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2017年11月12日

9338:「斜視」の発症関連遺伝子候補を発見 – 岡山大

2017年11月6日 16時24分

清澤のコメント:岡山大学の松尾俊彦先生らが2つの斜視の遺伝子を同定したと米国の雑誌に報告したという記事が出ています。斜視は多くの遺伝子で起こされ得る多遺伝子性の遺伝が考えられる疾患かと思われます。抄録を見ますと、すでに彼らが指摘していた2つの染色体上の位置(IOVS
に掲載)があって、其処あたりに異常のある症例を日米の遺伝子データバンクから探して、症状の有無を突き合わせると特定のたんぱく質を作る特定の遺伝子が確定できたというような研究内容のようです。

ちなみにPeerJのインパクトファクター(2016年)は2.2。
他のオープンアクセスジャーナルでは
eLife IF:8.519 投稿料無料!
Cell Reports IF:7.207
Scientific Reports IF:5.1
PlosOne IF:3.534 だったそうです。


--マイナビの記事引用--
岡山大学は、目の病気の1つである「斜視」について、その発症に関連する遺伝子候補として2つの遺伝子(MGST2、WNT2)を発見したと発表した。

同成果は、岡山大学院医歯薬学総合研究科眼科学分野の松尾俊彦准教授らの研究グループによるもの。詳細はアメリカのオンライン科学雑誌「PeerJ」に掲載された。

斜視は一方の眼の視線がずれているため、両眼をうまく使うことが難しくなり、モノが立体的に見える機能が落ちたりする遺伝要因と環境要因の両方が発症に関わる「多因子疾患」として知られている。

研究グループは、2000年以降さまざまな臨床研究を実施し、斜視の発症には遺伝の要因が関与していることを明らかにしてきたほか、小学生の約1%に内斜視や外斜視があり頻度が高いことや、斜視患者では家族歴の頻度が高いことならびに、1卵性双生児は2卵性双生児と比べて斜視の表現型の一致率が高いことなどを証明してきた。

また、血液の白血球からゲノムDNAを抽出して、斜視の発症がどの染色体の部位(座位)と関連するのかについての調査も進めてきており、その結果、2009年に斜視の発症に関連する遺伝子座を発見したという。

今回の研究では、斜視関連の遺伝子座の4番染色体の4q28.3領域ではMGST2、7番染色体の7q31.2領域ではWNT2を斜視関連遺伝子として特定することができたとしている。

なお、今回の斜視関連遺伝子の解明について研究グループは、多彩な表現型をもつ斜視の診断精度向上につながる成果と説明しているほか、両眼をうまく使う機能「両眼視機能」を明らかにする第1歩になるとのコメントしており、今後、さらなる斜視に関する研究が加速していくとの期待を示している。
ーー引用終了ー

この件に関しては岡山大学のプレスリリースがあり、其処からリンクをたどれるこの原著のアブストラクトは以下の通りです。
(https://peerj.com/articles/3935.pdf)

MGST2 とWNT2は日本人に見られる共動性斜視の原因遺伝子の候補である。
Jingjing Zhang とToshihiko Matsuo
岡山大学医学、歯学、薬学大学院、眼科、岡山県、岡山市、

要旨
背景/目的
斜視は両眼の向きが異なることによって、視力の低下、両眼視の欠如、そして複視を起こすことのある一般的な疾患である。これは、様々な環境および遺伝的なリスク要因によって引き起こされる。

我々の以前の研究では、日本家系における4q28.3および7q31.2領域における染色体感受性遺伝子座が同定された。染色体遺伝子座を単一の遺伝子に絞り込むための連鎖解析による検証研究を行った。

方法:
日本および米国のデータベースから、4q28.3および7q31.2領域からそれぞれ24個のrsSNPおよび233個のrsSNPが選択された。58家族で108人の疾患を持つ被験者および96人疾患を持たない被験者を調べ、原発性および非症候性の症候性斜視に再分類しなおした。

伝達不均衡試験(TDT)、誤差を許容するTDT(TDTae)、および優性および劣性遺伝における連鎖解析という3つの主要な分析方法を使用した。

結果。 TDTおよびTDTaeにおける有意なP値を示すSNP(スニップ)は、染色体4q28.3遺伝子座上のミクロソームグルタチオンS-トランスフェラーゼ2(MGST2)にのみ存在していた。

これとは対照的に、顕著なSNPは、染色体7q31.2遺伝子座上のウイングレス型MMTVインテグレイタサイトファミリーメンバー2(WNT2)を含む少数の遺伝子に分散していた。 

 7q31.2遺伝子座上の有意なSNPの分布は、同じ大きなハプロタイプブロック中のST7からWNT2領域のみが、3つの連鎖解析法の全てについて有意なSNPを含むことを示した。

結論。この研究は、MGST2およびWNT2が、日本人集団における共動性斜視症候群の潜在的候補であることを示唆している。


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