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2020年3月10日

11599:色覚異常の人がより多くの色を見分けられるようになるコンタクトレンズが開発される:Gigazine

清澤のコメント:この記事だけではどのような仕組みで色覚障害者に緑と赤の色を区別させるのかがまだ理解できません。もう少し調べて追記したいと思います。

元雄記事の概要: 2020年03月10日


人間の目が識別可能な色の種類は一般的に100万色といわれていますが、特定の色を見分けることが困難な色覚異常を持つ人も存在します。そんな色覚異常の人が見分けられる色の範囲を回復するコンタクトレンズが、イスラエル・テルアビブ大学の研究チームによって開発されました。

OSA | Metasurface-based contact lenses for color vision deficiency
https://www.osapublishing.org/ol/abstract.cfm?uri=ol-45-6-1379

注1にこの記事の抄録「色覚異常のためのメタサーフェスベースのコンタクトレンズ」の翻訳を採録:

These Prototype Contact Lenses Could Allow Colour-Blind People to Tell Green From Red
https://www.sciencealert.com/contact-lenses-to-correct-red-green-colour-blindness-could-soon-be-a-thing


人間の網膜には視細胞の一種である錐体細胞が「S・M・L」の3種類存在しており、それぞれが異なる光の波長に反応して視物質を発現し、脳に色を伝えます。

以下の画像は、S・M・Lの各錐体細胞がどの色の波長に強く反応するのかを示したもの。「S」は比較的短い波長に対して強く反応して青色を識別するのに役立ち、M・Lはより長い波長に反応して緑や黄色、赤色を識別する上で重要です。これらの錐体細胞のうちどれか1つ、あるいは複数で問題が発生すると、上手く色を識別できない色覚異常の状態になるとのこと。


一般的に色覚異常と呼ばれる症状の中にはさまざまな種類が存在し、中には錐体細胞を全く持たない、あるいはS・M・Lのうち1つしか持たない1色覚という症状の人もいます。1色覚の場合は多くの色の識別が困難になるだけでなく、視力そのものも0.1~0.3程度まで低下するケースがあるとのこと。

しかし、1色覚の割合は数万人に1人というまれなものであり、多くの色覚異常はMやLの錐体細胞に問題が発生する先天赤緑色覚異常に分類されるそうです。このタイプの色覚異常を持つ人々は、赤と緑を識別することが困難であるため、日常生活のさまざまな場面で問題が発生すると、テルアビブ大学の生物医学工学者のSharon Karepov氏は指摘しています。

先天赤緑色覚異常の人が色覚を回復する方法としては、色覚異常を補正するサングラスの「EnChroma」が開発されています。EnChromaが色覚を補正する仕組みは、透明な材料に希土類金属を適切に配合することで、光の波長を散乱させるというもの。以下の記事では、EnChromaをかけた色覚異常の人が、生まれて初めて世界の色を正しく認識する様子が紹介されています。

色覚異常を補完するサングラス「EnChroma」で初めて見えた息子の瞳の色 – GIGAZINE


しかし、Karepov氏は「EnChromaはコンタクトレンズよりもかなりかさばります」と述べ、常にサングラスをかけて生活することはなかなか面倒であると指摘。そこでKarepov氏の研究チームは、レンズそのものを光学特性を変化させるフィルターとして用いるのではなく、レンズの表面構造を変化させることで光学特性を変化させる仕組みに着目しました。

Karepov氏の研究チームが開発したコンタクトレンズは、金で作られた40ナノメートルほどの薄膜を用いて、コンタクトレンズを通過する光の特性を変化させて色覚異常を補正するとのこと。レンズそのものではなく、薄膜を用いて表面構造を変化させるという手法により、個々のニーズに合わせて製品を微調整することが簡単になるそうです。

既存の技術では光学特性を変化させる薄膜を平らな表面にしか転写できませんでしたが、Karepov氏の研究チームは新しく曲面のレンズに薄膜を転写する技術を開発し、色覚異常を補正するコンタクトレンズの開発に成功しました。記事作成時点では新開発されたコンタクトレンズの臨床試験は行われていないものの、実験室のシミュレーションでは、コンタクトレンズを使用することで色を識別する能力が10倍以上に向上する可能性が示唆されています。

以下の画像は、左から「通常の人が見た光景」「赤緑色覚異常を持つ人が見た光景」「赤緑色覚異常を持つ人が、新開発のコンタクトレンズを装着して見た光景」を再現したものだとのこと。コンタクトレンズにより、赤色を識別する能力が格段に上昇していることがわかります。Karepov氏は、自身が開発した薄膜を曲面のレンズに転写する技術が、他のさまざまな分野にも応用できると主張しました。

by Sharon Karepov

注1:

OSA | Metasurface-based contact lenses for color vision deficiency のアブストラクトの翻訳
大規模なプラズモニックメタ表面を既製の剛性ガス透過性コンタクトレンズに埋め込み、色覚異常の視覚補助として機能する能力を研究しています。この研究では、色覚異常の最も一般的なクラスである重度異常に特に対処します。この状態は、中型錐体光受容体の赤方偏移によって引き起こされ、赤と緑およびそれらの組み合わせの色知覚に曖昧さをもたらします。色知覚に対するメタサーフェスベースのコンタクトレンズの効果は、国際照明委員会(CIE)色空間と人間の色に敏感な光受容体の従来のモデルを使用してシミュレートされました。提案された要素による正常な色覚と未補正および補正された重度異常との比較は、ナノ構造のコンタクトレンズが提供する、誤って知覚された色素を元の色素に近づける能力を示しています。提案された重度異常の補正前後の色知覚誤差の最大の改善は、最大で約10倍です。さらに、石原ベースの色テストもシミュレートされ、この要素によって達成された、重度の異常条件に対するコントラストの回復が示されました。

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方