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2017年12月12日

9426: 白内障手術は高齢女性の死亡率を減らす

JAMA Ophthalmology誌から白内障手術は高齢女性の死亡率を減らす総死亡だけでなく、主な死因別リスクも減少する

白内障と診断された65歳以上の女性を追跡し、白内障手術を受けた患者と受けなかった患者の総死亡死因別死亡のリスクを比較した、米California大学Los Angeles校のVictoria L. Tseng氏らは、どちらも手術を受けた患者で有意に低かったと報告した。結果はJAMA Ophthalmology誌電子版に2017年10月26日に掲載された。

清澤のコメント:元論文のアブストラクトも自動翻訳して手を加えて見ましたが、このネット記事はとてもよくまとまっています。実は不調法にも私はこの統計(共変量調整Coxモデル)の指し示すところがよくわかりません。
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これまでに行われた研究では、白内障手術が単に視力を向上させるのみならず、総死亡リスクの低下ももたらすことを示唆していた。研究者たちは、白内障手術後に患者に生じる健康状態の改善と機能的自立が、死亡リスクを減らすと考えていたが、手術前の併存疾患、たとえば、心血管疾患や癌、認知症などが白内障手術後の患者の死亡リスクに及ぼす影響は明らかではなかった。また、白内障手術と死因別死亡の関係についても検討されていなかった。そこで著者らは高齢の白内障患者を対象に、白内障手術と総死亡、および死因別死亡の関係を検討する前向きコホート研究を計画した。

対象は、Women’s Health Initiative(WHI)に参加した米国の50~79歳の閉経女性。ホルモン療法など4つのランダム化試験に参加した6万8132人と、観察コホート研究に登録した9万3676人が参加している。この中から白内障と診断されており、その時点で65歳以上だった7万4044人を選び出し、白内障手術を受けた4万1735人と、手術を受けなかった3万2309人を追跡して死亡率を比較することとした。白内障手術を受けたかどうかは、メディケアの償還請求データベースを利用して判断した。

主要評価項目は、2015年12月31日までの総死亡と、血管疾患、癌、事故、神経疾患、肺疾患、感染症による死亡に設定した。ログランク検定とCox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比を推定した。補正する共変数は、人口統計学的要因(年齢、人種、居住地区)、教育レベル、年収、保険の加入状態、がん検診(マンモグラフィーとパップスメア)、白内障診断時の年齢、Charlson Comorbidity Index(CCI)による全身性合併症、眼の合併症、喫煙、飲酒、BMI、運動習慣などとした。

平均年齢は70.5歳(SDは4.6)で、白人が87.0%を占めていた。全身性の併存疾患では、癌が最も多く(手術群の29.9%と非手術群の23.6%)、眼疾患としては緑内障が多かった(それぞれ31.6%と17.5%)。

追跡期間中に計3万1311人が死亡しており、粗の総死亡率は、手術群が100人年当たり1.52人、非手術群は2.56人だった。補正前のハザード比は0.51(95%信頼区間0.49-0.53)で、白内障手術時点の全身合併症と他の共変数を補正したハザード比は0.40(0.39-0.42)になった。白内障診断時点の全身合併症と他の共変数を補正したハザード比は0.38(0.39-0.39)だった。

死因別の補正ハザード比は、血管疾患死亡0.42(0.39-0.46)、癌死亡0.31(0.29-0.34)、事故死0.44(0.33-0.58)、神経疾患死亡0.43(0.36-0.53)、肺疾患死亡0.63(0.52-0.78)、感染症死亡0.44(0.36-0.54)、いずれも手術群で有意に低かった。

次に傾向スコア解析を行い、さらに共変数の調整を試みた。白内障手術を受ける可能性に関係する要因として、試験アーム(RCT参加者か観察コホートか)、居住地(米国北東部とそれ以外)、保険加入の有無、マンモグラフィーの繰り返し受診、CCIスコアが1以上、眼科合併症の有無、活動レベルの高さ、が相関していた。そこで、これらの要因の傾向スコアに基づいて、手術群と非手術群の患者を10分位群に層別化し、群ごとに手術群と非手術群を比較した。手術群の総死亡のハザード比を求めたところ、全群で手術群の総死亡リスク低下は有意だった。最低10分位群のハザード比は0.63(0.53-0.75)、最高10分位群では0.21(0.17-0.28)になった。

これらの結果から著者らは、WHIに参加した高齢女性で白内障手術を受けた人は、受けない人よりも総死亡と死因別死亡リスクが減少していた。ただし、白内障手術で個々の原因による死亡率が減少する理由は不明で、さらに研究を進める必要があると結論している。

原題は「Association of Cataract Surgery With Mortality in Older Women Findings from the Women’s Health Initiative」、概要はJAMA Ophthalmology誌のウェブサイトで閲覧できる。


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