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2018年10月7日

10172:(旧257) 網膜有髄神経線維と指摘されたら

網膜に白い斑点が見られる様々な疾患があります。そのなかでももっとも多いのがこの網膜有髄神経線維、medullated nerve fiberです。

myelinated図:網膜有髄神経線維の出典
網膜有髄神経線維は網膜の上にある神経節神経の軸索が髄鞘と呼ばれる白い色の細胞に包まれているために、網膜の上に一筆、刷毛で線を引いたような白い斑点が現れる先天的で無害ななバリエーションです。

通常、視神経の中を走るこの神経繊維は眼球を出たところから髄鞘をかぶりますが、何らかの先天的な変化があると眼球内までこの髄鞘がかぶった状態が続きます。見かけは派手な変化ですが、網膜の機能は基本的に正常で、まったく治療の必要も将来への不安も必要はありません。遠視で眼球が小さい人に多いなどとも言われています。

最近この単語で私のブログを尋ねてくださる方が多いのは、会社などで行われる健康診断で、この有髄神経線維を指摘され、心配はないのだろうかと思う方々が多いからではないでしょうか?

私も、眼底写真の判定を担当したことがあり、その所見に網膜有髄神経線維と記載したことが思い出されます。

眼底の検診で、まず見落とさないように考えるのは、糖尿病網膜症と高血圧によっておきる網膜の出血です。これがある場合にはさらに精密な網膜の検査と、的確な治療の開始が必要です。

次に見るのは、視神経の緑内障に因る、中央のくぼみ(カッピングcupping)です。これは、緑内障で視神経の繊維が脱落を始めていることの現れであり、早急な評価と、必要に応じた投薬が要求されます。

このほかに、加齢性黄斑変性などが見落とすべきではない重要な網膜の変化です。

網膜に白い刷毛で書いたようなこの網膜有髄神経線維がある場合、それが治療を必要とするものではないことは、眼科医であれば判断できます。しかし、素人である患者さんが自分の眼底写真を見たときに、”こんなに明らかな変化を見落としている”と言われると困るので、正しい診断名の”網膜有髄神経線維”と言う診断名を記載するのでしょう。

あるいは、変化はあるけれど、心配はないのですよと言うことを伝えたいと思って書いた診断名であるかも知れません。

これと似たものに、網膜の白斑と呼ばれるものがあります。それは高血圧や糖尿病の患者さんの眼底にしばしば見られ、網膜のごく一部が梗塞によって浮腫を起こした場合に現れる変化です。(図:網膜の軟性白斑を伴う中心静脈閉塞の出典)

soft exudates
この場合には、不整脈や頚の血管にある血栓が血流に乗って眼球まで来ていることも考えられますので、眼科医による直視下での精密検査や蛍光眼底撮影などの追加検査が必要です

◎治療の必要がない有髄神経線維であることを直接確認して、今後の指導をするためにも一度見せていただければ、似て非なるものを分離できますので御受診をお勧めします。

〇さらに、此の網膜有髄神経線維があると、そのあたりの視野に沈下が表れることが有ります。おそらく進行はしないのですが、以前の様に視野も測らずに大丈夫と宣言してしまうよりは、一度ゴールドマン等で視野を取っておくのも良いと最近は私も考えを改めています。(例:http://webeye.ophth.uiowa.edu/eyeforum/atlas/pages/myelinated-RNFL/index.htm

(初投稿2007年1月17日 8:40 AM。2007.1.17および2018.10.7追加改定)
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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Categorised in: 眼科検診