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2021年5月15日

12864:アイフレイルを考えよう:加齢に伴う眼の脆弱性増加に,様々な要因が加わり視機能が低下した状態

清澤のコメント:先にフレイルのある人は眼疾患も多いという記事を紹介しました。ところが、日本眼科学会ではアイフレイルを、加齢に伴って眼の脆弱性が増加することに,様々な外的・内的要因が加わることによって視機能が低下した状態,また,そのリスクが高い状態と定義する。そして、これからの厚生行政にこの概念を加えさせる構想を持ち積極的に啓発活動を進めてゆくそうです。また、直接国民に働きかけるチェックリストも作成されています。今日は、日本眼科学会誌に掲載されたその構想を紹介しましょう。

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日本眼科学会戦略企画会議第四委員会では「政策提言活動と啓発活動」を行っており、,啓発活動として「アイフレイル」対策活動を計画している.

 厚生労働省の「健康日本 21(第 2 次)」でも「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を目標に挙げている.生活習慣病およびその原因となる生活習慣などの課題に対して取り組むべき 9 分野(栄養・食生活,身体活動と運動,休養・こころの健康づくり,たばこ,アルコール,歯の健康,糖尿病,循環器病,がん)を挙げているが,感覚器に関する記載はみられない。国民・行政において,感覚器への理解は乏しく,眼科単独での活動では限界があるのかもしれない.
 近年,日本老年医学会が提唱した「フレイル」という概念が急速に拡大している.フレイルという概念.:健康な状態から,加齢に伴う臓器機能変化や恒常性・予備能力低下は徐々に進行してくる.フレイルは健康状態と要介護状態との中間の状態を差し,適切な介入を行うことにより,機能回復が期待できる状態である.非常に初期の軽度なフレイル状態をプレフレイルとも呼ぶ。

厚生労働省は健康寿命延伸に向けた施策の柱の一つとして「フレイル対策」を挙げており,2020 年から「フレイル検診」が全国で開始されている.75 歳以上の後期高齢者を対象とした「フレイル検診」ではフレイル状態にある高齢者を抽出し,適切な医療や介護サービスをつなげることで,疾病予防・重症化予防を促進し,健康寿命延伸につなげることを目的としている.フレイルの多面性:フレイルは多面性を持っている.身体的フレイルが中心であることは間違いないが、それ以外に,精神・心理的フレイル,社会的フレイル,オーラルフレイルから成り立っている.これらは互いに高度に影響し合っています.

そこで、アイフレイルの定義:加齢に伴って眼の脆弱性が増加することに,様々な外的・内的要因が加わることによって視機能が低下した状態,また,そのリスクが高い状態.

また、アイフレイルの概念:加齢により,眼球は構造的,機能的に恒常性・予備能力が低下し,外的・内的ストレスからの健康障害に対する脆弱性が増加してくる.放置していると,何らかの外的・内的要因が加わることによって障害を発症し,視機能が低下する.さらに進行し,重度の視機能障害に陥ると,自立機能低下,日常生活制限を伴うようになる.アイフレイルは時に感じた見にくさや不快感を単に「歳のせい」にせず,自身の視機能における問題点の早期発見を促すことを一つの目的とした概念である.
 今回,日本眼科啓発会議第一分科会が中心となって,加齢に伴って眼の脆弱性が増加することに,様々な外的・内的要因が加わることによって視機能が低下した状態として「アイフレイル」という概念を提唱する

 視機能の低下した「アイフレイル」の原因となる状態は広範囲にわたるが,まずは中途失明原因として上位を占める疾患をターゲットとし,視覚障害により日常生活が制限される人を減らし,健康寿命の延伸を目指す.さらに,国民に対して,ふと気づいた見にくさを「歳のせい」として片付けないで,自分自身の見る力を振り返る機会とし,一生涯にわたり読書,運転,スポーツ,趣味などの人生の楽しみ,快適な日常生活を維持するための啓発活動を行うことを計画している

アイフレイル対策の目標.

1 視覚障害により日常生活が制限される人を減らすこと
2 自立機能の低下により,要介護状態に至る人を減らすこと
3 読書,運転,スポーツ,趣味など人生の楽しみや,快適な日常生活が制限される人を減らすこと

10 月 10 日「目の愛護デー」に合わせて「アイフレイル」対策活動が開始できるように,ホームページ,ポスター,パンフレットなどの資材を準備予定であり、眼科医のための「アイフレイルガイドブック」を作成している.
 アイフレイルの範囲は幅広く,重篤な視機能低下を伴ったケース,そのリスクが高いケースから,何となく見にくい・調子が悪いと感じたケースまで非常に幅広いケースが想定される.ホームページやパンフレットなどのセルフチェックで,「自分はもしかしたらアイフレイルかも?」と気になって受診されるケースもあると思う.

アイフレイルの自己チェック

アイフレイル自己チェック1

  1. 目が疲れやすくなった
  2. 夕方になると見にくくなることがある
  3. 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
  4. 食事の時にテーブルを汚すことがある
  5. 眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
  6. まぶしく感じやすい
  7. まばたきしないとはっきり見えないことがある
  8. まっすぐの線が波打って見えることがある
  9. 段差や階段で危ないと感じたことがある
  10. 信号や道路標識を見落としたことがある

2つ以上当てはまった人はアイフレイルかも?

アイフレイル自己チェック2(若い人向け)

  1. 目が疲れやすくなった
  2. 夕方になると見にくくなることがある
  3. 若い頃より見にくくなったと感じる
  4. 眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
  5. まばたきしないとはっきり見えないことがある

1つでも当てはまった人はプレアイフレイルかも?

初めて受診した患者さんに,重篤な視機能低下の原因となり得る疾患を伴っているかどうかを判断するのは眼科医の使命である.重篤な視機能低下につながる疾患の場合にはレベル判定を行い,レベルに応じた対応を行う.しかし,すぐに重篤な視機能低下に直結しないケースの方が多いであろう.すぐに重篤な視機能低下に直結しない多くのケースに対して自覚症状の改善を目指して効果的なプチビジョンケアを行うことが大切である.

Categorised in: 眼科検診