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2020年6月14日

11984:内皮移植後の術後内皮細胞密度に対するドナー角膜の温度変化の影響:論文紹介

清澤のコメント:自分で角膜移植に関与する事は無く、症例が有れば基幹病院に紹介させていただくばかりですが、本日のズームミーティングでは上記の論文のことを教えられました。そこで、どんな話なのかを帰宅後に調べてみました。角膜内皮移植において、移植前にドナー角膜を評価する為にいったん4°Cから常温に戻して内皮密度を測定して再び低温に戻すと、移植3か月後の内皮密度や内皮減少率に悪影響が有ることが判ったので常温での術前ドナー評価はしないと結論していました。

  ---抄録の翻訳----

内皮移植後の術後内皮細胞密度に対するドナー角膜の温度変化の影響
柿栖康二 、(対応著者)山口剛史、島崎淳

Sci Rep.2020; 10:731。 オンラインで2020年1月20日公開。

概要
デスメトリッピング自動内皮角膜移植(DSAEK)のドナー角膜における術前の温度変化(4°Cから室温)によって引き起こされる術後内皮細胞密度(ECD)への影響を検討した。海外のアイバンク(SightLife、シアトル、ワシントン州、米国)から転送された輸入ドナー角膜を使用してDSAEKを受けた100眼の回顧的症例対照比較。 50ドナー角膜はECD測定(TRグループ)のために温度逆転を経験した術後の結果が、DSAEKの前に温度変化を経験しなかった50ドナー角膜の症例(NTRグループ) と比較された。主な結果の測定は、DSAEK後1、3、および6か月での内皮細胞の損失とECDの減少率とした。 DSAEK後3か月のECDは、TRグループ(1458±494 / mm2)の方がNTRグループ(1696±±374 / mm2; P = 0.014)よりも有意に少なかった。6か月のECDには有意差が無かった。3ヶ月でのECDの減少率はTRグループで少なく、TRグループ(42.3%±±17.2%)がNTRグループ(35.7%±±14.2%; P±0.044)よりも大きかったが、6ヶ月では有意差が無かった。ドナー角膜の術前の温度変化がDSAEK後のECDに悪影響を及ぼす可能性があることを発見しました。

この実験の目的は以下に囲繞する論文の前文を読むとよく理解できる。
前書き: 最近、デスメトリストリッピング自動内皮角膜移植(DSAEK)は、水疱性角膜症の治療のための主要な手順となっている。ただし、術後の内皮細胞密度(ECD)の減少は依然として大きな懸念事項である。 ECD損失の潜在的な原因が数々報告されている。これには、より長いドナーの死亡から保存までの時間、保存時間の延長、レシピエントの術前虹彩損傷、術中合併症、前房への空気注入が含まれる。内皮の損傷について組織を評価し、内皮細胞の密度を調べるために、日本に出荷された輸入ドナー角膜をECD測定のために4℃で保存して室温に戻し、手術前は4℃で保存した。輸入されたプレカットドナーの角膜を使用した場合に、DSAEK後のECD損失が比較的高い症例を経験していた。 ECD損失の理由を模索するうちに、術前の温度変化が、手術前の組織の再評価中に温度の逆転を必要とした角膜に原因があると推測した。この懸念のため、2015年1月にドナーの内皮検査は中止された。術後のECDに対する術前の温度変化の影響を調べるために、この症例対照研究を実施しました。

Categorised in: 角膜疾患