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2016年9月22日

8152:ブルーライトの害とブルーライト眼鏡についてのご質問でした。

 学校医を引き受けている中学校の保健室の先生からブルーライトの害とブルーライト眼鏡について、学園祭でまとめたいというグループがあるので、学校医としての見解を聞かせてほしいという依頼をいただきました。

 「ブルーライトカットメガネは疲れ目の軽減にも、睡眠不足の回避にも大変よいものです。」というわけでもありませんので、そこを穏やかに伝えるのはむつかしいのですが、お答え案を作ってみました。これが中学生の期待に応えられるお答えであればよいのですけれど。
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ブルーライトによる眼障害とは?:網膜へのブルーライトによる障害が加齢黄斑変性を起こすという説とブルーライトが網膜を介して体内時計を狂わせ、健全な睡眠を十分にとれなくするという説とがある。

網膜への光毒性の影響は多くの眼科医が認めるところであり、屋外作業をする労働者などにおいてサングラスの装用が勧められる理由ともなっている。一方、睡眠を司る体内時計が夕方から夜間に浴びるブルーライトによって乱されるという説はまだ十分な定説とは言えない。

 ブルーライトとは青い色の色の光のこと。PCメガネ販売業者は380-400nmの波長帯の光を、実際には色としては感じられない紫外線も含めて「ブルーライト」と呼んでいる。
そもそも青色光は、太陽光にも多く含まれている波長で、体内時計を整える重要な働きもある。青い色の光、それ自体が直ちに悪影響を与えるものではない。あくまでも浴びる量と時間帯の問題と考えられる。青空など自然界にも青い光は多く、それ自体がほかの光に比べて特に害が強いわけではない。

 ただし、上に触れたように夜間にブルーライトを見続けるのは、あまり望ましくない。夜、ブルーライトを浴び過ぎると、睡眠覚醒リズムに影響を及ぼし、健全な眠りが保てない恐れがある。

 しかるに、PCメガネ業者は、LEDをバックライトに使用した液晶ディスプレイだけが問題であるかのように説明している。LED液晶ディスプレイから発せられる「ブルーライト」の波長はは大部分が450-460nmあたりである。

①ブルーライト眼鏡の効果は?
 ブルーライト眼鏡でも青い光をすべて遮断するわけではない。PCメガネの450-460nmあたりの「ブルーライト」カット率は、「50%カット」をうたうものでブルーライト全体の20%程度、「30%カット」をうたうもので全体は全体の10%程度に過ぎない。実際に使って楽だという声がある反面、変わらないという声も多い。ブルーライトをカットする眼鏡は、プラシーボ効果(偽薬効果)、すなわち「効果のある高価なメガネをかけているという自己満足で症状が改善しているだけ」という可能性もある。

ブルーライト研究会の図
img_1-2

② ブルーライトが出ている機器をどれくらい使うと網膜に影響が出るか?ブルーライトの害はどのくらいから出るのか?

:この質問は網膜に加齢黄斑変性が出るにはどの程度の光が必要か?と書き直すことができる。眼にあたる光の量は総量=面積当たりの光源の強さx光源の広さ×被曝時間÷距離の二乗とすることができるだろう。光源が強く、その面積が広く、長い時間危機を使えばその影響は大きいだろう。またスマホに比べてテレビの様に目からの距離が遠ければその影響ははるかに少なくなる理屈である。さらに瞳孔は明るい屋外では小さく、暗い部屋では大きくなるから、暗い部屋でのスマホは影響が大きくなる。

 しかし、スマホを一日に何時間以上使用したら網膜や体内時計に影響が出るという研究はほとんどないし、どれだけ以下なら悪い影響はないという閾値も知られてはいない。おそらく悪い影響は使用時間に比例して起きていると考えるべきなのだろう。参考に、スマホ、ゲーム、PC、液晶テレビ、ブラウン管テレビのブルーライト量を比較したというグラフを示す。これを見ると、眼からの距離の影響が大きそうである。

 一方、ACGIHは,可視光の許容値として,1日の曝露時間が104 s(約2.8時間)未満の場合には,実効輝度の曝露時間内の積分値を100 J/cm2sr以下に,また,1日の曝露時間が104 sを超える場合には,実効輝度を0.01 W/cm2sr(10 mW/cm2sr)以下にすべきだとしている.この値はかなり強い光源を見た場合の網膜への短期毒性(例えば溶鉱炉を覗きながら作業をするような環境)を考えたものであり、慢性の障害を考えたものではない。したがって、テレビゲームをするような状況を考えるならば、何時間以内なら安全とか、何時間を超えると悪いとかという値は与えられないと考えるべきである。

③ 大人と子供の違い。
子供の目のほうが透明で、齢を加えると水晶体に濁りが増えるので、同程度の強さのブルーライトの影響は子供に強く表れるはずだという意見もある。

 

参考にしたぺージ
1)ブルーライト研究会 http://blue-light.biz/about_studygroup/registration.html
眼科医師の中でブルーライトの害を提唱する人々のソサエティーのHP

2)「ブルーライト」の正体とPCメガネの効果 http://www.m-bsys.com/knowledge/pc-glasses_kwsk 比較的冷静にブルーライトの害は営利目的で提唱されたものだという意見のHP

3)眼の専門家に聞く、LEDディスプレイから出る「ブルーライト」は何が悪い? http://bizmakoto.jp/style/articles/1206/01/news047.html 比較的コマーシャル色が少なくてよい記事。
 

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方