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2017年2月8日

8566:『アレルギー性結膜疾患の予防と治療について』 深川和己先生:聴講印象記

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初期療法とその利点

初期療法とは、花粉飛散予測日の約2週間前、または症状が少しでも現れた時点で抗アレルギー薬の点眼を開始する治療法です。

効果1、症状の発症を遅らせる (例えば、花粉飛散開始日が2月10日として、普通だと2月14日から始まる花粉症の発症を3月初旬に遅らせることが出来る。)

効果2、症状を軽減させる(例えば3月上旬にあるピーク時の症状を図のように半減させることが出来る)

そうすれば、定性的な話ではあるが(症状を時間で積分した)症状の面積は4分の1にまで抑えることが出来る。(これは、本日の講演でも示された図ですが、製薬会社のパンフレットから同様の概念図を借用したものです。)

城東地区眼科アレルギー講演会
『アレルギー性結膜疾患の予防と治療について』両国眼科クリニック 深川和己先生

①セルフケア

1)飛散予測は2月中旬。今年はほぼ例年並み。昨年より少し少ない程度。

2)結膜嚢から組織へ:
 花粉は直径が50ミクロンある。
 花粉がハッチアウトしてCryj1,Cryj2がマストセル表面のIgEに結合して架橋する。
 パタノールやアレジオンがあるとハッチアウトしにくい
 上皮に傷があると組織に入りやすい

3)抗原回避
 マスクをすれば鼻には有効
 花粉防止眼鏡というものがある。OHIOチェンバーやSOFTチェンバーで試すことが可能
 花粉防止眼鏡なら花粉の92%カット(上の庇が著効)、通常の眼鏡でも花粉の50%がカットできる。
 人工涙液による洗浄も有効:Cryj1の溶出を抑える
 防腐剤を含むアイボンによる洗顔は勧めない

②メディカルケア
1)治療のターゲットはかゆみである
 鼻水83%、かゆみ75%、鼻詰り58%、--充血は25%に過ぎない。

2)アレルギー性結膜炎の「生活の質の評価」にJOCQOLというものがある 
 CAL試験はピペットで抗原を投与して、その反応を見る検査。

3)初期療法 「行うべきは今!2月8日ころ」
 花粉飛散予測の1-2週前、またはわずかな炎症反応が出た時に開始する
 その効果は上図のごとく、全反応を4分の1に軽減できる
 特に小児にはステロイドレスポンダーが多く、この療法ではステロイド使用を減らせる
 ステロイド点眼は、眼圧測定を行うことのできる眼科医外では使うべきではない。

 ◎初期療法が有効になっていることの、考えられる理由

 1)minimal persistent inflammation 症状が発現する前の抗原暴露で炎症細胞が出ている

 2)プライシング イフェクト:発症後では炎症発現に必要な抗原量は10分の1ないし100分の1に減る

 3)インバース アゴニストイフェクト:アゴニスト以上にインバースアゴニストではレセプター数を減らし、免疫反応を弱める。これは内因性のシグナルを抑えるからである。アレジオンは今有る抗H1薬の中でもインバースアゴニストであって、患者には「かゆみスイッチを減らす」と説明すると良い。初期投与すると

③重症例への対応
  春季カタルやアトピー性皮膚炎のある症例のことである。
 アトピーがあり結膜が増殖型アレルギー性結膜炎を示すならば、角膜にはシールド潰瘍ができる。
 角膜が傷んだ例では好酸球が増加している。
 血液中の好酸球は不活性型であり、結膜で活性化されている。

 〇タリムス(2回/日):これは通常はしみるが、春季カタルにはあまりしみない。
 〇パピロックミニ:これはリンブスのトランタス斑に効く。
 〇結膜切除:翌日に潰瘍が消退するほど聞くが、再増殖する。タリムスはそれを不要にした。
 〇感染との戦い MRSAにはアルベカシン(注1)を使う

ジクアスもアレジオンもBAKフリーなので使いやすい。
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注1)アルベカシン点眼
 未承認(適応外)点眼薬である。角膜真菌症やMRSA感染症など、既存の点眼薬では効果がないものに対して、自家製剤として使用する。 保険適応外になる。(病院負担になる) 患者に適応外使用である旨説明し、同意書をいただくとよい。
  ハベカシン®点眼(アルベカシン) 100mg/2ml、注射液2mlを生理食塩水3~18mlで溶かす(2~0.5%)との記載もあるが、、、。

Categorised in: 結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)