お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2021年1月31日

12620:SSOHを若い女性の正常眼圧緑内障から除外する;上方視神経部分低形成superior segmental optic nerve hypoplasia SSOH再訪:JC Chouの文献紹介


清澤のコメント:最近もSSOHと思われる女性の患者さんを見ました。最近の論文を探してみますと、藤本先生がまとめた総説では、緑内障を合併する症例があることに言及していますし、山本先生は台湾の眼科雑誌に英文で多数の自験例をまとめていました。比較的新しい文献では、Jonathan C Chou他がMassachusetts Eye and Ear, Harvard Medical School, BostonからJournal of Eye Diseases and Disordersに2018年にRule Out Normal Tension Glaucoma in a Young Womanが発表されていました。出典を示す限りでの引用が許可されていますので、症例を清澤が翻訳短縮して考案を含めて採録します。
症例報告
 症例は44歳の白人女性で1年間夜間の運転困難を自覚。彼女は断続的に暗闇で悪化した両眼の下方視野を自覚。眼科医は、両眼の下方弓状欠損を指摘し、緑内障の可能性について彼女を紹介した。
 左眼と右眼のハンフリー視野は、各眼の深い下方弓状の沈下。
重要な眼病歴はなく、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)および閉塞性睡眠時無呼吸。投薬にはリュープロレリンとフルベストラントで、共にLAMの治療に使用される抗エストロゲン薬。患者の母親は1型糖尿病であり、叔母は原因不明の視神経障害を患っていた。
 眼底:左右視神経は強膜輪scleral ringを伴って形成不全に見える。上鼻側および耳側に(「ダブルリングdouble ring」サイン)がある。 網膜中心動脈は視神経乳頭上半組織の形成不全によって、視神経への入口を上鼻寄りに持っていた。検査では、矯正1.0の視力が示された。眼圧両眼16 mm Hg 、正常な瞳孔反応で、色覚正常。前眼部異常なし。眼底検査により、両側性の上方視神経部分低形成が明らかになったが、カップとディスクの比率に拡大なし。オプティカルコヒーレンストモグラフィー(OCT)でも、低形成視神経を確認し、上方の網膜神経層(RNFL)に菲薄化があった。さらなる精密検査により、MRIも正常だった。
考案:
視神経低形成の患者は、1.2から光覚までさまざまな視力を持つことができる。患者の大多数は両側性に変化を持っている。視神経の綿密な検査では、通常、形成不全に対応する「ダブルリング」サインを示す。内輪は低形成の神経で、外輪は強膜と篩板である。上方視神経部分低形成Superior segmental optic nervehypoplasia(SSOH)は、視神経低形成のサブカテゴリーであり、「トップレスディスク症候群」としても知られている。これは先天性異常であり、主に上方視神経と網膜神経層に影響を及ぼし、対応する下方眼野欠損を伴う。強い母体の糖尿病との関連、およびある研究では、父方の虚血性心疾患との強い関連も示されている。正確な病態生理学は不明だが、障害は網膜神経節細胞retinal ganglion cell (RGC)の発達の一次障害によるものであると仮定されている。また視神経がエストラジオールの受容体を持っていること、およびエストロゲン不足が視神経の老化を加速できることが示されている。私たちの知る限り、緑内障とLAMの報告はありません。しかし、フルベストラントは、緑内障の動物モデルにおいてエストラジオールの神経保護効果をブロックすることが報告されています。この患者の視覚障害の症状の理由は不明であり、

静止した視覚障害自覚の急性発症に関連している可能性がありますが、抗エストロゲン療法によって彼女の視覚症状が悪化した可能性があります。患者の提示が遅れたため、この症例は困難でした。
ただし、患者の検査、OCT、視覚的フィールド、および彼女の同母の妹がI型糖尿病であったことは診断を容易にしました。
結論
結論として、SSOHは先天性視神経異常です。 検査結果は上部視神経乳頭組織の非進行性形成不全を示しています。OCTでの上方のRNFL(網膜神経線維層)菲薄化、対応する下方視野の喪失。視神経とOCTの特徴的な機能変化が診断に役立ちます。緑内障と区別してください。これらの患者のフォローアップは重複した緑内障を示唆する進行性の視界喪失がないことを確実にするために推奨されます。

Categorised in: 緑内障