お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2021年6月16日

12948:春季カタルにはタクロリムス点眼液が有効で怖くない薬である。:福島敦樹先生のWeb講演聴講印象記

清澤のコメント:福島先生は高知大学教授としての講演を以前聞き、このブログでも紹介させていただいたことがありましたが、今回はツカザキ病院の所属でのお話でした。要点は、結膜及び、角膜に重篤な病変を持つ春季カタルにはタクロリムス(タリムス)点眼液が有効で安全であるという内容であり、私の医院で年に5例程度使ってみている中での実感ともよくマッチしたお話でした。

   ーーーお話の要点聴講記録ーーーー

アレルギー性結膜炎は1型アレルギーが関与するアレルギーのタイプです。瞼結膜の乳頭形成や堤防状の角膜病変であるとランタス斑を伴う。角膜病変(点状表層角膜炎、角膜糜爛、潰瘍へ)は石垣状結膜増殖の結果です 輪部堤防状角膜増殖や、シールド潰瘍も見られます。

有病率:頻度は?3004名の内(男女比1:1)でアトピーは5.3%、春季カタルが1.2%程度。地域分布は関東、九州などに偏りがある。

臨床的組織的な特徴。巨大乳頭と角膜にシールド潰瘍を伴う。上皮の菲薄化と好酸球の浸潤がある。深川らは、重症の角結膜炎の涙液中の好酸球数を数えた。角膜が正常なアトピーでは涙液好酸球は多くはなく、角膜変化例では増える。MBPなどのサイトカインタンパクが免疫組織検査でも見られる。抗原の認知は好酸球にはできないが、抗CD3陽性T細胞が浸潤していて、これが抗原認識をしている。

能動免疫の動物実験例では(ブタクサで)、好酸球の浸潤がみられる。これは、IgE抗体静注では起きない。これで、1型ではなく、T細胞が特に結膜の増殖には重要とわかった。重症化の鍵はT細胞である。1型アレルギーは必要だが、抗アレルギー薬だけでは不十分で、免疫抑制薬が必要である。これは、理にかなっている。

市販薬は2種類あって、2006年発売ののシプロスポリンと2008年の発売のタクロリムスである。タクロリムスは日に2回投与で、目に沁みる。

症例では:シクロスポリンはユニットドーズ剤。2月で乳頭増殖も堤防上の角膜変化も引いた。タクロリムスではこれが2週間で効いた。2種にどのように差があるのか?末梢血からの上清サイトカインを測り、各種サイトカインへのIC50を見る。サイトカインのIL2(インターロイキン2)の濃度は下がってゆくが、シクロスポリンよりもタクロリムスの方が薄くても強く効く。イタリアの無作為試験ではシクロスポリン1%では聞かず、0.1%タクロリムスで効いた。左右眼で比較したら、タクロリムス側が有意に良く改善した。ワォシュアウト後に、左右変えてやっても同様の結果だった。重度の春季カタルにはタクロリムスがベターだ。抗アレルギー薬にステロイドを入れないでタクロリムスにスイッチして使える。シクロスポリンなら、ステロイドを先に載せる必要がある。

短期試験:584施設で4週以上評価した。副作用は、10.2%に何らかの副作用あり。承認時までとその後の副作用には差はない。感染症及び寄生虫は多くはなく、眼部熱感と眼刺激(低いPhによる)が見られ、アクセプタブルだった。有効性もよかった。自他覚のスコアは、自覚は1月以降で全時点で改善している。他覚所見もすべての1月以降の全時期で有効。病型では、眼瞼型、眼球型そして混合型を見たが、病型による差はない。重症化の各指標に対してタクロリムスが有効だった。

長期試験では、投与期間と副作用を見た。北大での観察期間は30月。単純ヘルペス1例のみ。高知大学の調査では、15例。64か月。タクロリムスでは再発もある。

Categorised in: 結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)