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2021年3月24日

12727:やはり新型コロナ対策に目の保護は必要だ・時計工芸新聞自著記事紹介

やはり新型コロナ対策に目の保護は必要だ

日本眼科学会眼科専門医 清澤源弘氏が解説

清澤のコメント:旧知の新聞記者I氏が私との会話をまとめて、時計工芸新聞第2448号令和3年(2021年)3月20日 眼鏡光学器部に掲載してくださいました。ご笑覧ください。

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はりや新型コロナ対策に目の保護は必要だ

日本眼科学会眼科専門医 清澤源弘氏が解説

メガネをかけている人は新型コロナ感染リスクが2~3倍低くなる

 なかなか収まれない新型コロナ感染症。一時は眼から感染するといわれ目を保護するためのゴーグルや眼鏡は飛ぶように売れた。その後、日本では目からの感染は一時ほど話題にならなくなったが、欧米ではいまだに強い警戒感があり、眼の保護の必要性が説かれているという。眼鏡に携わる人に向けて日本眼科学会眼科専門医で「清澤眼科医院」の清澤源弘院長に解説してもらった。

「メガネを掛けている人は新形コロナウイルスに感染する可能性が2~3倍低くなるとの調査結果がインドで発表され、話題になっています。」

調査は昨年の夏、インド北部ウッタルプラデーシュ州で、10歳~ 80歳の新型コロナウイルスに感染した患者304人を対象に行われた。インドでは成人の約40%がメガネをかけているが、感染者の中でメガネをかけている人の割合は、19%(58人)であることが判明。研究者は「メガネを掛けている人は、掛けていない人に比べて感染リスクが約2~3倍低かったと結論付けた。」

 同様の研究結果は中国でも報告されている。昨年1月27日から3月13日の間に、新型コロナウイルス感染症に罹患し、中国湖北省の隋州誌曽都病院に入院した276人(年齢中央値51歳、男性56.2%)の患者を対象にしたもので、このエリアの住民の31.5%がメガネをかけていたと推計されるのにもかかわらず、メガネをかけていて入院した人は入院患者全体の5.8%に過ぎなかった。「インドの研究をまとめた医師も語っていますが、その原因はメガネを掛けている人は空中からウイルスが眼に入りにくいことと、もう一つにはメガネが障害となって直接目に触ったり、こすったりできにくいからとも考えられます。逆に言えば、それだけ目が重要な感染経路となっている可能性があります。例えば目にウイルスが付着すると鼻につながる管を通してそのウイルスが涙に混じって鼻腔で感染するのかもしれません。」

 他にも新型コロナと目について研究報告は多数なされているが、特に気になるのは中年に多い加齢黄斑変性との関係だ。昨年8月の「ネーチャーメディスン」という権威ある欧米の医学雑誌に注目すべき論文が掲載された。

 加齢黄斑変性症新型コロナ死亡率が3倍高いとの研究も 欧米医学雑誌掲載

「コロンビア大学アーヴィング医療センターが米国のニューヨーク市内の病院に入院した6398人を対象に新型コロナ感染症患者の調査を行ったところ、加齢黄斑変性症の患者は88人いて、うち19人が気管挿管が必要な重症患者であったことなどを報告。他の患者よりも加齢黄斑変性症の患者は新型コロナ感染症が重症化しやすく、死亡する割合が3倍高かったことを報告しているのです。」

 これは加齢黄斑変性症の患者がコロナウイルスに感染する可能性が高いという意味ではない。一度感染すると、黄斑変性症の人は壊滅的な病気の症状を発症するリスクが高くなることを示している。

 「この論文を米国の眼科学会は無視できなかったのでしょう。今年3月10日付けの米国眼科学会は公式」ホームページに『加齢黄斑変性症のある人は新型コロナウイルスの強い合併症を起こしやすいか?』という記事をアップしました」

加齢黄斑変性とはものを見るときに重要な働きをする網膜の中心部分である黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化し、視力の低下を引き起こす病気のこと。

「加齢黄斑変性症の人は慢性炎症を起こします。時間が経つにつれてこの炎症は網膜の細胞に損傷を与え、視力喪失を引き起こす可能性がある。米国の医師は炎症が重度の新型コロナウイルスの合併症を引き起こし、死亡のリスクを高めると考えているようです。ただし、米国眼科学会のホームページにかかれているように加齢黄斑変性症を発症している人は、同時に糖尿病や高血圧など新型コロナの感染・重症化リスクを抱えていることが多い。しかも高齢者です。そのため加齢黄斑変性症は新型コロナ重症化の直接のリスクとは言い切れない部分もあります。そのため、ホームページの記述は控えめな表現になっていますが、だからこそ無視できないということではないでしょうか」

いずれにせよ新型コロナ感染症対策として、マスク着用、手洗い、3蜜回避などと並び眼鏡あるいはゴーグルで目を保護する重要性を感じている眼科医は少なくないということだ。

時計工芸新聞第2448号3ページ、令和3年(2021年)3月20日 眼鏡光学器

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方