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2017年7月1日

8986:「ドライアイ診療の最新トピックス 慶応大学 内野裕一講師」:聴講録

「ドライアイ診療の最新トピックス 慶応大学 内野裕一講師」のお話を聞きました。葛南地区眼科勉強会(平成29年6月30日 浦安)

聴講印象記です:
ムチンは眼表面で多様なタンパクとともにグライコカリックス(糖衣)を形成し、水濡れ性の維持やバリア機能を保っています。その際に角膜上のムチンが結合する必須のガレクチン3という物質があって、ドライアイなどで、バリアが維持できないとこのガレクチン3が涙液中に流出します。SPKが増えれば、角膜のフルオ染が増します。SPKとは角膜の表層細胞、翼状細胞、基底細胞が破損して欠損しボーマン膜の上に基底膜だけが残った状態です。インテグリンというものが基底細胞の断端に出て、ボーマン膜上にできるフィブロネクチン(山口大学西田前教授の十八番)と結合しつつ角膜上皮による角膜被覆の回復を促進します。深い層までを侵す角膜糜爛にはヒアルロン酸が有効です。
対象がSPKならば、特に瞳孔領の損傷が不正乱視、霧視による視力低下を起こす。この角膜中央のSPK修復にはヒアルロン酸よりジクアスが有効。ここで、メニスカスにたまる涙液が増えることで、瞳孔領付近で涙が薄くなる現象を盗涙と呼び、これは京都府立医大の横井先生が好んで説明に使う概念です。
どうやって角膜に水を与えるか?を論じます。
①量を増やす「涙点プラグ」及び「ジクアス」。できれば点眼液から治療を開始したいので水分を表面に増やすジクアスから始ます。メニスカスを厚くするのにはジクアスなら30分効き、ヒアルロン酸は5分しか効きません。ジクアスはBAKフリーで使いやすいです。
②質をよくする:つまり角膜の水濡れ性を改善する。MUK16が圧倒的な分子サイズで角膜表面に発現し水濡れ性を改善します。そこに働くのが、ジクアソホルNa(ジクアス)とレバミピド(ムコスタ)です。東京と千葉ではその併用ができるが、関西では保険請求上二者択一だともいう話です。
症例:シェーグレン、GVHD(graft versus host disease)後のドライアイ、レーシック後、SLK(上輪部角結膜炎)、BUT短縮型ドライアイでもジクアスは有効です。

まとめ:
ガレクチン3もグリコカリックスバリアの維持に大切なものです
ドライアイ患者では涙液中のガレクチン3が増えます
角膜中央部のSPK治療にはヒアルロン酸よりもジクアスがよいです
ジクアスが、水分分泌作用、分泌型ムチンの分泌促進、膜型ムチンの発現促進作用を持つことがその理由。

清澤のコメント:会の長老でもあり、高校の先輩でもある百瀬先生のご指名で情報交換会での乾杯の音頭を取らせていただきました。流麗な物語の作者として洗練された内野先生のお話しと、患者さんに自分が推す治療を受けさせるための優れた説明の仕方を教わったことに感謝申しました。医師と患者間には情報格差がありますので、医師は内野先生のように誠心誠意自分の信ずるところをわかりやすく患者に説く姿勢が必要だと思いました。
zu1注:キーワードであるガレクチンの構造図です。ガレクチンの説明はネット上でも少ないです。ガレクチン3だけがガレクチンの中でも中央の形であり、下図の様な2量体で働くとされていました。右は以前の聴講記事です・参考記事⇒こちら
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