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2020年12月2日

12471:瞼の腫れ(眼瞼浮腫)の原因と治療

眼科医清澤のコメント:最近診察した両眼眼瞼浮腫の複数の例を思い出しながら眼瞼の浮腫を解説します。この記事には2020年1月27日にZawnVillinesによって書かれた記事[瞼の腫れの12の原因と治療]を参考にしています。

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まぶたの腫れは単なる美容上の問題以上の問題をひき起こす。特に腫れが視機能を妨げるほどひどい場合には危険なことがある。 まぶたの腫れのほとんどは無害だが、非常に深刻な場合もある。まぶたが腫れている場合には、眼科医に治療を依頼するのがよい。 

1.麦粒腫と霰粒腫

麦粒腫は、まぶたの皮脂腺の感染症。最も一般的なタイプの麦粒腫は、まつげの付け根にある小さな涙腺に感染する。 麦粒腫は通常、赤く、かゆみを伴い、痛みも伴って、腫れたしこりとして始まる。数時間または数日の間に、それらはにきび似た炎症を示す。 ほとんどの場合、感染は単一の涙腺または皮脂腺に影響する。麦粒腫を自分で潰すのは勧められない。 抗生物質は、次の場合に適用となる。複数麦粒腫の同時発生。麦粒腫による疼痛。症状の悪化。発熱。視力低下:麦粒腫でこれらの症状のいずれかが発生したら眼科医受診が必要だ。 

霰粒腫は麦粒腫のようにも見えるが、感染症ではなく、瞼の皮脂腺が詰って発生する肉芽性炎症。霰粒腫は再発して大きくなりやすい。温湿布は早期緩解を促す。 大きくなると、視力を妨げ、痛みを伴うことがある。通常は局所麻酔下に切除する。霰粒腫、麦粒腫、他の眼感染症の区別は難しい場合がある。 

2.アレルギー 

まぶたの腫れにかゆみ、赤み、涙目が伴う場合は、アレルギーである可能性がある。ほこり、花粉、およびその他の一般的なアレルゲンは、眼表面を刺激し、アレルギー反応を引き起こす可能性がある。目のアレルギーが危険になることは少ないが、本人には強く気になることがある。 既知のアレルゲンを避けることが最善の治療法だが、抗ヒスタミン薬を服用することで症状を改善できる人もいる。市販の点眼薬はかゆみや乾燥にも効果があるが、症状が続く場合は眼科医に連絡する必要がある。 クインケの浮腫(寒冷蕁麻疹など)もこれに含めてよいでしょう

3.疲労感 

疲労感や倦怠感により、まぶたが腫れて腫れているように見えることがある。一晩での水の瞼への貯留もまぶたに影響を与える可能性がある。特によく眠れなかった場合、朝に眼瞼が腫れて見えることがある。枕の上に頭を上げて横たわっているときに冷湿布を適用するとこれを軽快できる場合がある。 

4.啼泣 

小児または成人が泣くと、目やまぶたの小さな血管から水分が漏出し浮腫を生じる可能性がある。特に、泣き声が強い場合や長時間持続する場合にはそうである。人が泣いた後に起こるまぶたの腫れは、目の周りの領域への体液貯留の結果である。休息、冷湿布、頭の挙上、飲水が役立つ場合がある。 

5.化粧品、他 

化粧品やスキンケア製品が目に入ると、目や周囲の組織を刺激し、腫れ、赤く、痛みを起こす可能性がある。先に言及したアレルギー反応もまぶたの腫れを引き起こす原因である可能性がある。 目が焼けて腫れた場合は、不快感を和らげる人工涙液(点眼薬)等を使用する。  いわゆる虫刺されも、蟻酸などの成分による薬剤性の反応であろう。

6.眼窩蜂窩織炎など 

片眼に起きる眼窩の炎症は、まぶたの組織の深部の感染症である。それはすぐに広がる可能性があり、しばしば苦しい。小さな切り傷からでも、眼窩蜂窩織炎を引き起こすのに十分な細菌を導入する可能性がある。まぶたが非常に痛い、赤い、縞模様、または腫れている場合には緊急医療を求める必要がある。 蜂窩織炎は抗生物質治療を必要とする深刻な感染症である。感染の重症度によっては、静脈内(IV)への抗生物質投与が必要になる場合がある。周辺の副鼻腔炎の眼窩波及も除外を要す。 

7.バセドウ病 他

バセドウ病は、甲状腺機能亢進症を引き起こす内分泌障害である。この状態により、抗体が、目の腫れや炎症を引き起こす可能性がある。バセドウ病には、甲状腺手術やさまざまな薬剤など、さまざまな治療法がある。 甲状腺ホルモンが高いとは限らない。眼窩筋炎、IgG4関連疾患など眼窩内に炎症や筋肥大を起こし、バセドウ病に似た症状を起こす疾患もよく考えて除外する必要がある。

8.眼瞼ヘルペス 

眼瞼ヘルペスは、目の中や周りの組織でのヘルペスウイルス感染症。誰でも発症する可能性があるが、それは子供に最も一般的である。眼のヘルペスは結膜炎によく似ているが、必ずしも明確な病変を生じるとは限らない。ヘルペス系のウイルスは最初の感染が収まったのちにも体内の神経組織に残り、それへの治療法は無いが、再活性化が起きて眼瞼に帯状疱疹を発症した際には抗ウイルス薬で症状を管理する。三叉神経第一枝の帯状疱疹でも瞼の腫れを示すことが有り、発生すれば疼痛や皮膚の水泡が特徴的である。眼球内の炎症を除外し、皮膚科医に相談する。 

9.眼瞼炎、マイボーム腺炎 

まぶたの中や周りに他の人よりも多くの細菌がいる人がいる。これらの細菌は、眼瞼炎と呼ばれる状態を引き起こす可能性がある。眼瞼炎の人は、まつげの周りに油性の分泌物とフケのような落屑があるかもしれない。眼瞼炎のある人では、痛みを伴う炎症を起こす。眼瞼炎は、はっきりした治療法のない慢性疾患で、症状が長期にわたって悪化する傾向がある。温湿布、アイメイクの慎重な除去、まぶたのスクラブが役立つ場合がある。眼科医は抗生物質軟膏を処方する場合がある。時には、より重篤な感染症につながる。眼瞼炎の発生が以前よりもひどい場合、または痛みが激しい場合は、眼科医受診を勧める。 

一説によれば、マイボーム腺炎の治療は日本とアメリカで違いがある。 日本では抗生物質含有ステロイド眼軟膏(ネオメドロール眼軟膏®)や抗生物質軟膏(タリビット眼軟膏®)を処方する. これに対して,アメリカでは第1に瞼縁を清潔にし(温罨法と眼瞼スクラブ), 第2に抗生物質の点眼(エコリシン®),軟膏(エコリシン®),或いは内服(テトラサイクリン系(ビブラマイシン®)やマクロライド系(ジフロマック®))が処方される.特にマイボーム腺機能不全がみられる場合には,テトラサイクリン系の抗生物質の内服がなされる. テトラサイクリン系の抗生物質はブドウ球菌からのリパーゼの産生を遮断する特徴を持っている。 ステロイド眼軟膏でも症状の一時的軽減は期待されるが,発症の機序を考えると,アメリカ式治療の方が正しいかもしれない。 

10.涙管の閉塞 

涙管が詰まると、目が涙を完全に排出できなくなり、炎症部の瞼に痛みや赤みを生ずる。涙管が詰まっている人は、流涙を訴える。新生児と乳児は、涙管の閉塞に対して特に脆弱だが、その症状の多くは1歳になるまでに改善する。 ほとんどの場合、涙管の閉塞は煩わしいが、実害は少ない。温湿布は腫れを和らげ、涙管の排液を助けることができる。圧力を下げてダクトを排水するために、乳児ではその領域への優しいマッサージを推奨する。 閉塞した涙管が感染することもある。非常に痛い場合や発熱した場合には、迅速なケアを求める必要がある。感染には抗生物質が用いられる。閉塞した鼻涙管や涙小管がきれいにならない場合、医師はそれを開くための医療処置(類洞内視鏡措置や、NSチューブの設置など)を行う必要がある。 

11.結膜炎、ピンクの目 

ピンクアイとしても知られる結膜炎は、眼瞼と眼球の内側を覆う透明で薄い組織である結膜の炎症である。結膜炎では通常、ピンクまたは赤い結膜を示し、痛み、かゆみ、まぶたの腫れを経験することがある。 

結膜炎の最も一般的な形態は、7〜10日後に自然に治るウイルス感染症(アデノウイルスによる流行性角結膜炎など)である。細菌感染も結膜炎を引き起こす可能性がある。アレルギーや香水などの刺激物が目を刺激し、結膜炎を引き起こすこともある。 結膜炎がその上にある眼瞼に浮腫を起こす。温湿布は痛みを和らげることができる。人々はまた次のことを目指すべきだ: 

  • 目を清潔に保ち、化粧をしない 
  • 目をこすったり触れたりしない 
  • 感染の拡大を防ぐために頻繁に手を洗う 

症状が悪化したり、痛みがひどくなったり、数日でピンクの目がきれいにならない場合は、更に抗生物質を処方することがある。

12、特異的な眼瞼への細胞浸潤など

組織学的に組織標本を検索して初めて診断される類の疾患が、眼瞼の腫れに伴って見つかる場合がある。上に記した処々の疾患が同定されない場合には組織診断も必要なことが有る。アミロイドーシスやヒスチオサイトーシス、真菌感染その他があげられよう。

Categorised in: 結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)