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2017年4月27日

8803:コラム:朝鮮半島有事の「日本売り」シナリオ(斉藤洋二)記事紹介

清澤のコメント:4月25日には北朝鮮の核実験は行われませんでした。しかし事態が緩和されたわけではありません。
ロイターのコラムに:朝鮮半島有事の「日本売り」シナリオ=斉藤洋二氏、というのが出ています。その概要を短縮して採録してみます。朝鮮半島有事を短期と長期でとらえ、ともに円売りを予測し、従来の諸々の危機とは違うと予測しています。とすれば、従来のように円と金などのコモディティーが並行した動きをしないことがみられるかもしれません。
私は、ロイターのコラムには広く世界を俯瞰し、客観的に正鵠を得たたものが多いと思って読んでいます。
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○斉藤洋二  ネクスト経済研究所代表

[東京 13日] – 朝鮮半島情勢は緊迫の度を高めている。朝鮮半島リスクの本質を整理し、「有事の円買い」という長年使い古されたアクションプログラムの有効性を点検。

◎<常に「有事の円買い」だったわけではない>「愚者は己の経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

円相場に大きな影響を与えた3種類の事案

●イラクのクウェート侵攻(1990年)と湾岸戦争(1991年)など日本のエネルギー事情への不安を呼び起こした事案

●世界貿易センター爆破事件(1993年)など米国経済を揺るがした事案

●阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)など日本経済を直撃した自然災害

中東発の事案では、相場は初期反応としては原油枯渇への恐怖でパニック的に円安に振れた。ただ、それは一過性の「感性による円売り」とでも言うべきものだった。その後、冷静さを取り戻した投資家による「理性の円買い」が勝り、円相場は元の水準へと回帰した。

2番目の米国発の事象では、それまでの「有事のドル買い」から「有事のドル売り」へと投資家のアクションプログラムが更新されたよう。

3番目の日本国内の自然災害による相場変動については、円安へ動くと見られていたが、実際は2011年3月の東日本大震災の時、国内の資金需要を受けた機関投資家の海外資産売りを機に円買いで、秋に1ドル75円まで上昇。

行動経済学者のダニエル・カーネマン氏が著書「ファスト&スロー」で指摘している人間の思考プロセスが参考になる。人間の思考には、直感的な「速い思考(システム1)」と、熟考型の「遅い思考(システム2)」がある。

地政学リスクへの反応は短期的にこそ「システム1」である心理的要因に支配され、避難行動としてポジション手じまいの方向へと傾くが、心理面で平静を取り戻すと「システム2」に基づく行動に移り、需給や金利など本来の相場決定要因に視線が戻る(自律調整機能が働く)と想定できる。

◎<システム1もシステム2も円売り示唆>

朝鮮半島有事に対し、投資家がとるべき対応について検討。

朝鮮半島リスクの特徴は、前述した中東発や米国発の事案とは違い、有事の際は、地理的に近い日本も直接的・物理的な被害を受ける当事者となる可能性が高い。

日本の近接したところで発生し、また物理的な被害まで想定される以上、恐怖感など直感が判断を左右することは明らかである。よって、円売りへの反応が正解。「有事の円買い」「有事のドル売り」に固執するのは危険。

基本的に有事に直面した投資家がとる共通行動は「ポジションクローズ」。

目下の市場のポジションは過去2―3年の相場つきからほぼ中立的から若干の円買い。したがって、少なくとも海外勢が行う有事のポジション調整の多くは外貨買い。

また、東京株式市場の外人投資家の行動を予測すれば、「日本買い」のポジションをひとまず縮小させるだろう。つまり、日本へのエクスポージャー圧縮を目指すヘッジの動きが主流となり、短期的なアクションは株売り・円売り、つまり「日本売り」か。

その後の長期的な相場の動きについては、為替需給と金利などを眺めて均衡点を模索することになるだろう。ただ、熟考を経た「システム2」の行動が、円買いにシフトする保証はない。

特に朝鮮半島リスクが、1)米朝間で「軍事行動」の脅しが前面に押し出される現段階から、2)北朝鮮との関係が深い中国を巻き込み、米中対立の恐れが高まる次の段階、そして3)北朝鮮と友好関係にあるシリア、イランさらにその後ろ盾であるロシアをも巻き込んだ国々と西側諸国との軍事対決懸念が高まる最終段階へと進展していくようなことになれば、発火点に近い日本からの資金流出はいずれ段階的に加速することになろう。

このように考えると、システム1でもシステム2でも朝鮮半島有事は日本売りを示唆しており、為替ディーラーや投資家の長期行動はドル買い・ユーロ買い・円売りではないだろうか。つまり、「有事の円買い」のアクションプログラムは、こと朝鮮半島の事案絡みでは「有事の日本売り」へと上書き訂正する必要があるように思えてならない。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒、近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
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