お問い合わせ

03-5677-3930WEB

ブログ

2017年5月21日

8863:第9回 TMDU眼科フォーラム(東京医科歯科大学眼科フォーラム)聴講印象記

第9回 TMDU眼科フォーラム(東京医科歯科大学眼科フォーラム)(2017年5月20日大手町産経プラザ3階)を聞いてきました。
聴講印象記を記載してみます。

第1部:
講演Ⅰ 『マウス人工多能性幹細胞からの網膜色素上皮細胞誘導 -高橋研で学んだこと』岩崎優子(東京医科歯科大)

講演Ⅱ 『強度近視外来における白内障手術』長岡奈都子(東京医科歯科大)

第2部:
◎特別講演Ⅰ 『網膜再生医療の現状と未来』高橋政代(理化学研究所 多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー)

清澤の印象録:多くの優れた眼科学の研究者が、ようやく教授になると、まもなく単なる有名術者になったり、あるいは学内や学会での政治家に転じてゆくのを見ることが多いと思います。その点、高橋先生は眼の見えない患者を助けたいという最初からの同じ思いをずっと持ち続けられていることが印象的であり、感服するところです。派手に取り上げられやすい網膜移植を扱って居、また有名な雑誌に数々の業績を発表され続けながらも、「失明した人は晴眼者のように見えるようになるわけではないので、リハビリの重要性は一層高まる」という考えに、単なる上手な手術者とは違う発想の起点を感じました。

お話の要点としては、

iPs細胞で作った網膜色素上皮の機能は良く、細胞面からの失敗要素はすくない。そのシートは定着し広がって平坦化していた。色素上皮移植だけでは成功しても視力改善感が乏しいから、最初の移植には血管新生抜去を併施し、こちらの効果で患者が満足感を自覚できる治療デザインとしていた。2例目は遺伝子に変化が見つかったので中止とした。NEJMを見れば、世界の網膜への幹細胞移植技術は実に玉石混交である。

眼科に限らねば、吸引した脂肪の中の幹細胞を移植するといった怪しげな「再生医療」が市中で行われたりもしている。これに対して「再生医療を守る」ための法整備も国内では行われている。

杉田先生の取り組む技術では、iPs利用なら採血で多くのHLAタイプの細胞を集められ易く、「HLA6座ホモ」のiPs細胞が得られやすい。

これからは先の移植では従来のシート移植から、懸濁液の形に変えての移植を考え、ES-RPEの供給を考えている。今後、臨床研究ができる規模の研究施設ならどこでも「色素上皮不全症」にこれが使えるようになるだろう。それを、医科歯科大が強度近視眼に使ってくれたらよい。

視細胞を作って移植するという研究も1980年代からあり、インドのDr. DASがそれを行っていた。

網膜移植では移植した細胞が果たして神経としてホスト側につながるかどうかが問題で、単なるサイトプラズミックインフュージョンではつながったことにならない。実験モデルも大事で、世界の主要なセンターが使っていた実験用の動物モデルでは、アーチファクトを移植した成分と宿主のの神経接続と誤認していたという事件もあった。

2010年ころと比べれば、遺伝子治療、人工網膜治療、網膜再生治療がそれぞれに侵攻していて、殊に米国では人工網膜の解像度が騰がり、その手術は毎週のように行われる軌道に乗っている。まもなく、網膜色素上変性症が治療できる時代が来るだろう。

岩手大学の富田先生はチャネルロドプシンを神経節細胞に入れて、視細胞なしで光を感じさせるという、別の方向からのアプローチをしている。

網膜色素変性などの患者を絶望させるような診療は良くない。希望をつながせよう。そのような発想で神戸アイセンターにネクストビジョンフロアも作り、三宅琢先生のアイパッドの使い方指導などもおこなう。」 

◎特別講演Ⅱ 『結果にコミットする。白内障手術』大鹿哲郎 (筑波大学 医学医療系眼科 教授)

聴講印象記です:
まず本当に優秀な人は、目の前の事実を冷静に分析して問題点を的確にとらえ、普通の人にもわかる言葉で的確に要点を教えることができるということを感じます。聴衆を見極め、無理に研究的なことに話を持ってゆくのではなく、今日は白内障手術のテクニカルなことをお話しされました。今日の話を聞きながら、その昔、大鹿先生の白内障の手術法をまとめた本を見たときに、チストトームを引く方向と球面の一部である前嚢の形で、前嚢の切れ口の進む方向が決まるというベクトル図を見たときの驚きを思い出しました。

今日のお話では、
1)術後屈折誤差を減らすには光学式のほうが良い。いくつもの式で出る最適レンズ値が違う目では慎重にレンズを選ぼう。
2)ト―リック眼内レンズでは乱視軸が大切。術後の乱視軸のずれは最新のVERIONやORAでもあまり変わらない。
3)術後に大きな乱視が出るケースがある。修正手術は鈍針で回転すればよく、簡単だが、一週間程してからがよかろう。
4)多焦点IOLには遠方と近方の間にピントの合わぬ距離がある。それを減らすには近方加入の少ないものが良い。多焦点眼内レンズではシンフォニアなど新世代が出てくる。
5)一面切開用の特製ケラトームを作った。眼球を抑えるジュエラーも有用
6)眼内レンズを入れ替えるために引き出す場合、下分剪刀が良い
8)山根法:30ゲージ針にループを入れて引き出してパクレンでループ端を太く加工して胸膜に固定する。
9)先天白内障では後で曇るから、PCCで後嚢を切る
10)前部硝子体剥離では、レンズ後面にガラス体がついていないことがある。等々
ーーーー


Categorised in: ご近所の話題