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2018年7月10日

9999:近視眼患者の緑内障鑑別にSD-OCTが有益:論文紹介

無題近視眼患者の緑内障鑑別にSD-OCTが有益
提供元:ケアネット 公開日:2018/07/10
眼科医清澤のコメント:通常の眼で緑内障であるかどうかの判断にOCTの有用性は明らかですし、ハンフリー視野よりもより鋭敏であることから、3次元画像解析装置で緑内障が検出される前視野緑内障という概念は既に広く認められています。強度近視では眼軸長の慎重に伴い、後極部の網膜が引き延ばされるために、強度近視であるだけで、後極部のOCTマップの神経節細胞層の表示は真っ赤になってしまい、其れだけで
あたかも末期の緑内障かと見えてしまいます。そこで、(マイナス6Dより強い)強度近視であって、更に(ハンフリー視野検査で)緑内障を発症している症例を識別できるアルゴリスムを開発したというのがこの論文の要点です。
投稿された雑誌はAAO(米国眼科学会)機関誌のオフサルモロジーですから一流紙です。間もなく市販のOCT装置にもこのような機能は搭載されるようになることでしょう。(写真は別から引用)
用語:RNFL=網膜神経線維層。GCIPL=神経節細胞層+内網状層。

--アブストラクト--
韓国・ソウル大学のSung Uk Baek氏らは、近視眼患者における緑内障の診断精度向上のために開発した、スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)の局所パラメータを用いた新しいスコアリングシステムが、近視患者の健康な眼と緑内障の鑑別に有用であることを示した。著者は、「近視眼患者の緑内障発見のため、SD-OCTによるマルチ局所パラメータの使用は意義がある」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版201867日号掲載の報告。


研究グループは、新たに開発したスコアリングシステムの緑内障診断能の検証を目的とした横断研究を行った。対象は、強度近視175眼(等価球面度数[SE]<-6.0Dまたは眼軸長>26.0mm)を含む、計517例(517 SE<-1.0Dまたは眼軸長>24.0mm)で、トレーニングテスト群(241眼)とバリデーションテスト群(276眼)の2群に分け検証した。

網膜神経線維層(RNFL)の異常な形態的パターン(大きさ、形、位置、および偏位と厚みマップの一致)、ならびに神経節細胞層+内網状層(GCIPL)の異常な形態的パターン(大きさ、形、位置、色調、マップの一致、step sign)に基づき、RNFLGCIPLの局所的兆候を抽出した。RNFLおよびGCIPLの異常は、近視眼患者の緑内障における偏位と厚みマップにおいて高い尤度を示したものとした。診断スコアはトレーニングセットを使用し、感度、特異度、陽性尤度比(PLR)それぞれの診断兆候に従って編集された。さらに、ROC曲線下面積(AUC)を用いて、OCTで得られたパラメータとバリデーションテスト群のスコアリングシステムを比較した。

主要評価項目は、AUCで検証した新しいスコアリングシステムの診断精度であった。

主な結果は以下のとおり。

RNFLGCIPLの全パラメータの中で、診断精度はGCIPLの厚みマップにおける耳側半視野非対称の存在(PLR5.98)が最も高く、次いでRNFL欠損の位置(PLR5.79)、GCIPL欠損の色調(PLR5.04)の順であった。
・近視眼における局所スコアリングシステムのAUC0.979で、下方RNFL厚パラメータ(0.895p0.001)および平均RNFL厚パラメータ(0.894p0.001)より有意に高かった。
強度近視眼においても、スコアリングシステム(AUC0.983)はRNFLおよびGCIPLの厚パラメータより診断精度が高いことが示された(すべてp0.001)。(ケアネット)

原著論文はこちら

Baek SU, et al. Ophthalmology. 2018 Jun 7. [Epub ahead of print]

PS:昔大学にいたころ、私の高校の同級生K君が訪ねて来てくれたこのがありました。彼は、当時レーザー光線でCD-ROMを読み取る装置の製造開発をしている浜松の会社にいて、研究開発の仕事をしていたのです。「医学にその装置が応用できないか?」というのです。レーザーなのでエコーよりも精密な網膜の断層像が得られないだろうかと夢を語ったことを思い出します。その後、OCTが出来て普及するのを見て、あの時本気で話を進めていたら?、と思わぬでもないのです。しかし、幸運の女神に後ろ髪は無いというのはいつの世でも真実ですし、人間という物は出来ない理由を見つけて容易にあきらめようとしてしまう物なのだ、というのが今となっては私の感慨です。

Categorised in: 緑内障