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2018年3月23日

9711:水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床研究

水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床研究―安全性と有効性を確認し、POC(概念実証)を獲得―

京都府公立大学法人京都府立医科大学
学校法人同志社同志社大学
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

清澤のコメント:これは素晴らしい成果です。従来はほぼあきらめられていた水泡性角膜症の治療の標準治療法が間もなくこれに取って変わられるものと思われます。Rho キナーゼ(ROCK)阻害薬を添加した培養ヒト CECというところがコツだったようです。

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ポイント

  • 水疱性角膜症に対する新規再生医療技術である培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床研究を実施し、その安全性を確認するとともに、角膜の透明化や視力改善などの有効性を確認した。
  • 2年間の観察を終了した最初の11例の成果をまとめた論文が世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌の一つであるThe New England Journal of Medicine(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)にOriginal Articleとして掲載される。
  • 培養ヒト角膜内皮細胞注入療法により培養細胞の注入移植により組織形成を実現した。
⇒NEJMのアブストラクトです
水疱性角膜症に対する ROCK 阻害薬を用いた培養細胞注入
Injection of Cultured Cells with a ROCK Inhibitor for Bullous Keratopathy

S. Kinoshita and Others

背景

フックス角膜内皮ジストロフィなどの角膜内皮細胞(CEC)障害は,角膜の含水量に異常をきたし,水疱性角膜症として知られる角膜混濁と視力低下を引き起こす.われわれは,Rho キナーゼ(ROCK)阻害薬を添加した培養ヒト CEC を前房内に注入することで,注入細胞の生着により CEC 密度が増加するかどうかを検討した.

方 法

CEC が検出不能となった水疱性角膜症 11 例を対象に非対照単群試験を行った.ドナー角膜から継代培養したヒト CEC 1×106 個に ROCK 阻害薬を添加し(最終量 300μL),前房内に注入した.細胞注入後は細胞接着を促すために患者に 3 時間腹臥位をとらせた.主要アウトカムは,細胞注入後 24 週における,角膜中央部の CEC 密度が 500 個/mm2 以上に増加し,かつ,角膜透明性を回復することの達成とした.副次アウトカムは,細胞注入後 24 週において,角膜厚が 630μm 未満であることと,ランドルト環視力検査で 2 段階以上に相当する最高矯正視力の向上とした.

結 果

000029792細胞注入後 24 週において,治療した 11 眼中 11 眼(100%,95%信頼区間 [CI] 72~100)で CEC 密度は 500 個/mm2 を超えており(範囲 947~2,833),うち 10 眼では 1,000 個/mm2 を超えていた.11 眼中 10 眼(91%,95% CI 59~100)で角膜厚 630μm 未満(範囲 489~640)に回復し,最高矯正視力の 2 段階以上の向上は 11 眼中 9 眼(82%,95% CI 48~98)で認められた.

結 論

水疱性角膜症患者 11 例に ROCK 阻害薬を用いた培養ヒト CEC 注入を行い,24 週間後に CEC 密度の増加が認められた.(日本医療研究開発機構ほかから研究助成を受けた.UMIN 臨床試験登録番号 UMIN000012534)

追記:同じ内容ですがケアネットの内容を再掲示しておきます

ROCK阻害薬と培養細胞の注入で、角膜内皮細胞が再生/NEJM

提供元:ケアネット 公開日:2018

ROCK阻害薬と培養細胞の注入で、角膜内皮細胞が再生/NEJMのイメージ

フックス角膜内皮変性症などの角膜内皮障害は、角膜の含水量に異常を来し、水疱性角膜症として角膜の混濁と視力低下を引き起こす。京都府立医科大学の木下 茂氏らは、水疱性角膜症患者において、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害薬とともに、培養したヒト角膜内皮細胞(CEC)を前房内に注入することにより、24週間後にCEC密度が増加し、視力が改善したことを明らかにした。NEJM誌2018年3月15日号掲載の報告。

検討は、単一群の非比較試験にて行われた。対象は、水疱性角膜症と診断され、CEC検出不可の11例。ドナーの角膜から得て継代培養したヒトCEC株計1×106個を、ROCK阻害薬(最終量300μL)とともに治療眼の前房内に注入し、その後3時間、患者を腹臥位とした。

主要評価項目は、注入後24週における、角膜中央部のCEC密度500個/mm2以上増加を伴う角膜透明度の回復。副次評価項目は、注入後24週における、角膜厚630μm未満、視力検査(ランドルト環)で最高矯正視力の2段階以上改善とした。

主な結果は以下のとおり。

・注入後24週において、11眼中11眼(100%、95%信頼区間[CI]:72~100)でCEC密度500個/mm2以上の増加を認めた(範囲:947~2,833)。
・10眼は、1,000個/mm2を超えていた。
・11眼中10眼(91%、95%CI:59~100)で、角膜厚630μm未満(範囲:489~640)への回復が認められた。
・11眼中9眼(82%、95%CI:48~98)で、最高矯正視力の改善が2段階以上認められた。

(ケアネット)


Categorised in: 結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)