメント:
被検者の人権保護は何にもまして重要なのですが、臨床研究は此の所、大学においても民間においても一層行いにくくなっています。学会における(介入を伴わない)複数の症例報告程度の発表でも、それに準じた倫理委員会の審査と許可の申告が求められるようになり、演題提出を行おうとする発表に先回りした委員会申請をするとなると、相当なリーデイングタイムと文献調査などの準備が必要です。
前向き研究はもちろん、介入を伴わない回顧的調査研究でも、過去カルテを調べる前に文献調査なども完了して、予想される結果までを示す必要があるわけです。営利を目的とした新薬開発ならばそれも乗り越えて行われるでしょうけれど、特に既に大学を離れた医師たちにとっては個人の能力を超える相当な負担です。
1e25195c1b08381a0d7cb015670eabec22b4d2cd_lクロード・ベルナールが実験医学序説(注1)で主張した、「医学臨床は、先人からの伝承に盲従するべきではなくて、実験的に最適な解答を求めて行われるべきだ」という行き方とはずいぶん離れて行ってしまっています。昭和の時代に古い医学を教えらえた私には、「医学において勉強する」という事の意味が、「本を読み、単に先人のいう事を覚える」という事だけではなく、「自分で正解を考える」という事も必要であろうと思うのですけれど、いかがなものなのでしょうか?。最近の世相からは、中世にガリレオが「地球は丸い」という事の発言を封じられた時代を連想してしまいます。
本日、某薬剤の開発を紹介した記事の中に下記の記述がみられましたので、採録いたします。

「2018年4月より新たに臨床研究法※が施行されることで、臨床研究へのハードルが高くなり、現時点で2018年内に開始できるかどうか微妙な情勢となっている。とは言え、これらの眼疾患についてはいずれも市場規模が大きいことから、今後の開発動向が注目される。(出典 https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201803200478)

※製薬会社が資金提供する臨床研究について、研究を行うアカデミア側には、第三者委員会による研究計画の審査と厚生労働大臣への報告などが、製薬企業には契約締結と資金提供の情報等の公表が義務付けられた。2013年に発覚したノバルティス<NVS>の高血圧症治療薬「ディオバン」にかかる臨床試験において、データの不正操作等が発覚し、社会問題化したことが契機となっている。」

下記ページは、厚生労働省の発表している記事の概要です。実務上必要な方はご精読ください。
臨床研究法について(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000163417.html) 臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、臨床研究に関する資 金等の提供に関する情報の公表の制度等を定めることにより、臨床研究の対象者をはじめとする国民の臨床研究に対する信 頼の確保を図ることを通じてその実施を推進し、もって保健衛生の向上に寄与することを目的とする。

注1:実験医学序説
フランスの生理学者C・ベルナールの著作。1865年刊。原題はIntroduction l’tude de la mdecine exprimentale。R・L・C・ウィルヒョーの『細胞病理学』、C・ダーウィン『種の起原』とともに、19世紀の医学・生物学の重要な古典の一つ。「実験的推理」「生物における実験」「生命現象の研究に対する実験的方法の応用」の3部からなっている。
第1部では、実験は科学者と自然との間に行われる対話である。観察された事実が構想(仮説)を生み、この構想のうえに推理し実験し、その結果を観察して仮説を修正する。こういう手続によって現象のおこる条件(原因)を解明することが科学の目的であるとし、第2部では、因果の秩序(デテルミニスム)は、無生物におけると同じように生物の世界にも成り立っている。ヒトや高等動物の生理・病理の条件は複雑であり、とくに、細胞を取り巻く内界(内部環境)への十分な顧慮が必要であるが、終局的には、生体の現象も物理・化学的な諸条件に帰着する、と述べ、第3部では、膵液(すいえき)の脂肪消化作用、肝臓のグリコーゲン生合成など、彼の業績が、第1、第2部の裏づけとして追想される。さらに、病理学、治療学が、経験ではなく、実験的デテルミニスムを基礎としなければならない、と説く。
本書はフランスの思想界に大きな影響を与え、その一つとしてE・ゾラの自然主義小説を生んだ。H・ベルクソンは、本書をデカルトの『方法序説』に並ぶものとした。[梶田 昭]
『三浦岱栄訳『実験医学序説』(1961・東京創元社)』


Categorised in: ご近所の話題