お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2017年10月5日

9248:爽やかな風 宮島早苗代

新聞記事「爽やかな風」爽やかな風 宮島 早苗代 (岐阜県神戸町=農業・74) 

日が落ちて、強く冷たい風吹く二月末だった。 「川まではあとどれくらいありますか」。農作業をしていた私に、リュツクを背負って歩いてきた青年が聞いてきた。 京都から松本の家まで、中山道を歩いて帰る道中で五日目だという。今朝は、醒ヶ井酪駅を四時に出発したとのことだ。

聞けば、その青年が学ぶ大学は夫の亡くなった弟と同じ。私は四、五年前に京都ヘお墓参りをしたときに、その大学の学食でお昼を食べたので、いろんな縁を感じた。 揖斐川を渡 って、泊まれそうなところはまだ先。私は青年に、わが家に泊まるよう勧めた。 話が決まると、 お手伝いしましようか」と、重い農具をひょいと軽トラツクに積んでくれた。 あり合わせの夕飯だったが、おかわりだけはたくさんあるようにした。息子とも意気投合したようで、聞き慣れない単語が飛び交って楽しそうだった。

 翌朝も早く出るというのを、朝食を食べてからにしなさいと引き留めた。おにぎりを作って、この礼儀正しい青年を送り出した。

「あれは夢?」。今はそう思える一夜。爽やかな風が吹き抜けていったような出来事だった。

くらしの作文 中日新聞 2017.3.19

眼科医清澤のコメント:松本に住む母が、宝物のようにしていた記事のコピーを送ってくれました。袖触れ合うも他生の縁と言いますが、一期一会の出会いというものは良いものです。


Categorised in: ご近所の話題