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2016年7月4日

7921:睡眠時無呼吸症候が招く意外な目の病気

◎特集 (日刊ゲンダイ 7月4日発売、5日号掲載の清澤インタビュー記事です)

睡眠時無呼吸症候が招く意外な目の病気

失明リスク第一位の緑内障の発症リスクは10倍!?

=糖尿病網膜症や虚血性視神経症も

 寝ている間に呼吸が止まるーー。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は日本の潜在患者数が300万人を超える国民病だ。糖尿病や脳卒中、高血圧などの合併症が有名で、一般の人に比べて交通事故の発生リスクを7倍にアップさせることが知られている。ところがSASは目の病気の発症リスクを高めることは意外に知られていない。わが国の失明リスク第一位である緑内障の発症リスクを10倍アップさせるというから恐ろしい。
「SASが招く目の症状には眼精疲労、柔らかい瞼症候群や糖尿病網膜症、 非動脈性炎性前部虚血性神経症(NASION)、正常眼圧緑内障の発症などがあります」
 こういうのは、日本眼科医会学術部委員で、清澤眼科医院(東京・南砂)の清澤源弘院長だ。実際、SASの患者の5~10%は柔らか瞼症候群があり、柔らか瞼症候群の96%にSASがあるとの研究報告がある。また、48%に糖尿病網膜症のやや重いものである増殖網膜症があり、痛みを伴わない突然の視野狭窄や視力低下を起こすNASIONも多いとの発表もある。
SASは10秒以上気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸として、一晩30回以上もしくは1時間あたり5回以上無呼吸があった状態を言う。

「血液中の酸素濃度は“動脈血酸素飽和度”という指標で表されます。正常時には96%以上ありますが、SASの患者さんは無呼吸時に90%以下に低下します。その結果、目の中の動脈が詰まったり、血液が十分行き渡らないことで、 目の病気が発症すると考えられているのです」(清澤院長)
 問題はSASの合併症の中に我が国の失明リスク1位の緑内障が含まれている点だ。しかも、その発症リスクは普通の人の10倍だという。緑内障は高い眼圧により神経細胞がダメージを受けることで発症することが知られている。トイレでいきんだり、重たい物をもったときに一瞬呼吸が止まる。SAS患者に緑内障が多いのも同じ理由からなのだろうか?
 先月初旬、その答えとなる研究論文を北海道大学大学院の研究グループが米国科学雑誌に発表した。コンタクトレンズ型眼圧計を用いて、7人の健康な人の睡眠中に5分ごとに30秒間、「脳波」「呼吸」「心電図」「いびき」「酸素飽和度」を測定したところ、睡眠中に呼吸が止まったときの方が止まっていないときに比べ 眼圧が下がったという。

「意外な結果でした。緑内障は眼圧の上昇による視神経のダメージで発症するといわれながら、正常眼圧の緑内障は全体の7割を越えています。その理由は謎です。これまでの研究から脳脊髄液減少症、眼血流減少などが原因と言われてきましたが、今回の結果から緑内障の発症の原因のひとつに酸素不足が関係する可能性が浮上したのです」(北海道大学大学院医学部眼科教室の新見康弘助教)
 ならば、SASの治療法として一般的なCPAP(鼻に装着したマスクから空気を送り込み気道を広げて無呼吸を予防する)治療法は有効なのだろうか?
「逆に眼圧を上げてしまい、視神経にダメージを与える可能性があります」(新見助教)
 いずれにせよ、SASが緑内障の発症リスクを高めることは世界中で報告されている。将来、視力を失いたくなければ、SASと診断された人は必ず眼科で緑内障の検査を受けることだ。
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清澤のコメント;このブログの過去『関連記事:睡眠時無呼吸症候群の眼症状(⇒https://www.kiyosawa.or.jp/archives/52964553.html)もご参照ください。
掲載記事では「日本眼科医会学術部委員」が単に「眼科専門医」に変わって居ました。

Categorised in: 緑内障