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2021年5月6日

12838:「目に優しい」はずのブルーライトカット眼鏡、なぜ子どもに悪影響? 専門家が推奨しない4つの理由〈AERA dot.〉:記事紹介

清澤のコメント:ブルーライトカット眼鏡、なぜ子どもに悪影響?という記事が雑誌アエラに出ており、日本眼科医会を代表して加藤圭一先生がコメントを出しています。この案件に関しては私も多少の興味を持っておりましたが、この記事は問題点を4つにまとめており、わかりやすい説明になっています。(5月5日付の時計工芸新聞には私も協力して、井上記者が今回の論争の時系列などもまとめた記事が丁度出ました。現物の郵便での到着を待って採録いたします。このブログの4月20日の記事もリンクしておきます。)

  ――記事抄出―――

5/1(土) 10:00配信 

 いまや「目に優しい」ブルーライトカット眼鏡は人気の定番商品だ。パソコンやスマホ、ゲーム機などの画面が発するブルーライト(青色の光)をカットし、眼精疲労の軽減、睡眠障害や眼球障害の予防などをうたい、広く販売されてきた。だが、日本眼科学会など6団体が「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を表明し、波紋を呼んでいる。       

同学会などが4月14日に表明した意見書によると、ブルーライトカット眼鏡の効果は「睡眠障害の予防」のみだ。「夕方以降、ブルーライトをカットすることには、一定の効果が見込まれる可能性があります」とある。  

一方、眼精疲労の軽減と目の病気の予防については「エビデンス(科学的根拠)に乏しい」と指摘。そして、「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません」と警鐘を鳴らしているのだ。

 ■一般の人と専門家の認識に大きなギャップ  

なぜ、このような意見を表明したのか? 6団体の一つ、日本眼科医会で広報担当常任理事を務める加藤圭一医学博士に聞いた。

「保護者であれば、子どもたちがデジタルデバイスをずっと見続けることによって、目が悪くなっちゃうんじゃないかな、と心配するのは当たり前だと思うんです」と語り、こう続けた。

「ところがなぜか、その心配がブルーライトと結びついてしまっている。一般の方の認識と専門家の認識との間に大きなギャップがある。偏りのない情報と十分な科学的根拠に基づき、そのギャップを埋める。そして、子どもの健康を損なわないようにすることを大きな目標として今回の意見書を出したわけです」

 意見書では子どもにブルーライトカット眼鏡を推奨しない理由として、以下の4つを挙げている。順にみていこう。

(1)<デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないと報告されています>

そもそもブルーライトは、青空を見上げればわかるように、太陽光にも含まれるごく一般的な光だ。 「太陽光はとても強烈で、紫外線を大量に浴びると目の病気、例えば、翼状片、白内障、黄斑変性といった疾患を引き起こすことがあります。ですが、デジタルデバイスの画面から出るブルーライトは太陽光とは比較にならないほど微量で、健康障害が出るというのは一般的には考えにくい。それをカットしなければならないという論理は成り立たない、ということです」

 ■ブルーライトを避けることの「危険性」

(2)<小児にとって太陽光は、心身の発達に好影響を与えるものです。なかでも十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まります。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません>

太陽光は子どもの成長には不可欠なもの。なかでも昼間、十分に明るい場所で過ごすことが重要だと言われてきた。ただ、太陽光の何が有効なのか、科学的には結論は出ていないという。

 「もしかすると、太陽光の一部のブルーの光が大切かもしれない。ということは、それをカットしてもいいのか、という話になります。ブルーライト曝露の危険性はほとんどないわけですから、それを避ける問題のほうが多い可能性を否定できません」

中国や台湾では、教育現場に十分な明るさの太陽光を取り入れる政策を国を挙げて行っており、それによって子どもの近視が抑えられたデータが得られているという。

(3)<最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されています> 「一流科学誌とは『AMERICAN JOURNAL OF OPHTHALMOLOGY』で、眼科医に信頼されている雑誌です。また、米国眼科アカデミーからも同様のコメントが示されており、この団体はもっとも信頼性が高いとも言える組織です」

デジタル機器の画面を長時間見つめていると、まばたきの回数が減少し、目が乾くことから眼精疲労を感じることもある。ただし、こういったケースはブルーライトとは「別の問題」という。

■安易な使用に警鐘を鳴らす

(4)<体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有効性は根拠に欠けます。産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行うことが奨められています>

 これはブルーライトが体内時計を制御している、という説に基づくもので、「昼間っから太陽光のブルーライトをカットしてしまったら、夜、眠れなくなるかもしれない、ということです。睡眠障害が起きれば、朝、眠たいし、学校に行っても居眠りしちゃう。体のリズムを崩す恐れがある。子どもの健康にも成長にもよくないですよね」

 一方、世の中にはブルーライトカット眼鏡を愛用している人も大勢いる。大人への悪影響はないのだろうか。

「歳をとると、一定の光の波長をカットした眼鏡を使ったほうが、見え方がよくなるということがざらにあるんです。すべてにおいて不要というわけではありません」

 ただし、ブルーライトさえカットしておけば大丈夫だろうという安易な使用には警鐘を鳴らす。

「ブルーライトカット眼鏡をかけたから、ゲーム機で朝から晩までずっと遊んでいても大丈夫、なんてことは当然ないわけです。目が疲れるので、ブルーライトカット眼鏡を買ってきました、ではなくて、きちんと度数の合った眼鏡を使う、複数の眼鏡を使い分けるなど、重要なことがたくさんあります。それを伝えたくて、今回アナウンスしたのです」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方