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2017年3月18日

8684:高齢者の甲状腺眼症(舟木智佳先生)を聞きました(聴講印象記です)

第30回甲状腺眼症研究会  2017年3月18日 ステーションカンファレンス東京 清澤のコメント:  オリンピア眼科病院(井上吐州院長)が年に一度甲状腺眼疾患に興味を持つ眼科医と内科医を集めて開催している研究会です。私も井上洋一先生に誘われて東京の東京医科歯科大学に赴任した2004年頃から参加させていただいています。今回は拝聴したお話のうちから舟木智佳先生の「高齢者の甲状腺眼症」部分の聴講印象禄を記してみます。  甲状腺眼症という事になりますと、ステロイドパルスにしろトリアムシノロン球後注射にしろ相当な経験を要しますし、ましてリニアックへの紹介先も持ち合わせてはおりませんので、はっきりした複視や視力低下で、その原因がdysthyroidという事になれば、私はオリンピア眼科病院にその治療をお願いすることが多いです。この病院は一族の協力も見事で、今回のお話も大変参考になりました。   ----- 高齢者の甲状腺眼症  オリンピア眼科病院 舟木智佳 配布された要旨: 甲状腺眼症(注1)では、眼科に甲状腺関連自己抗体による炎症性の障害が生じ、多彩な眼症状を示す。甲状腺眼症を引き起こす甲状腺疾患の多くはバセドウ病である。バセドー病は青壮年期の発症が多く、それに伴い甲状腺眼症も青年期に多く見られる。しかし、近年高齢化社会に伴い、高齢発症の甲状腺眼症も散見される。  甲状腺眼症の治療は、活動期にはステロイドの前身投与が第一選択となり、ステロイドによる副作用を常に念頭に置きながら治療しなければならない。患者が青壮年期で他疾患がなければ、そのリスクは少ない。しかし、患者が高齢である場合、全身に何らかの疾患があり、ステロイド使用が困難な場合があり、治療に苦慮する。  今回甲状腺眼症が疑われ、当院を受診した75歳以上の後期高齢者において、その甲状腺眼症の特徴と当院で行った治療法につき検討したので報告する。   --聴取した内容--- 1、対象: 演者はDO:(dysthyroid ophthalmopaty)とDON(dysthiroid optic neuropathy)を分けて論じています。また活動性の評価にはClinical activity score(キャス:注2)という評価を行っていました。これは7点満点で3点以上を活動性ありとするのだそうです。  治療法には①ステロイドパルス(メチルプレド二ソロン)、②リニアック(~20Gy)、③トリアムシンロンの局所注射があるそうです。  この研究では、75歳以上を対象としてDOの101人を調べています。 2、所見:高齢者のDOの群では複視が60%と多く、眼瞼腫脹40%、高齢者では容貌の変化は少ないが、筋腫大は強いそうです。  高齢者のDONではバセドウ病が92%、と多くユーサイロイドは8%と少なかったそうです。発症までの期間はDOが38週に対し、DONは3.8週と進行は早いようです。

3.視神経症
高齢者甲状腺眼症では、DONであってもCASは低い傾向(平均1.4点)にあり、また必ずしも視力低下を訴えるわけではない。眼瞼腫脹や複視が主訴のことも多い。また外見上軽微な変化が、実は球後重症化を示唆する可能性があることは気に留めておかなくてはならない。

4.甲状腺機能
甲状腺眼症と診断された高齢者101例中、ほとんどがGraves’病だったが、アイソトープ治療歴や甲状腺手術後、Euthyroid Graves’病もあり、甲状腺機能正常でもDONになりうる。また、甲状腺自己抗体のうちTSAbは、DON (平均2457%)がDON以外のDO(平均1402%)より優位に高かった。

5、治療  101例のうちDOは76%(ステロイドパルス21、リニアック、局所ステロイドなどで治療。)、DONは24%であったそうです。これらの治療で非活動期まで持ち込めるまでの期間に差はなかったそうです。ステロイドの前身投与では32例中4例に比較的重い合併症が出たそうです。 6、アイソトープ治療を行った6例で4例にはもともとあった合併症が見られ、1例ではもとはなかった合併症が出たと話されていました。   ---- 注1;甲状腺眼症 眼症の定義: 甲状腺眼症はバセドウ病や稀に橋本病に伴ってみられる眼窩組織(眼瞼や涙腺、球後軟部組織の外眼筋や脂 肪組織など)の自己免疫性炎 症性疾患である。その結果、多彩な症状を呈し、重症例では複視や視力障害をきたし、 quality of life (QOL)が著しく損なわれる。 注2:Clinical activity scoreとは:(http://www.japanthyroid.jp/doctor/img/basedou.pdf) Clinical activity score 甲状腺眼症の活動性の評価 Clinical activity score (CAS): □ 後眼窩の自発痛や違和感 □ 上方視、下方視時の痛み □ 眼瞼の発赤 □ 眼瞼の腫脹 □ 結膜の充血 □ 結膜の浮腫 □ 涙丘の発赤・腫脹 European Group on Graves’Orbitopathy (EUGOGO)は、眼症の活動性の評価を 7 点満点で 評価(上記の項目を各 1 点として合計点で評価)、 CAS≥3以上は活動性の眼症としている。


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