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2017年9月27日

9216:眼科医がこれからの眼鏡レンズに求めることとは?

素材会社がレンズに付加価値を付けた製品開発をしようとする場合に考えられるアイデアにはどんなものが有るか?を聞かれました。この方は眼鏡やコンタクトレンズについては十分な使用経験と基礎知識が有る印象でした。然し、設問はやや漠然とした質問です。眼鏡知識のある人にものを聞くというスタンスのようです。

さて、私は眼鏡レンズが、材質やコーティングなどが劣る廉価量産物と、形態や材質などから高付加価値とされる高級製品に分かれるものだと思っています。新規参入とすれば、高付加価値のほうを目指すべきなのかもしれません。

①近視や乱視、それに老視成分までを含めた通常の屈折異常を矯正するものがまず普通の眼鏡であり、眼鏡レンズです。素材には硝子とプラスチックがあります。眼科医は患者さんが眼科での処方の後で眼鏡店に行き、眼鏡をそこで発注することを求めていますが、残念ながら市内で使われている眼鏡の多くは眼鏡店だけで作成購入されたものが使われているケースが多いでしょう。実際には、眼鏡レンズそのものよりも、デザイン料の含まれる眼鏡フレーム(枠)が意外と高いものです。

②子供では遠視や強い乱視の場合には、間もなく弱視を発症したり、内斜視を誘発したりするので、3歳程度の乳児の時から子供に眼鏡をかけさせる必要を持っている児童がいます。それらは小児眼科の治療対象で、場合に依っては眼鏡作成に国からの補助金が出る場合もあります。

③小学生や、中学生では近視性の屈折異常を持つ生徒の比率が半数程度と高くて、その近視もまだ年々増えています。近視進行防止には1)毎日、屋外で2時間過ごすこととか、2)読書を含む近見作業時間の削減が求められています。3)低濃度アトロピン点眼(0,01%)も提唱されていて、その主張はおそらくは正しいのですが、日本ではまだ保険採用がなされていません。

④近視の進行予防は、眼鏡関連でも大きな話題になっています。オルソケラトロジー、特殊なコンタクトレンズ、特殊な眼鏡レンズなども提唱され、それぞれに実行されてもいます。近視の進行を抑えるとか、目の疲労を減らすということを唄って様々な近方加入成分を入れた眼鏡も実際に販売されてもいます。(その例がツアイスのMCレンズ。)

⑤遮光レンズといって、特定の光の周波数をカットしてまぶしさを減ずるものが国産品でもありますが、高級なサングラスと言えるかもしれません。これは、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などにも使われます。眼鏡の上にゴーグルのように掛けるオーバーグラスの形の製品もあります。米国では眼瞼痙攣に用いると良いというFL-41というレンズが知られていますが、私が試した限りでは日本への輸入は大変面倒でしたし、今は国産の東海光学製レンズで間に合わせています。さらに調光レンズ(トランジションズオプティカルジャパン)といって、暗いと透明だが、明るいところに出ればしばらくして色があらわれるというものもあります。

⑥白内障や緑内障、ドライアイなどの普遍的に日本でも多い眼疾患を対象にしたレンズ開発も今後はありうる選択です。白内障予防なら紫外線カットなどが考えられます。このほかの疾患なら、別に何らかの特殊な機能を持つ眼鏡の製造や販売が将来広く展開される可能性もあります。原疾患の頻度が多い点とカットすべき光の周波数帯をどこに求めるかが製品開発成功への鍵となるでしょう。

⑦麻痺性斜視や共同性斜視などには手術治療も考えられますが、その前段階としてはプリズム眼鏡というものも処方されます。プリズム成分を硝子レンズに組み入れるほか、通常の眼鏡レンズの上に貼るビニール膜のフレネル膜プリズムというものがあります。硝子レンズなら、素材に鉛を混合して入れることで屈折率を上げ、眼鏡が薄くひいては軽くできるような工夫もすでになされています。

⑧特殊な機能として、筋電図を測定させる機能を眼鏡枠に持たせて目の安定性を評価するような機能付き眼鏡枠を研究しているジンズのような企業もあります。


Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方