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2021年2月21日

12678:ビッグデータとAI時代の眼科診療:日本眼科医会第79回生涯教育講座 清澤の聴講印象録

清澤のコメント:日本眼科医会の生涯教育講座は東京、名古屋、関西、九州で行われてきましたが、縮小傾向でした。今年はコロナの影響でウエブ開催です。日本眼科医会学術部はその主たる演題を決めるのがその大きな任務です。私もここ数年、その部会での主題決定を手伝ってきました。今回のテーマはAI診療。土曜午後に医院に残って初日講演のうち2題を拝聴しました。①思った以上にAI診療の開発が進んでいることと、②それが日本の医療に入ってくることで日本の眼科医療が大きく変わること。③そしてぼやぼやしていると、「国民医療費の多くの部分が外国勢のブラックボックスに取り上げられかねない」という懸念を学会関係者が共有していることが感じられました。

 日曜も続きを聞くつもりです。その聴講記は下記

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白根会長挨拶:日本でもAIプロジェクトが始まっている。より精度の高い診療ができるようになるだろう。

坂本泰二:オーガナイザ―より。第4次産業革命が起きつつある。自動運転も始まる。コビッド19は今後の1年で10年分の変化が起きる。眼科の診療形態変化がランセットで取り上げられた(?)。スマホを利用した視力測定のビデオ供覧。OCTでもクボタ製薬の簡易型がある。ーー

演題1,大鹿哲郎:ビッグデータとAIが描く未来

医療AIといえば。ドラえもんのお医者さんカバンの一部が現実化している。1970年の万博ころの壁掛けテレビや缶コーヒーも実現した。AI聴診器も実現した。採血ロボット。中国の無人クリニック(AIと医師)もある。①AIとは:身の回りにはAIスピーカーなどがあり、ロボットは汎用型と特化型(お掃除ロボットなど)に分けられる。②AIの歴史。今が第3次AIブーム。第一次は迷路など。第2次はエキスパートシステム(チェスなど)。第3次AIブームでは深層学習や機械学習まで開発されて、更に発展していく。AIの中に機械学習があって、深層学習が更にその中に含まれる構造だ。ネットワーク化、ビッグデータ化が進む。AIは猫をどう認識しているのか;コンピュータが自分でトライアンドエラーで特徴を見出す。眼底の画像診断もその方法で認識させられる。数十時間の学習で囲碁将棋でも非常にAIを強くできる。患者の声紋から自殺可能性を知ることもできる。眼底写真から年齢性別までわかる。眼底血管像でパーキンソン病が解る。医療とビッグデータ:大腸内視鏡でのがん診断利用が始まった。脳動脈瘤診断のアルゴリズム。コロナ肺炎の診断ソフト。眼底疾患12種を診断するソフトを作っている。緑内障の診断プロジェクトもある。角膜では:眼科医よりも正しいくらいの実力だ。今後はJOIレジストリー、日本眼科AI学会、NII、眼科医療機器協会も関与する。しかし保険収載は皆無である。研究と実用の間には死の谷が横たわっている。学会はその保険収載を視野に入れている。海外からの黒船も来航するだろう。内科のiDXでは糖尿病眼底を診断する。ハートフローでは心臓の画像診断を海外勢にとられた。情報は21世紀の石油だ。戦略的思考が必要。皮膚病変を入力をスマホで抑えて診断することも米国で行われた。Medical of thingsの時代である。スマートコンタクトレンズも発展。患者のケア:投薬量のチェック、手術ミス防止AI:左右眼の区別など。IOL度数間違い。+-の見間違えを正す。手術教育AI.手術支援のAIにはダビンチもある。医療業務の管理:カルテと問診。AI問診は患者の答えにより次の質問を絞り込む。サラン自宅で記入してもらえたら。レセプトも9割をAIで行うと宣言している。疾患リスクの予測AIシステム。患者データが集積できれば、有効に使える。データマイイング:日本では多くの医療情報がある。最後にAIは医師の仕事を奪うか?オズボーンの論文。医師は生残るが、放射線科医はいらなくなるとまで言った。放射線科医師は複雑・総合的な判断をする。人間は疲れるが、AIは疲れない。病理医の不足も、病理AIで緩和される。 パスポートコントロールの話題では、人と機械は間違う所が違うという。眼科でもAI導入が必須である。

演題2:三宅正裕:網膜疾患における人工知能の活用

1)第4次産業革命:AI人工知能とは何か?広義のAIは古くからあったが、今は機械学習をする。機械学習には教師があるパターンと教師がないパターンがある。ビッグデータを統計的でなく、ふわっと解析したい。①単純制御(冷蔵庫)②古典的AI(ルンバ)、③機械学習を取り入れた。(アマゾンのリコメンド機能など)、④ディープラーニングを取り入れたAI(専門家の知見は不要)と進化している。

2)ディープラーニングと医学研究:糖尿病の網膜症を分類した。ネーチャー2017の皮膚がんの判定が有る。乳癌のリンパ節転移の判定は?時間制限なしで漸く人と同等くらい(瞬時だと機会に負ける)。種々の論文が出ている。未熟児曚網膜症を分類した論文。医学的価値はあり、データ(患者)とラベル(分類)があれば何でも研究になる時代だ。

3)医療にどのように応用できるか?現代はAI成長の幻滅期である。AIを特定のタスクに絞り込まねばならない。2018年に糖尿病の網膜症を自動判定する論文が出て、米国ではその結果の機械判定を判定として使ってよいことになった。感度と特異度が90%程度だった。それで機械化を推進するという米国の姿勢が明らかにされた。AIは糖尿病網膜症には導入されやすい。放射線科、癌、心臓のAI利用が多い。

国内で承認されたプログラムは既にあるのか?:データベースで調べると承認されていたものが既に9件あった。そして、現在までに11件が承認されていた。放射線領域、内視鏡領域(オリンパス社の功績)が含まれる。一般的には健康診断で使えるものが求められているようだ。

この一連の流れの中で、誰かがAIによる診断を政府の承認まで持ってゆくのが重要であろう。社会実装に向けて。研究が盛んな割に、実際に承認されたものは少ない。その原因は、データが十分には集積されていない(これが、Jレジストリーの仕事)し、ビジネスになるか?という問題もあり、更に規制も厳しい。問題点として、制度の持つ意味が明らかではない。

今後AI医療の発展には、ニーズの把握とそれに対応して何を作るかを把握することが大事だ。怪しい集団の有病率の20%と5%に基づいて、考えよう。高い陰性的中率を求めるのか?陽性的中率は?とするが、AIを罹患が怪しくない集団に使うと、解釈値は大分変わる。この関係については、きちんと理解しなくても良いが、その問題が有ることは覚えておけ。

緑内障について:スクリーニングなのか確定診断なのかで話は違う。診断なら、的中率が欲しい。社会実装では大事だ。臨床家との相談が入用だ。制度はコントロールできるが、元の集団で結果が変わる。人工知能を用いても最終責任は医師の責任であり、そこが大事だ。ガイドラインを設定する必要がある。そこでは非専門医の結果と同じくらいの判定率を求めるのが良いだろう。

AIで臨床はどう変わるのか?円錐角膜スコアの出る機械の例、心電図の読みの例などすでに臨床には入ってきている。

演題3,浅岡亮先生:緑内障における活用:

。。

予め配布されていた告示におけるサマリーは以下の通りでした。採録しておきます。

東 京 講 座 Web LIVE 配信 2021年 2 月20日(土)・21日(日)
福 岡 講 座 Web LIVE 配信 2021年 3 月13日(土)・14日(日)
名古屋講座 Web LIVE 配信 2021年 4 月17日(土)・18日(日)

お知らせ

ビッグデータと AI が描く未来 大鹿 哲郎(筑波大)
 過去何回かのブームと衰退を経て、AI はいよいよ本格的な社会実装の時期を迎えている。大量のデジタル画像を日々扱う眼科学は、ビッグデータ・AI との親和性が非常に高い分野である。日本眼科学会は、質の高い眼科データを継続
的に収集する体制を確立する目的で、一般社団法人 Japan Ocular Imaging Registry(JOI Registry)を立ち上げた。また 2020 年 4 月には日本眼科 AI 学会が設立された。ビッグデータと AI によって社会が、そして眼科がどのように変
化していくのか、俯瞰してみたい。

網膜疾患における活用 三宅 正裕(京都大)
 研究レベルでは様々な人工知能(AI)プログラムが開発されているが、PMDA の承認を受けたものとなると、本抄録執筆時点では眼科領域には存在せず、OCT アンギオグラフィーのデノイジングなど、承認を必要としない範囲での実装に留まる。しかし実は我々眼科医は、既に広義の AI を実臨床で活用している。
 本講演では、AI の概念を整理しながら、これからの AI 活用について考えていく。

緑内障における活用 朝岡 亮(聖隷浜松病院)
 昨今、「AI」という言葉が頻繁に使用されるようになって来ており、日常会話の中でも使用されるようになっている。一体「AI」とは何なのであろうか?そして緑内障診断への応用はどのように可能なのであろうか?緑内障診療における AI の活用の可能性は、診断、進行予測等々多岐に亘ると考えられる。本講演では自験例での検証を紹介しつつ、AIの緑内障診断への活用の可能性や我が国を取り巻く環境について考えてみたい。本講演が将来の緑内障診療の進歩を考える上での一助となれば幸いである。

前眼部における活用 山口 剛史(東京歯大・市川)
 近年、AI を活用したよりよい医療を目指す動きが加速している。一方、多層オミクスなど網羅的解析技術の進歩はビッグデータを用いて病態を解明する潮流が生まれた。これらの技術革新の眼科応用は、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、緑内障など後眼部疾患が先行しているが、近年、円錐角膜、感染性角膜炎、角膜移植や白内障など前眼部疾患でも大きく進んだ。本講演では、前眼部における AI・ビッグデータの活用を紹介する。


日常診察や手術における活用 田淵 仁志(広島大・ツカザキ病院)
 眼科臨床で最大級のミスが、手術室における患者さん取り違え、左右眼の間違い、眼内レンズ入れ間違いである。だからと言って、単調な安全チェックに特化した人材を雇うことは非人道的ですらある。その点、人工知能は手術室内安全管理に適している。電源が続く限り文句ひとつ、泣き言ひとつ口にすることなく、安定した成績で安全チェックを行ってくれるからである。人工知能の白内障手術臨床への応用の実際を解説させて頂く。


眼科における社会実装実例と課題  柏木 賢治(山梨大)
 眼科疾患の多くは早期発見が良好な予後につながる。特に無症候もしくは緩徐な進行のため自覚が乏しい眼疾患の場合には、いかに異常者を早期に発見して眼科受診へ誘導するかが大きな課題となる。その解決法の 1 つとして AI を活用した眼科疾患のスクリーニングシステムの社会実装が進みつつある。本講座では現在の取り組みとその課題について実例を交えながら紹介する。

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