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2016年9月4日

8100: コンタクトレンズ 合併症や問題点のトピックスの要旨 山田昌和先生

8100: 山田昌和先生の「コンタクトレンズ 合併症や問題点のトピックス」の要旨採録記事です。

この記事は、コンタクトレンズ取り扱い責任者向けの講演内容を眼科医清澤が書き出してみたものです。

◎コンタクトレンズ 合併症や問題点のトピックス
杏林アイセンター 山田昌和

コンタクトレンズの歴史:安全で快適なコンタクトレンズを求めて

〇空想科学としてのコンタクトレンズ
 1508年レオナルドダビンチ、
 1920年カールツアイス社で作成
 1958年日本でハードレンズ発売
 1972年日本でソフトレンズ認可販売

〇ハードレンズの登場、ソフトレンズの登場

・低酸素との戦い、PMMAレンズは小さくて、涙液交換だけで角膜に酸素を与える。角膜上皮は嫌気性代謝が多い特徴がある。PMMAからGPA(ガス透過性)へと素材は変わった。終日装用で24.1.連続装用で34.3、理想的な連続装用なら87Dk/Lの酸素透過性を要すとされる。

・レンズ劣化とアレルギーの問題
 当時はRGP素材で2-3年、HEMA素材では1-1.5年同じレンズを使用していた。
 CLPC(Contact lens-induced papillary conjunctivitis)の最初の記載は、1977年Giant papillary conjunctivitisで、これは春季カタルに類似していた。

〇使い捨て、頻回交換レンズの登場
 1990年に米国で、1994年には日本にも導入された。高含水率で薄いレンズは脆弱であった。それは製造技術の独占によって、業界の寡占化も引き起こした。これがCL人口を増やし、またハードからソフトへの移行を呼んだ。

・レンズケア方法の変化
1991年過酸化水素水(中和忘れ事故も起きる)、1996年(コールド消毒液、多目的溶剤=MPS)、2001年ポピドンヨード消毒液。レンズケア用品への遅延型過敏反応もある。MPSによる角膜ステイニングは無症状で装用後2-4時間で生じ、6時間後には消えるものである。しかし角膜に微細な傷があれば、角膜炎の発生リスクは傷がない時の3倍になる(Carnt 2007 Solution toxicity in soft contact lens daily wear is associated with corneal inflammation. Carnt N)

・感染症の問題
レンズケア用品の現在の問題点は消毒効果が十分でないこと。2009年国民生活センター発の報道で指摘された。
CLの普及で眼障害が増多した。米国で4-7万、日本で2-3万件。コンタクトレンズ装用者では低酸素、ドライアイ、感染微生物の3条件ががそろいやすい。角膜感染は20歳台と60歳代の2峰性の分布で、若年者にCL関連感染症が多い。ソフトレンズの角膜感染起炎菌では圧倒的にグラム陽性菌が多い。一方、レンズケースと保存液の細菌汚染ではほとんどが環境菌で、グラム陰性菌も多い。使い捨てレンズ(一日用)ならグラム陽性の常在菌が原因のことが多く、定期交換(2週間やひと月もの)レンズなら、グラム陰性桿菌。また菌を栄養源とするアメーバも発生する。アカントアメーバ角膜炎は殆どがコンタクト使用例である。これは特徴的な放射状角膜炎から始まり輪状膿瘍になる。アメーバのシストに有効なのはヨード製剤だけ。レンズケアの3要点は手洗い、レンズこすり洗い、レンズケース交換である。ケースも週一度は乾燥を推奨する。正しく一日物レンズを一日で変えない人がいるため、使い捨てコンタクトレンズの方がリスクは大きく、危険である。

〇シリコーンハイドロゲルの登場
・コンタクトレンズの合併症は克服されているだろうか。シリコーンハイドロゲルレンズ使用に伴う乳頭増殖は限局型である。シリコーンハイドロゲルの使用は感染性角膜炎のリスクを下げない。(HEMA 7.7, SHCL14.8で相対リスクはむしろシリコーンが2.18倍である。

さてさて眼科医清澤の感想は:よくまとまったお話でした。従来から言われたように、一日物は2日以上使う人がいるために相対的な危険は高いわけですね。シリコーンハイドロゲルが酸素透過性の低いHEMAより感染の危険が多いのはなぜでしょうか? この話の概要は、月曜日の朝の朝礼で医院の職員にご披露させていただきました。

Categorised in: コンタクトレンズ・眼鏡処方