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2021年6月5日

12918:白内障の手術をしたら寝たきりの人が元気に歩き始めたことも! 眼科医が語るメリットとは?〈dot.〉記事紹介です

眼科医清澤のコメント:白内障手術は眼科の診療所で行われる最も普遍的な手術です。その治療に関して岩手医科大学の黒坂大次郎教授と、筑波大学病院眼科の大鹿哲郎教授がインタビューに答えています。

私が医院を開業した時には、米国で見られたように「オープン病院の手術室に入らせていただき、常勤の先生方と一緒に手術を行うという道」を模索しました。しかし、日本の現状ではその継続はなかなかむつかしく、最近は近隣の病院に患者さんを紹介するという道を選んできました。また、周辺で自分の診療所で手術を続けている眼科医も若手で手術に長けた術者を招いたり手術設備を大規模にするなどといった根本的な工夫が迫られているようです。今回、私の医院では白内障手術を多数行っている志和和彦先生を理事長にお迎えして、先ずは本年3月から翼状片や結膜弛緩症などの外眼部手術を定期的に行う様にしました。今後も、より高度な治療ができるように院内の体制と環境整備とを始めました。次の記事はアエラドットに出た白内障手術の現状の紹介の最新記事です。

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 加齢により水晶体が濁り、目のかすみや視力の低下を引き起こす白内障。手術では濁った水晶体を除去し、代わりとなる眼内レンズを入れる。近年では眼内レンズの種類も増え、「見え方」の選択肢が広がっている。手術のタイミングやメリットについて眼科医に聞いた。

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 白内障は年齢が上がるほど起こりやすくなる。最大の要因は加齢であるため予防は難しいが、治療により視力を回復することは可能だ。  白内障の治療法には、薬物療法と手術がある。ただし、薬を使用しても濁った水晶体を透明に戻すことはできず、薬物療法の目的は、白内障の進行を遅らせることに限られる。水晶体の濁りが軽度で、症状による不便が少ない場合は薬物療法をしながら経過を観察する。

 白内障の手術は、外科手術の中でも安全性の高い手術で、年間約160万件おこなわれている。手術のタイミングについて、「視力がいくつ以下になったら手術をするべき」という明確な適応基準はない。岩手医科大学病院眼科教授の黒坂大次郎医師はこう話す。

「ライフスタイルや、見えないことによる不便の感じ方は人それぞれです。仕事などにより、はっきり見えないと『とても困る』という人もいれば、家で過ごすことが多く、多少の見えにくさは『問題ない』という人もいます。手術をしないことで別の病気を誘発するリスクがある場合を除き、不便を感じなければ手術を急がなくてもいいでしょう」(黒坂医師)

■視力の回復により意識や行動に変化も  

 筑波大学病院眼科教授の大鹿哲郎医師も「日常生活に支障をきたすようになったら手術をすすめる」と話す。「もう少し考えたい」という患者には無理に手術をすすめることはしないが、生活の質(QOL)を考えると、「見えない状態であまり長く過ごすのはもったいない」とも話す。 「手術をすれば視力が回復し、QOLも改善します。見えないことで家に引きこもり、ほとんど寝たきりのような生活をしていた人が、術後に見えるようになったら元気に歩き始めたことや、身なりに気を使わず受診していた女性の患者さんが、術後はきれいにお化粧をして来るようになったこともあります。見えることは人の意識や行動にも影響を与えるものだと実感しました」(大鹿医師)

 手術前には、網膜や水晶体の状態を調べる検査、眼内レンズの度数を決める検査などをおこなう。これまでの視力の変化や既往歴、薬の使用状況などについての問診も重要だ。

 白内障の手術では、麻酔をして角膜を小さく切開し、超音波乳化吸引装置という機器で濁った水晶体を破砕して吸引する。その後、水晶体の代わりとなる眼内レンズを挿入する。手術にかかる時間は目の状態により異なるが、最近では日帰り手術も可能となっている。ただし、術後は炎症や感染を防ぐために点眼薬の使用や通院が必要なため、通院が困難な人、家族の援助が受けられない人、合併症がある人などは入院が必要だ。また、頻度は低いが術後に細菌感染を起こし早急な対応が必要になることもある。 「急激に視力が低下し、短時間で悪化する場合は、夜間でもすぐ病院に連絡することが必要です」(黒坂医師)

■ライフスタイルでレンズを選択する

 手術で挿入する眼内レンズには、遠方・近方のどちらか1カ所に焦点を合わせる「単焦点レンズ」と、複数の位置に焦点を合わせる「多焦点レンズ」があり、それぞれにメリット、デメリットがある。

 単焦点レンズは、1カ所のみにピントが合うため、遠くに合わせた場合は近くを、近くに合わせた場合は遠くを見るための眼鏡が必要になる。しかし、ものがクリアに見える、ほかの目の病気がある人なども適応しやすい、保険が適用されるなどの利点がある。

 一方、多焦点レンズは、遠方(5メートル以上)と近方(30~50センチ)の2カ所にピントを合わせる「二焦点レンズ」のほか、近年では遠近に中間距離(60センチ~1メートル)を加えた「三焦点レンズ」も登場。眼鏡をかけたくない人、テニスなどスポーツをする人に向いている。ただし保険適用外となり、暗い場所などでは眼鏡が必要になることも。また、例えば手元で絵付けをする、写真の校正をするなど細部まではっきり見ることが必要な人には向かないこともある。

 眼内レンズで焦点を合わせる場合、単焦点レンズでは目に入る光すべてを1点に集中させる。しかし多焦点レンズでは、光を分散させて複数箇所にピントを合わせることになる。

「光が分散されるため、単焦点レンズと比べて見え方のシャープさは劣ります。細かい作業をする人などは、見えにくく不便を感じることもあるようです」(大鹿医師)

 また、多焦点レンズでは、夜間対向車の光をまぶしく感じたり、光が丸い輪に見えたりしやすくなり、夜間に運転する機会が多い人は注意が必要だ。 「ただ、日常生活を送る上では、眼鏡をかけずにテレビを見たり、読書したりできる多焦点レンズのメリットは大きいと考えます。ライフスタイルに応じて、自分にどのレンズが合うか医師と十分に相談して決めることが必要です」(黒坂医師)

 なお、多焦点レンズを用いた白内障の手術が2020年4月から選定療養の枠組みで実施できるようになった。選定療養とは、本来は同時に受けることができない保険適用と保険適用外の治療を、追加費用を負担することで同時に受けることができる制度だ。この制度により、「単焦点レンズと多焦点レンズの代金の差額」と、「多焦点レンズを使用するための検査費用」を追加で支払うことで、手術は保険適用の金額となる。

「負担額は病院やレンズの種類などにより異なりますが、手術の費用負担を軽減できます。実施できる病院は限られているため、事前に確認するといいでしょう」(大鹿医師)

(文・出村真理子) ※週刊朝日2021年6月4日号より

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