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2021年4月2日

12753:調節力の低下と老視:解説です

老視は加齢とともに目の調節力が急激に低下した結果、近方の書物などに見難さを訴える現象を患者さん側から見たものです。その原因は加齢とともに水晶体が固くなって調節に必要な変形をしにくくなるという考えと、毛様体筋の力が加齢に伴って弱くなるという2つの理論があるようです。先の文①は所教授の教科書的記述、次に②③実際的な調節力の計算法。④最後の総説論文ではそのあたりを詳しく解説しています。   ーーーーーーー

① 老視: 定義:老視とは年齢とともに調節力が減退し、調節しても近方視が困難となった状態で一種の老化現象であり、(遠視や近視の)屈折異常とは根本的に異なる状態である。

成因:毛様体筋にある輪状筋が収縮しても水晶体の弾性の低下により、水晶体が膨らまず、水晶体屈折力は増加しない事による。

症状:読書などの近距離作業が不自由になったことを訴える。読書距離は通常30-25cmであり、正視眼で必要な調節力はDである。したがって、40-45歳で老視が始まり老眼鏡が必要となる。調節力と年齢の関係は、10歳で12D、20歳で9D,30歳で6D,40歳で4D,50歳で2D,60歳では1Dになる。

治療:老眼鏡を処方する。これは近業に必要な調節力の不足を補えばよい。正視あるいは遠視では凸レンズで不足分を補う。近視では、近視度を弱める場合、、メガネを外してちょうどよい場合、軽い凸レンズが必要な場合など近視の程度と調節力の減弱程度により異なる。屈折異常眼では完全矯正後(正視の状態)、調節力の不足分に対し凸レンズを加入すればよい。(ここまでの解説は現代の眼科学、田中直彦、所敬著から引用)

②調節近点を測るのがアコモドメーターまたはアコモドポリレコーダー。左側から覗いて機械の中で指標が近接と離反をするのに合わせて調節力を読み取ることができる。(図)

③調節力測定の実際 調節力の簡易的な測定には物差しがあれば足りる。1)遠方でちょうどよく見える眼鏡の度数を各眼について求め、これを掛けさせる。(この時の眼鏡下での調節はゼロ。)2)指標をゆっくり目に近づけて、少しぼやける点を探す。その時の眼と指標の距離をxcm(眼鏡下での調節近点)とする。100cm÷xcmで無限遠点から眼鏡下での調節力を求める。(眼鏡下調節近点が50cmなら調節力は2ディオプターとなる)。3)遠方用の眼鏡をかけて、文字が読める距離が30cmより遠くに有れば、老視が始まっていて老眼鏡処方が必要と判断できる。

④ 調節と老眼 DAアッチソン Accommodation and presbyopia, DA Atchison

概要 調節のメカニズムは少なくとも400年前から研究されてきました。調節という目の機能で最も興味深い側面は、その老化の時間経過が他の生理学的な機能よりもはるかに早く進んでゆくことです-それは青年期までに既に衰退し始め、通常の機能の約3分の2が青年期に失われます。老視の状態には、調節が十分に減弱低下して、急性視力を必要とする近接作業を妨げるときに到達します。老眼は一般に、水晶体とそのカプセル内、またはそれらの支持構造内のいずれかで、調節システムの「プラント」に起因すると考えられています。水晶体小体理論の1つであるヘス-グルストランド理論は、年齢が上がるにつれて、水晶体嚢と水晶体嚢がそれに反応する能力を超えて毛様体筋の収縮が必要とされる様になるという主張によって他の理論と区別されます。他のすべての理論では、毛様体筋の収縮の可能な最大量は、少なくともそれがピークに達する年齢を超えても、最大の調節力を生み出すために常に必要です。調節のメカニズムと老眼の発症の理論の現在の理解の私のレビューから、私はヘス-ガルストランド理論に反対する圧倒的な証拠があり、毛様体筋の収縮性の変化が有意に寄与する可能性は低いと結論付けます

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方