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2020年2月27日

11557:視神経と再生医療:野呂孝彦・原田高幸 総説紹介

清澤のコメント:日本の眼科2020年2月号:91:166-170の総説を読み、まとめてみました。共著の原田高幸先生は医科歯科大を経て東京都医学総合研究所に進み、視覚病態プロジェクトのリーダーになられた方で、私も少し面識があります。慈恵医大からの研究者を預かって育てておいでなのでしょう。今後の研究の一層の発展を期待いたします。

要旨; 中途失明の多くは網膜と視神経の変性疾患。幹細胞移植が注目されるが、視神経への臨床応用はまだ。網膜神経節細胞から視覚中枢まで視神経軸索を再生し、視覚経路を再構築する手法が確立していない。いくつかの有望な因子が見いだされている。全眼球移植などの新しい治療研究の流れもある。

初めに:視神経障害には多くの原因がある。網膜神経節細胞の保護や視神経の再生を促す要素の研究が急務。

Ⅰ、視神経再生研究の現状
1、なぜ視神経線維は再生できないのか:成熟したRGCは神経成長因子に反応性が弱い。成長円錐の活性も不十分。挫滅部には再生阻害因子も存在する。
2、視神経軸索再生が可能な因子:PTEN欠損マウスに、オンコモジュリンを打つと神経線維が伸長する。転写因子も有効。DOCK3でも伸長する。Spermidine経口摂取も有効。。
3、細胞移植療法:培養したRGCを眼内に移植するが生着は悪い。今後に期待。

Ⅱ、視神経再生の問題点と今後の展望
1、再生するRGCの種類やミスガイダンスの問題:網膜のRGCには多くのサブタイプがある。αRGCの耐性が強い。ナビゲーション因子は?
2.小型霊長類を用いたトランスレーショナルリサーチ。:マーモセットで著者らは研究中。(下の11556参照)

3、視覚中枢を含めた視覚再生の重要性:視神経萎縮マーモセットは、外側膝状体や第一次視覚領の病理的な萎縮を伴う。
4、全眼球移植:コロラド大ではラットの全眼球移植に成功。「顔面のブロック」としての移植。今後、機能回復を目指すという。

おわりに:再生治療の開発が望まれるが、臨床応用にはまだ課題が多い。

 

Categorised in: 緑内障