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2021年5月29日

12898:ブルーライトカット眼鏡には効果がない? 学会が慎重意見:日刊ゲンダイ記事紹介です

清澤のコメント:先日の時計工芸新聞の記事(井上記者執筆)から派生させた日刊ゲンダイの記事です。時計工芸新聞記事は記事末尾でリンク。

  • 公開日:2021年05月21日 更新日:2021年05月21日
写真はイメージ

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「どういうことなの?」――。多くの人が戸惑ったのではないか。スマホやパソコンが放つブルーライトをカットし、「疲れ目」の予防などに効果があるとして人気の「ブルーライトカット眼鏡」(2011年発売=以下BLC)について先月14日、日本眼科学会など眼科関連6団体が「小児のBLC装用に対する慎重意見」を表明したからだ。それには、BLCの「眼精疲労の軽減」と「目の障害の予防」について「エビデンス(科学的根拠)に乏しい」とし、「小児にBLCの装用を推奨する根拠はなく、むしろBLC装用は発育に悪影響を与えかねません」と警鐘を鳴らした。なぜいま慎重意見なのか? 「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長に聞いた。

「今回の発表は、世界中の眼科医が共通して持っている“世界的な近視激増への懸念”から出たものです。失明リスクが高い強度近視になる人が世界中で爆発的に増えていて、欧米のある研究機関は、11年前に約20億人だった近視人口が40年後には世界人口の約半分の50億人に増加。そのうち9.3億人は強度近視になると推計しています。日本でも視力低下の子供が増加中で、2年前の文科省統計では、裸眼視力1.0未満の割合は小学生約35%、中学生約57%、高校生約68%。さらに新型コロナの流行で室内時間が増えたことから子供たちの視力低下に拍車がかかっていることが明らかになっているのです」

 4月から文科省が推進する「GIGAスクール構想」がスタート。小中学校に通う児童・生徒に対して、1人1台端末を使うことになった。

 自宅でのスマホやゲームの使用状況を考えると、結果的に子供たちは長時間モニター画面を見続けるようになる。そのため、眼科医の間で子供の目を守るための科学的考察が行われてきた、という。

「近視が進行すると、緑内障、視野障害、白内障、網膜剥離、黄斑変性など目の疾患の合併リスクが高まるとされ、人生100年時代の子供の強度近視の増加は大きな問題です。現在の近視の多くは軸性近視といわれ、眼軸が伸展することで発症するといわれます。眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前になるため、遠くが見えにくくなります。眼軸長の伸びは小中学生の間続くと考えられ、それを抑えるには1日2時間以上、太陽光を浴びることが良いとされています。今回の慎重意見は、BLCを一日中かけることで眼軸長の伸びを抑制する光までもがカットされることを恐れているからなのです」

 実際、慎重意見には以下の理由が書かれている。

①デジタル端末の液晶画面から発せられるBLは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはない

②小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるもの。十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まる。BLC装用は、BLの曝露自体よりも有害である可能性が否定できない

③最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、BLCには眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告

④体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にBLCをあえて装用する有用性は根拠に欠ける

「意見書の根拠のひとつになったのは、世界的な眼科雑誌『AM J OPHTHALMOL』の記事です。米国眼科学会のQ&Aでも同様のコメントが示されています」 

■慎重意見でも「一定の効果」には言及

 それにしても公表はなぜいまなのか。

 慎重意見にはその理由として<小児にBLCを装用させることを推奨する動きが一部にありますが、我々は以下の科学的観点からそれを危惧するものであります>とある。

 一部大手眼鏡チェーン店が都内の一部小中学校にBLCの寄贈を発表したことを指すとされるが、今回の学会の見解はあくまでもエビデンスに基づいた意見であろう。

 BLCは本当にメリットがないのだろうか。

「慎重意見には、<夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れが指摘されています。従って、夕方以降にBLをカットすることには、一定の効果が見込まれる可能性はあります>との記載がある。メリットがまったくない、ともいえません」

 また、「AM J OPHTHALMOL」に掲載された論文が調べたのは120人を2群に分け、2時間パソコン画面を見続けた結果を比較したもの。22本の参考文献の対象も欧米人だ。

 これだけで結論を下せるのだろうか。

 そもそもBLとは可視光線の中で、380~495ナノメートルの青色光を言い、日本のBLCの多くは普通の無色眼鏡より5~15%程度をカットしているに過ぎず、太陽光の多くは通過している。

 目とBLの研究にはさまざまな学説がある。消費者としては、情報を正しく仕入れたうえで、自己判断でBLC使用の有用性を判断することだ。

■子供の目を巡る最近の動き

【2019年】

6月28日 学校教育の情報化の推進に関する法律の公布、施行

9月12日 第17回国際近視学会(~15日、東京)

12月13日 令和5年度までに児童・生徒一人1台の端末を整備することなどを含む、 「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を閣議決定

【2021年】

2月11日  米国眼科学会誌が「ブルーライトカットレンズは長時間のスクリーン時間による眼の疲れを軽減させるのか」との論文を掲載

3月5日 日本眼科医会「ICT 教育・GIGA スクール構想と眼科学校医の関わり(眼科学校医が知っておくべき25のポイント)」改訂版公表

3月10日 米国眼科学会ホームページに「ブルーライトについて心配する必要はあるのか?」とのQ&A掲載

3月18日 ジンズホールディングス(東京都千代田区)、4月から東京都渋谷区立小中学校に通う全児童・生徒にブルーライトカット眼鏡「JINS SCREEN(ジンズスクリーン)」9000本の寄贈を発表

3月24日 Zoff、小学生とビジネスパーソンを対象にブルーライトに関する対照実験の結果を公表

3月30日 日本眼科医会、GIGAスクール構想に対応するため「目の健康啓発マンガ『ギガっこ デジたん!』ポスター・リーフレット」を公表

4月1日 「GIGAスクール構想」本格スタート

4月14日 日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会が共同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を公表

4月19日 日本医用光学機器工業会「小児のブルーライトカット眼鏡装用に関する眼科系6団体の発表に関する見解」発表

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方