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2014年10月12日

5911 アレルギー性結膜炎の治療戦略を高村悦子先生に伺いました。

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アレルギー性結膜炎の治療戦略を高村悦子先生に伺いました。その聴講メモです。(図はタリムス点眼液)
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アレルギー性結膜炎の治療戦略 高村悦子先生(東京女子医科大学教授)

来年の春の花粉は多そうです。

花粉の抗原に暴露すると、表面のIgE2つに架橋が起きてそれをきっかけに マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどが放出され、炎症が惹起される。

季節性アレルギー結膜炎(スギ花粉)では
① まず抗原が花粉の破壊によって溶出する。
②現在使えるのはメデイエーター遊離抑制剤6種とヒスタミンH1拮抗薬4種である。

アレジオンは:H1受容体を持ちながら、全身合併症がないのが利点。
ザイザルが新しいが、まだその点眼はない。
アレジオンは強力であり、その作用機序にはインバースアゴニストという概念が使われる。(東北大学薬理学谷内教授によるとのこと。)

環境試験とCAC試験(結膜抗原誘発試験)について:後者は花粉が飛んでないときに行うことができ、その時々の花粉のとび具合の影響がないのが利点。それには、まず試すべきスギ花粉の濃度を決めるーーその投与後にスギ花粉の炎症を止める作用を実薬とプラセボを入れて比較する。

かくして症状が出ないという効果を比べる。プロスタグランジンE2(PGD2)にも抑制に効く。

粘膜にどれだけやさしいか(アレジオンが優しいという話、防腐剤濃度の影響もある)

もう一つの話題、初期療法とは;花粉の飛散を前に、あらかじめ点眼して炎症を抑える。個人差、なぜ効くのか? 炎症の予備段階をおさえる。1平方センチに2個の落下;をもって花粉飛散開始日としている。それはおおよそバレンタインデー頃なのです。

しかし、スギの花粉は11月にすでに飛び始める。ゴルフ場などではすでにこのころに被ばくする人が現れます。

殊に、高感受性群には、花粉飛散の2週間前の初期療法を勧める。

抗ヒスタミン剤(アレジオン)にはインバースアゴニストの働きがあり、リセプターを抑える効果がある。(清澤注:インバースアゴニストとは?脚注参照)春:スギ、ヒノキ秋:カモガヤ、ブタクサなどが抗原になっている。かゆみがあるとき:抗アレルギー点眼を処方する。

ソフトレンズの上から点眼すると:イオン性レンズではレンズに皺がよる(点眼液が酸性だから。)しかし、非イオン性レンズなら変形はしない。

○タクロリムスの併用:ステロイドを減らしてゆける。パターン1:抗アレルギー薬パターン2a、パターン2b:(すみません聞きましたがメモが追いつきませんでした。)

春季カタルには:

○シクロスポリン(パピロックミニ):ステロイドに付け加えてゆく刺激が少しはある、眼圧上昇はなし、ヘルペスなどの感染も起きることがあることは知っておいてもよい(少しある)。

○タクロリムス(タリムス)をむしろ選ぶ:こちらのほうが強力らしい。ステロイドは切りこれに変える、アトピー性眼瞼炎には特にタリムスが良い。タリムスには刺激が少しある、眼圧上昇なし。ヘルペスなどの感染(まれにある):この時に演者はタクロリムスを中止して抗ウイルス薬のゾビラクスにした。その後にタリムスは再開したとのこと。

アトピー性角結膜炎:ステロイド外用薬の安全な使用法は?:プレドニン眼軟膏、サンテゾーン眼軟膏がよく、リンデロンAやネオメドロールEE(フラジオマイシンが入ったもの)は避けるべきだ。

目に入りにくい塗り方:指に薄く延ばして鏡を見て化粧のように。直接綿棒などで塗るのではなくて、指先に伸ばしてから目に入らぬように瞼に付けるとよい。

清澤のコメント:
○インバースアゴニストとは?:2013年06月14日4467 アレルギーの早期療法とインバースアゴニストのお話⇒こちらに説明してありますが内因性の活性がある場合に、それまでを抑制する力のあるアンタアゴニストがインバースアゴニストという事になります。(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/53963897.html)

○今年は少なかったですが、当医院でもアレルギー性結膜炎患者の来院は多いです。そして、今年はそれと意識した所為か、この1か月ほどの秋の花粉症が多いです。
これは、春の花粉症に比べて充血・流涙・かゆみが緩やかで、原因はアキノキリンソウ・セイタカアワダチソウ・ヨモギ(蓬)など自宅近隣の空き地に生息するような草丈が1メートル程度の野草の花粉による花粉症です。

○前年度に抗アレルギー薬を処方した患者さんをレセコンで調べると前年度の名簿ができますから、12月になると早期治療のために、前年度に連絡することを断ると言わなかった方々には、「1月になったらかゆくないうちに薬を取りに来るよう」に勧めるはがきを出しています。

○タリムスやパピロックミニが必要そうな患者さんは、月に一度行われる角膜・結膜外来(今年までは川島素子先生(慶応大)ご担当、今月から重安千花先生(角膜疾患・小児眼科・杏林大)に交代)に呼んで、方針を決めていただいています。やはりアトピーで乳頭増殖が強く、角膜にも潰瘍ができるような例を見ていただくことが多いです。

○東北大学分子薬理学分野. 谷内 一彦教授(主な研究対象 ・ヒスタミン)
上の話題の谷内一彦先生は東北大学でPETに関連した研究を指導していただいた懐かしい名前です。今は押しも押されもしないヒスタミン受容体研究の大家です。受容体のアフィニティーとか細胞表面密度とかについて、のちに東北大学眼科の助教授になられた中川陽一先生に薬理学の研究室に通っていただきヒスタミン受容体をご一緒に勉強したのを懐かしく思い出します。

Nakagawa Y, Yanai K, Ryu JH, Kiyosawa M, Tamai M, Watanabe T. Marked increase in [3H](R) alpha-methylhistamine binding in the superior colliculus of visually deprived rats after unilateral enucleation. Brain Res. 1994 Apr 18;643(1-2):74-80.

Categorised in: 結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)