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2020年8月25日

12207:白内障手術で多焦点眼内レンズってどうなの?:日刊ゲンダイ記事紹介

眼科医清澤のコメント:白内障手術で多焦点眼内レンズってどうなの?は、本日、日刊ゲンダイデジタルに公表された私の記事です。これも最近気になる話題です。公開日:2020年08月25日 by 清澤源弘 バックナンバー

単焦点眼内レンズは近くも遠くもぼやけてしまう

単焦点眼内レンズは近くも遠くもぼやけてしまう(C)PIXTA

【Q】最近白内障が進んでいて、運転免許の書き換えを控えて白内障手術が必要なようです。多焦点レンズというものがあると聞きました。どんなものか教えてください。(70歳男性)

【A】私は自分の医院では白内障手術を手掛けず、必要になった患者さんには手術してくださる病院やクリニックをご紹介する形をとっていますので、偏りのない意見が言えそうに思います。

 白内障の手術時に眼内に移植する人工水晶体には、従来からの単焦点レンズのほか、乱視を緩和する乱視矯正機能付きの眼内レンズ、そして遠方にも近方にも焦点を合わせることができる多焦点レンズなど、新しい機能をもつものが出てきています。

 従来の単焦点眼内レンズは、ピント(焦点)の合う距離が目から一定の距離に一つだけというレンズです。例えば、日常使いやすい2メートルほどの距離に焦点を合わせるとすれば、それより遠くも近くもぼやけてしまうため、近方で新聞を読むためには近用眼鏡が必要でした。これに対し、遠くにも近くにもピントが合っていて、同時に見えるのが多焦点眼内レンズです。若い時分には自分が見たい距離に合わせて水晶体がオートフォーカスしてくれていて、なんの不自由もなくよく見えていますが、多焦点眼内レンズは、それに近い形を実現しようとするものです。

 ただ、レンズはオートフォーカスしてくれませんし、各メーカにより、また、レンズの種類によっても光学特性が異なりますので、どこまでの距離が同時にクリアに見えるかには差があります。 

 さらに、多焦点眼内レンズには光を見ると傘がかかるように見えるハロー、ギラギラして見えるグレア、光が散乱するスターバーストといった特有の見えにくさを感じることもあります。これらの特性も知っておかれるとよいでしょう。

 これまで、多焦点眼内レンズを挿入する白内障手術は「先進医療」の枠組みで、生命保険に付帯する「先進医療特約」を利用して受けることができました。これが、2020年4月から「選定療養」の枠組みとなり、レンズ代の差額さえ支払えば特殊な機能のある眼内レンズを選択することが出来ることとなりました。いわば、歯の補綴に「金」を使ってもらう時の様に、追加費用を負担すれば保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる「保険外併用療養費制度」に基づいたサービスを受けられる対象となったのです。

 このことが今後の多焦点眼内レンズの普及にどう影響するかは私にはまだわかりません。なお、多焦点眼内レンズには差額を要求しない製品(清澤注1)もあるようです。

 私は、このような特殊レンズに詳しいものではありませんが、4月以降、紹介先医師との相談で多焦点眼内レンズを挿入してもらい、満足して私の医院に戻って来られた患者さんが早くも数人おられます。それを見れば、これは間違いなくこれからは増えてゆく選択肢の一つであろうという手ごたえを感じています。

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清澤注1:記事内には明示的には記載しなかったが、Lentis confort(レンティスコンフォート:参天製薬)は屈折型多焦点眼内レンズ。アクリル製非球面透明レンズで、眼内レンズの上半分が遠方、下半分が+1.5D加入(80~100cm)の中間ピントで、手元は見えないという。屈折型のため「ゴースト」と言われる像のにじみが生じる可能性があるともいう。このレンズは手術をうける病院が扱っていれば保険診療で挿入可能とされる。実際にどの程度使われているかは不詳。

Categorised in: 白内障