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2016年6月10日

7836:飛蚊症に対する硝子体切除のベネフィット・リスク分析:記事紹介です

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ビジョンタイムスという参天製薬の出している海外最新手術情報を集めた冊子が届けられました。今回は2つの記事が目を引きました。

まず最初の話題はフローテレクトミー:

これが、ユーチューブで見つけたfloaterectomyの動画です。

○飛蚊症に対する硝子体切除のベネフィット・リスク分析:Drew N Sommerville, MD
Curr Opin. Ophthalmol. 2016, 26:173-176.

後部硝子体剥離に伴う硝子体混濁は、眼科医が考える以上に患者を苦しめているようで、以前は一部の術者が大きな塊をレーザーで破砕する程度であったものが、最近では小口径の硝子体手術で混濁を取り去るということまで行う人が米国では出てきているようです。

坂本泰二教授のコメントとこのレポートとを通読したうえで、その昔は大学での硝子体手術も手掛けていた一眼科医として思うと、日本の医療の場において今すぐにそれを患者さんに勧めたいものとは言えませんが、限りなくそれが当たり前になる日が近づいているように思われました。

一方、硝子体手術機器が高度化すれば自分の技術が相当な水準に達したものであるとうぬぼれる未熟な硝子体術者も出てきかねません。それなりの数の手術を日々続けられる場所にいてこその修練です。この修練の早すぎる段階から『硝子体手術で独立しよう』などと考えても、「大病院に伍して患者さんを集めるのは容易ではあるまい。」と思うのは、老婆心というものでしょうか?

パンフレットの「結論」の部分を引用して眼科医および市民の皆様に供覧したいと思います。

結論:飛蚊症はありふれた眼疾患で、一部の患者で硝子体混濁の症状が現れる。Wagleらは飛蚊症の症状を持つ患者の調査を実施したところ、飛蚊症の症状から解放されるなら失明の可能性が7%あっても賭けてみたいという回答を得ている。命を懸けるのもいとわないという回答も11%あった。患者たちが飛蚊症から逃れたいと思っていることは明白である。今のところ、飛蚊症解消の切り札といえば小ゲージ硝子体手術だが、まずは症状が自然に消失するのを期待して、じっくり腰を据えてかかるべきだ。4~6ヵ月ほど経過を見ても日常生活に支障を来すほどの硝子体混濁が続くならば、小ゲージ硝子体切除術を検討すればよい。また、硝子体切除術のリスクに関して患者と術前に包括的な話し合いをすることも不可欠だ。術後合併症を最小限に留めるべく、疎漏のない硝子体切除を行うのが眼科医としての義務である。さらに、前眼部術者の見解にも耳を傾けてFOV(floaterectomy)の侵襲性を極力低く抑えるように心掛けることだ。筆者は最近、飛蚊症治療に27ゲージ硝子体切除術を用いるようになったが、これは局所神経ブロックと術後の眼帯を使わずに済ませたいと思ってのことである。初期の成果と患者からのフィードバックには好感触を得ており、患者は回復室にいるうちから効果の程を実感している。
Henryらの論説を読んだところ、網膜術者を頼る飛蚊症患者の多さに驚いた旨の記述があった。だが、飛蚊症の症状に辟易して硝子体混濁を取り除いて欲しいと懇願する患者は山ほどいると、筆者は声を大にして言いたい。例えば、高齢化してLASIKを受けた後のベビーブーム世代も、そうした飛蚊症からの解放を望む集団の一角を成す。また、多焦点IOLを挿入した患者でも飛蚊症の発生率が高いようだ。これは、多焦点IOLに対して患者が過大な期待を抱いていたところに小ゲージ硝子体切除術式による飛蚊症治療のための硝子体切除手術:FOV(floaterectomy)を検討しないのは、この疾患に起因する病的状態を軽視していることに他ならないのだ。

Categorised in: 飛蚊症