お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2021年5月16日

12867:「ブルーライトカット根拠なし」日本眼科学会ら関連6団体が意見書:時計工芸新聞5月 5日記事採録です

清澤のコメント:知り合いの記者さんとこの記事の準備段階でお話をして居りました。続編は日刊ゲンダイのオンライン版に5月16日頃に掲載予定と伺っております。類似の記事がアエラの電子版17日公表にも出ています

  ーーーーーー

時計工芸新聞2021年5月5日1面より抜粋:

「ブルーライトカット根拠なし」日本眼科学会ら関連6団体が意見書

なぜ眼鏡業界は反論しないのか?

科学的論争を:すべては消費者、患者さんの利益のため

  4月14日、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会など眼科関連6団体が共同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を発表した。

 意見書の内容は「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねない」「ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されている」などで、これまで「目の疲れを改善させる」などとしてブルーライトカット眼鏡を開発、大ヒットさせてきた眼鏡業界を驚かせた。

 発表は事前に眼鏡業界に知らされず、眼鏡の業界団体に「慎重意見」の情報がもたらされたのは、SNS上での騒ぎに気づいた眼鏡店関係者からの通報などだった。日本医用光学機器工業会の「見解」公表が5日遅れとなったのはそのためのようだ。

  なぜ、このようなことが起きたのか?

 慎重意見には「小児にブルーライトカット眼鏡を装用させることを推奨する動きが一部にありますが、我々は以下の科学的観点からそれを危惧するものであります」とある。これは文部科学省が進める「GIGAスクール構想」に伴う一部大手眼鏡チェーン店の動きを警戒したものであることは明らかだ。

 「GIGAスクール構想」は児童・生徒に対し、1人1台端末を使えるようにさせ、通信ネットワークを整備し、全国の学校現場で持続的に実現させるというもの。教育の効率化が計れる反面、自宅でのスマホやゲームの使用状況を考えると結果的に子供たちは長時間モニター画面を見続けることになりかねず、目への影響が懸念されている。そのため眼科医の間では昨年から校医などを中心に対策が練られてきた。

 その最中に、一部の大手眼鏡チェーン店が、都内の小中学校に通う児童・生徒に9000本のブルーライトカット眼鏡の寄贈を発表したことから、父兄のなかには、「デジタル画面を見るならブルーライトカット眼鏡が必要」と思いブルーライトカット眼鏡を買おうとするかもしれない、との懸念が眼科医に広がった。そこで急遽、科学的観点から見た懸念を表明したということのようだ。

 この背景には、2年前に東京で開かれた国際近視学会でも話し合われた、「世界的な近視激増への懸念」があるのは間違いない。

 実際、欧米のある研究機関は、2010年に約20憶人だった近視人口が、2050年には世界人口の約半分の50憶人に増加。そのうち9億3800万人は失明リスクのある強度近視になると推計している。

 日本でも視力の悪い子が増加しており、19年度の「学校保健統計調査」によると、裸眼視力1・0未満の割合は小学生が約35%、中学生が約57%、高校生が約68%だった。

 近視は、進行するにつれて緑内障視野障害、白内障、網膜剥離、黄斑変性などの疾患を合併するリスクが高まることが知られており、人生100年時代の子供の近視の増加は大きな社会問題となっている。

 近視の多くは軸性近視と診断され、眼軸が伸展することにより発症するとされる。眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前に位置づけられるために、遠くが見えにくくなるからで、眼軸長の伸びは一生続くと考えられている。

 それを抑えるには1日2時間以上太陽光を浴びることが良いとされる。

 眼科医がブルーカットレンズ眼鏡を1日中かけ続けることを懸念するのは、眼軸長の伸びを抑制する光までもがカットされることを恐れているからだ。

 決定的ではない眼科医の「見解」

 しかし、これに対応するレンズの開発も進み、商品化もされている。そもそも、今回の慎重意見は欧米の一流医学誌で取り上げられた、米国の論文や米国眼科アカデミーのブルーライトに関するQ&Aを拠り所にしているが、それは決定的なものとはいえないのではないか。そもそもこの分野の研究は少なく、論文を検証する研究も多くはない。しかも一流医学誌に掲載されながら後に否定された学説はいくらでもある。大事なことは科学的根拠に基づく論争を行うことだ。

 眼科業界がブルーライトカット眼鏡を開発したのはきちんとしたプロトコールによる研究や眼科医のアドバイス、消費者の声があったからで、そのすべてが否定されていいわけがない。今回の意見書でも「いわゆる体内時計とブルーライトの関係についてはいくつかの論文があり、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れが指摘されています。従って、夕方以降にブルーライトをカットすることには、一定の効果が見込まれる可能性はあります」と一部効果を認める記述もある。

 すべては消費者・患者さんの利益のためを目指すべきで、眼鏡業界は必要ならば臆せず反論すべきことは反論すべきではないか。

「なぜ眼鏡業界は反論しないのか」の関連表

「ブルーライトカットレンズ眼鏡」と子供の目を巡る最近の動き

2019年6月28日:学校教育の情報化の推進に関する法律(通知)

   9月12日 第17回国債近視学会(~15日、会長・大野京子東京医科歯科大学眼科教室教授)

   12月13日 令和元年度補正予算案が閣議決定され、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれ、文部科学省の「GIGAスクール構想」が具体的にスタート

2021年2月11日 米国眼科学会誌が「長時間、スクリーンを見せても子供の目の発達に影響しない」との論文を掲載

   3月5日 日本眼科医会「ICT教育・GIGAスクール構想と眼科学校医の関わり」(眼科学校医が知っておくべき25のポイント)の改訂版公表

   3月18日 ジンズホールディングス(東京都千代田区)、4月から東京都渋谷区立小中学校に通う全児童・生徒にブルーライトカット眼鏡「JINSSCREEN (ジンズスクリーン)」9000本の寄贈を発表

    3月24日 Zoff、小学生とビジネスパーソンを対象にブルーライトに関する対照実験の結果を公表

    4月10日 日本眼科学会、GIGAスクール構想に対応するため、「目の健康啓発マンガ『ギガっこ デジたん!』ポスター・リーフレット制作」を公表

    4月12日 米国眼科学会ホームページに「ブルーライトについて心配する必要はあるのか?」とのQ&A掲載

    4月14日 日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会が共同で「小児のブルーカット眼鏡装用に対する慎重意見」を公表

    4月19日 日本医用光学機器工業会「小児のブルーライトカット眼鏡装用に関する眼科系6団体の発表に関する見解」発表 (清澤注:これは工業会会員限定ページです)

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方