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2017年11月26日

9385:「Vogt-小柳-原田病の国際診断基準」(望月學)を読んで

Vogt-小柳原田病の国際診断基準 【東京医科歯科大学望月學】を読みました。

 

眼科医の手引 <900> 日本の限科 88:11 (2017) 1488 

 

清澤のコメント:私の元上司であった望月學教授のまとめられた「眼科医の手引き」の内容です。最初の部分に原田病に関するコンセンサスを手短にまとめて居られて、参考になります。肝心の表ですが、本文と被るので下のサマリーでは割愛しました。

 

1 はじめに 
 Vogt―小柳―原田病はその特異な臨床症状と自己免疫疾患として注目されている。

更に,その病名に本邦の先達の眼科医の名前が付けられていること,また患者が本邦に多いことなどから,我が国の眼科医にとって大変に重要な疾患である。

 歴史

1906年にスイスの皮膚科医Alfred VogtDにより初めて報告。詳細な眼症状の記載は 1914年の小柳美三と1926年の原田永之助。

小柳は夕焼け状眼底を初めて記載。原田は多数の症例で本疾患の自然経過を報告。

猪俣ら、原田病の病理組織を詳しく報告。

杉浦らは原田病を免疫学的にメラノサイトに対する細胞性免疫。

大野らは本症の免疫遺伝学的解析を行いHLA-DR4が相関する.

山木らは原田病の動物モデルの作成に成功し,本症の原因自己抗原をtyrosinaseと決定。

杉田ら:原田病患者の眼内浸潤リンパ球はtysrognaseに反応して炎症性サイトカインを産生する。サイトメガロウイルスの関連タンパクがtyrosinase と構造類似性がある。サイトメガロウイルスに感作されたリンパ球が眼や皮膚や髄膜に存在するメラノサイトのtysosinaseと交差反応を起こして本症が生じる。

 

原田病の治療

増田ら副腎皮質ステロイド薬の大量点滴療法・

大野ら:ステロイドパルス療法。

 

 原田病は本邦の先達により発見され , その発症機序、病理、免疫遺伝、治療に関する重要な研究も本邦でなされた。本症の国際診断基準は海外の眼科医にの主導で現在に至る。

 

.原田病の国際診断基準

国により病態や診断の理解には大きな差異がある。

原田病についての国際ワークシヨップがRaoらにより計画され,そ の第一回の会議、1999 10月開催された。

その結果は2001年 のAm J Ophthalmolで公表された()

 この国際診断基準は原田病を完全型,不全型、probable 3つに分類し、詳細に診断基準を規定。共通するのは、ぶどう膜炎の発症前に穿孔性眼外傷あるいは手術の病歴がな

 

ぃこと。ほかのぶどう膜炎を示唆する臨床症状あるいは検査結果がないこと。表の3に記載されている特徴のある両眼性のびまん性脈絡膜炎あるいは眼の脱色素病変があることの3項目。

 

  1. 完全型原田病

    1、ぶどう膜炎の発症前に穿孔性眼外傷あるいは眼内手術の既往がない。

    2、ほかのぶどう膜炎を示唆する臨床症状あるいは検査結果がない。

    3、特徴のある両眼性の早期眼病変のびまん性脈絡膜炎,、あるいは晩期眼病変の眼の脱色素病変等がある。

    4、神経学的/聴覚所見がある。

    5、脱毛、白髪、皮膚白斑などの皮膚症状がある,の全てが存在する場合に完全型原田病と分類される。

     

  2. 不全型原田病5項目の中で、13と、4または5を満たすもの。即ち、眼病変に加え て、神経症状あるいは皮膚症状のいずれかがあるもの。

  3. 5項目の中の13だけを満 たすもの。これは全身症状を欠く眼病変単独型ともいえるもの。

     

.原田病の国際診断基準の問題点

  1. 新しい画像診断法眼科領域では日覚ましい画像診断技術の進歩があり疾患の診断と病態解析に用いられるようになった。(インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査、光干渉断層計などが入っていない。)

  2. 全身病変のない眼単独の原田病は存在するのか?

    本邦では、原田病はメラノサイトに対する自己免疫疾患であり、眼だけでなくメラノサイトが存在する全身の組織に炎症が生じる全身疾患であると理解されている。そのため、本邦では眼症状だけでは原田病の診断は下されない。

  3. 髄液検査、聴覚検査の重要性が軽んじられている?

    眼所見が原田病に酷似しているが髄液検査や聴覚検査が陰性で多発性後局部色素上皮症(multifocal posterior pigment epitheriopathy, MPPE)であつた症例もある。

 

Ⅳ、おわりに

原田病は我が国のみならず世界的にも大変に関心の高い眼疾患であり、その診断基準は原田病の治療や基礎研究を国際的に行う場合の基盤となる重要な事項である。1999年 に作成された本症の国際診断基準の内容とその問題点について解説した。

清澤の参考記事:
2008年07月16日 612 原田病、Vogt-Koyanagi-Harada syndrome、フォークト・小柳・原田症候群(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/51057353.html


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