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2018年11月11日

10260:『使える!免疫抑制剤点眼』 宮崎大先生:聴講印象録

清澤のコメント:免疫抑制剤タクロリムス点眼の使い方を整理して聞かせてくださいました。ある種の感染症や自己免疫疾患でも状況によってはオフラベルではあるが、使えるそうです。千寿Ophthalmic seminer 2018 in Tokyo (2018.11.10 虎ノ門ヒルズフォーラム)から講演Ⅰ、『使える!免疫抑制剤点眼』 宮崎大 (鳥取大医学部付属病院眼科准教授)の聴講印象録です。

上図の説明: タクロリムスの作用機序:お話の基礎知識として、
タクロリムス活性化T細胞のクローン性増殖を抑制する (ご希望なら
→出典はこちら

タクロリムスは、そのイムノフィリンであるFK506結合タンパク質(FKBP)と結合し、複合体を形成する。タクロリムス-FKBP複合体は、カルシニューリン (CaN)と結合し、競合的に阻害する。その結果、カルシニューリンは、NF-ATcを脱リン酸化することができず、NF-ATcの核内への移行、NF-ATcとNF-ATnとの結合に失敗する。以上のように、タクロリムス-FKBP-CaN複合体は、この経路を阻害することにより、活性化T細胞のクローン性増殖を抑制します。なお、「プロトピック軟膏0.1%」はタリムス点眼液と同じ薬効成分で皮膚用の製剤です。

聴講メモは以下のとおりです:

現在の免疫抑制剤点眼液ではタクロリムスが8割を占めている

設問

・ステロイドより強いか?

・感染併発でも使えるか?

・春季カタル以外にも有効か?

◎スギ・ヒノキのアレルギー性結膜炎有病率は37.4%。殊に首都圏ではAKC(アトピー性角結膜炎)VKC(春季カタル)の有病率が高い。

・ステロイド併用は必要か?(Ophthalmology 2017 #1):330施設で2008-16年、アトピーと鼻炎で、若い人対象にて、タリムスによって上皮障害は1か月で消え、ステロイド(ベタメサゾンないしフルメトロン)は併用してもよいが結果は同じ。シールド潰瘍、巨大乳頭スコア、アトピー性皮膚炎:いずれもステロイドで大きく結果は変わらず。

・症例:KPと前房細胞+シールド潰瘍、リアルタイムPCRで単純ヘルペスのコピーが高かった。

鑑別としては炎症、感染残余、薬剤毒性、幹細胞の疲弊

上皮型ヘルペスは、アトピーでのオッズ比が高い。

・症例:リンデロン4xでも治らない、渦巻状のSPK

 鑑別はアレ結、クラミジア、類天疱瘡、パジェット病

 PCRでクラミジア除外、クラリスロマイシンも効かず、タリムスで終息した。

 しばらくして再発。16Sのコピーが高く、培養でも黄色ブ菌MRSA多数。

  タリムス2xとバンコマイシンで収まった。

・タリムスは春季カタルのほかにも、アトピー、モーレン潰瘍、周辺角膜潰瘍、GVHD(グラフトバーサスホスト病)、強膜炎でも(時に用途外だが)効果がある。

アトピー性皮膚炎では角膜炎のハザード比が高い。

その分析に、カプランマイヤー生存解析とコックス比例ハザードモデルを使用

参考文献:

#1:Steroid-sparing effects of 0.1% tacrolimus eye drop for treatment of shield ulcer and corneal epitheliopathy in eyes with refractory allergic ocular diseases宮崎 大Ophthalmology 2017,124(3)287-294

清澤注:解らないながらもよく見る単語を再調査してみました

  • カプランマイヤー曲線
     ・アウトカム、もしくはセンサーが発生する度に区切り、その区間のハザード(「瞬間アウトカム発生率」のようなイメージ)や全体のnを求めていく。
    ・上記で求めた生存率をそれよりまえの生存率に次々とかけ算を行う。
    ・グラフ全体を見る事が大切で、グラフで形成される面積を考慮する事もある。

    ②Cox比例ハザード回帰分析
    ・Log-rankは因子と結果が1:1の2変量解析だが、Coxハザード回帰分析はこれに交絡因子を含めて多変量解析したもの。
    ・比例ハザードとは:ハザード(アウトカムを発生するリスク)が時間によらず一定であると言うこと。つまり、時間によってハザードが変化するのであれば、これらの検定は使用できない。
    ・基本的には曲線が交差している場合は比例ハザードが成り立たないと予想される。

Categorised in: 結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)