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2017年12月3日

9404: 早期緑内障の治療戦略 慈恵医大中野匡教授:を拝聴しました。

無題早期緑内障の治療戦略 慈恵医大中野匡教授:を拝聴しました。

 聴講メモ:多治見スタディーが行われたのは2000年であった。この時40歳以上の人20人に一人が緑内障とされ、70歳以上では10人に一人が緑内障とされた。70歳以上の人口は2000年の12%から今は19%に増え、同時に緑内障患者も増えている。しかも緑内障には未治療患者が多く90%にもなる。開放隅角緑内障POAGの診断経緯では、他疾患で受診して発見されたものが63%、自覚症状があって受診したものが18%、検診で発見されたものが13%、緑内障その他が心配で受診して発見されたというものが4%である。検診を勧める所以である。①特定検診はメタボに関するものに対象を絞っっていたので、眼底検査の数が従来の100分の一に激減してしまった。来年から、撮影条件が高血圧または高血糖のある人に変わるから、緑内障発見につながる眼底写真撮影の数は増えることが期待される。②人間ドック。慈恵医大には予防医学センターがある。視力、眼圧、眼底に加えて早期緑内障検出につながるFDTも調べている。しかし、検診で緑内障を疑われても眼科受診につながる人は半数程度である。

緑内障をどう診断するかと問われれば、他角的眼底所見から機能劣化である視野変化を想定することになる。OCT(網膜3次元画像診断)でNFBD(神経線維束欠損)を探す。視野異常は302または242から見るが、その判定には1999年のアンダーソンパテラの診断基準がある。1)GHTが正常外、2)PSDが5%未満、PDの確率プロットで5%以上が3つ隣接し、かつその1つが1%以上の変化という3条件のいずれかを満たすことがそれである。

構造の変化は視野変化に先行する。PPG前視野緑内障は1986年頃から記載された。その検出にFDT(frwquency doubling technology)は有効である。POAGの中心視野は残るとされるが、中心視野障害タイプは将来のQOLやQOVに影響を与えやすく、PPGの精査では102で確定できることも多い。黄斑に神経節細胞は無くて視野とOCT変化は少しずれているから、視野欠損とOCTの変化場所が少し違うことは認識すべきである。

どの段階から点眼治療をするか?と問われれば、アンダーソン基準によるが、変化の部位、眼圧、発症経緯も考慮する。QOL維持のためには視野を終生に亘って-20dBより悪くしないこと。医師は眼底、OCT、ハンフリー視野(アンダーソン基準)で緑内障を診断するが、患者は全く困っていないという事もあって両者の意識には乖離がある。PG単独投与を始めた951人で、全医療機関での請求を見たら、しばらく後までPG単独だったのは55%、併用投与になったのは7%、他剤への変更が4%であった。ここまでは良いが、30%では点眼が中断されていた。治療からの脱落を恐れる所以である。

 清澤の聴講印象録:新しく有力な大学の主任教授に就任され、その専門領域が視野と緑内障という事ですから、本人も自負するところは大きいでしょうし、周りも大いに今後のご活躍に期待しております。本日のお話はまだ社会統計的な部分が多く、ご自分の研究データというところには踏み込んでおられません。今後時間をかけてデータを蓄積され、指導的緑内障研究の拠点大学に育てられることでしょう。
お話に出てきたFDTは、私もマグノセルラーシステムの変化に鋭敏で有るとして視覚誘発電位の周波数特性とFDT変化の関連を調べたことがあり、懐かしく思い出しました。

Correlation between frequency doubling technology perimetry and temporal frequency characteristics in early glaucoma. / Yu, Joseph Jy Haw; Kiyosawa, Motohiro; Nemoto, Nobuyuki; Momose, Keiko; Mori, Hiroshi; Mochizuki, Manabu.

In: Documenta Ophthalmologica, Vol. 107, No. 2, 09.2003, p. 93-99.


Categorised in: 緑内障