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2017年8月30日

9151:日光「三猿」なぜ目が大きくなった? 専門家が問題視:記事紹介

無題日光「三猿」なぜ目が大きくなった? 専門家が問題視

長野剛(http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20170829000739.html

眼科医清澤のコメント:今日の目の話題です。記事に付された以前の三猿の目を見てもずいぶん変遷していることが分かります。日光の社寺はワビサビを特徴とせず安土桃山様式の鮮やかな豪壮さが特徴なので、常に鮮やかに彩色を新たにして来たそうです。とすれば、昨年の姿が、オリジナルというわけでもないわけです。しかし、直前と変わって見えると、変わったと騒ぐ人もまたいる、ということのようです。

--記事引用--- 

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写真・図版 修理で塗り直され、3月30日から神厩(しんきゅう)に再び設置された三猿=5月30日、栃木県日光市の日光東照宮、長野剛撮影

 

「見ざる・言わざる・聞かざる」で有名な日光東照宮(栃木県日光市、世界遺産)の彫刻「三猿」の目が今春の修理で、まるでゆるキャラのように大きくなっている。目の幅は以前の3割増しほどで、過去のどの写真よりも大きい。専門家は「過去の再現として問題があり、次回修理で描写を再検討すべきだ」という。

 

3月にお披露目されて以降、ネット上で「下手すぎる」と評判になっていた。そこで、名古屋城復元の専門委員などを歴任する奈良文化財研究所の元建造物研究室長、窪寺茂さんに一緒に取材してもらった。

 

東照宮は頻繁に修理を繰り返し、常に「新しい」状態を維持しているのが特徴。三猿も明治期以降、今回に加えて1900年、23年、51年、73年に修理で塗り直されてきた。修理は日光の2社1寺がつくる職人集団、日光社寺文化財保存会が行っている。

 

保存会に残る最古の写真は51年修理の直前のもので、23年修理の塗装の一部が確認できる。窪寺さんは、これとその後3回の修理後の写真、今回修理の手本に使われた見取り図を使い、「言わざる」の左目の幅を比較した。

 

その結果、51年修理ではまず、23年修理よりも2割小さくなっていた。73年修理で大きさは元に戻ったが、今度は目尻がくっきりリアルに。今回修理では丸い目に戻ったが、幅は3割増えた。手本の見取り図は23年修理とほぼ同じ大きさの丸い目だった。

 

■「言わざる」の手の甲に毛がないことも確認

 

このほか、過去のどの資料とも異なり、「言わざる」の手の甲に毛が描かれていないことも確認できた。

 

窪寺さんは、今回修理後の三猿の全体像について、「大きくバランスを崩したとは思わない。妥当な品質だ」と評価。だが、目などの詳細部分が変化したことには、「文化財修理のあり方の観点からは課題がある」と述べた。

 

保存会の工事監督、浅尾和年さんは「推定可能な範囲で、できるだけ昔の修理後の状況を再現する」修理の方針だった。ただ、資料が断片的な三猿では困難だったという。

 

まず、51年修理直前の写真は塗装の痛みが激しい。目が小さくなるなどの改変があった51年修理後の写真も参考にしづらかった。

 

そこで、51年以前の状況にも詳しい職人(故人)が後年に描いた見取り図を、今回の手本に選んだ。幼さを感じさせる丸い目が51
年、73年修理と異なり、幼少期の猿という設定とも合致するため「古い状況を反映している可能性が高い」と判断したという。

 

窪寺さんの指摘に、浅尾さんは「問題と思われても仕方ない部分はある」と認める。修理後の目の丸さは手本の見取り図の反映だ。だが、大きいのは「職人が、師匠だった見取り図作者による『ぱっちりした目』への思いをくんだ結果だった。全体の調和はとれているため、受け入れた」と説明した。

 

■職人の「思いを込めた描写」が課題

 

窪寺さんは、見取り図を手本とした点は「資料が断片的で困難な状況の中、妥当な判断」と評価する。職人の「思いを込めた描写」が課題だという。

 

文化財の歴史的・文化的な特徴を残すため、「職人の個性は排除されるべきだ」と窪寺さんは言う。自ら監督した別の現場で職人が「元よりも上手に描きすぎて」やり直させたこともあるなど、「個性」が紛れ込む現場は他にもある。

 

「再現用の資料を十分残し、それを再現できる人材を確保することは、日光だけでなく我が国全体の課題だ」と指摘する。

 

窪寺さんの評価について、日光東照宮の稲葉尚正総務部長は「今後の修理に向けた保存会の検討課題として、生かさせていただきたい」と話している。

 

修理は国の補助事業で、文化庁は修理結果を報告書でチェックした。担当者は「文部科学大臣が技術を持つ団体と認定した保存会による修理なので、技術は保証されている。ネットの批判は知っているが、手作業による誤差の範囲と考える」と話している。(長野剛)


Categorised in: ご近所の話題